第19話 時代が終わるその前に
人は生まれついた時から平等ではあらず。
弱者は潰され強者は上に立つものなり。
人は争いに負けたのならば代償は支払うものなり。それ即ち「人としての権利」なり。
セカイに神あらず。悪魔あらず。
セカイは人が造り上げるものなり。
敗北者は勝者に歯向かうことあるべからず。
第19話 時代が終わるその前に
変わり果てた大地に銃声が響き渡る。アレクダルア共和国の南方に位置するアレクダルア共和国軍の南方総司令部ファンダムの破壊命令に従い、同盟軍はファンダムの最終防衛ラインを突破していた。地には残酷に散らばる数々の死体。無残だ。ファンダムは南方司令部でもあるが、海軍の防衛本拠地でもあるため、ファンダムを破壊することが出来たのならば、無双していたアレクダルア共和国軍にとても大きな打撃を与えることが出来るであろう。だが、超巨大技術的軍事国家。そう簡単にファンダムを落とせるとは誰も思ってはいないだろう。何故だ・・・不吉な予感がする。
「突撃!!突撃ィィィィ!!」
『我々は最終防衛ラインを突破したぞ!我々の逆襲はこれからなのだ!突撃ぃぃぃぃ!』
不吉な・・・予感がする・・・
昨日23:50分 連合軍総司令部フリック
『我々は、新たな時代を迎えるのです。』
シャングリラにて、初代総帥が、アシリア連合軍またの名を同盟軍の結成式が行われていた。その光景は全世界に生放送され、また、新たな時代への幕開けでもある世紀の軌条である。
『私は、同盟軍初代総帥、シュレーディンガー・マリオネット・アイルです。私は、元々はユージア軍の大将でありましたが、この度の卑劣で傲慢であるアレクダルア共和国を崩壊させるために、私は、我々は立ち上がったのです!そして、私の国はアレクダルア共和国に滅ぼされました。家族も、友人も、嫁すらもアレクダルア人に一人残らず殺されました。こんなことは私だけではありません。同じようにもう二度と治らない深い傷を負った方は私以外にもいらっしゃることでしょう。そして、その方たちの代表として私は今、初代総帥と言う名誉をいただけたのです。我々はこの時を待ち続けました。やっとなのです。いつもやられて殺されて、奪われ囚われ、そんな悲劇の毎日は、今日!終わるのです!争いの無い世界が望ましいことですが、今この現在、アレクダルア共和国と言う国が存在している時点で、それはもう叶わぬ夢でしかないのです。そこで我々は諦めるしかないのか、否!違うでしょう。それを反撃のバネとして、我々は前進しなければならないのです!散っていった戦友のため!死んでいった家族友人のため!ここで止まるわけには行かないのです!アレクダルアは高度経済成長期を迎え、たった5年で世界トップの技術的超巨大軍事国家へと成長を遂げています。しかし、奴らのやり方は卑劣です!地球を汚染し、邪魔だと思ったら跡形もなく消し飛ばす!こんなやり方があるだろうか!怠惰でしかありません!これを否定できるものがどこにいようか!我々がたった一人で生きていけないように、国家という巨大なものも、一つでは存続できないのです。だからこそ!今こうして、七つの国が統一されたのです!こうして七つの国が統一されるのは、簡単なことではありませんでした。ですが今現在こうしていることは、それを成し遂げたからなのです。その大きな壁を越えたのです!今の我々には、その力があるのです!我々は今まで敗北しかしてこなかった。ですが、これからは違います。我々がアレクダルア共和国に、いいえ、私たちだけでなく、世界の皆さん!エンタープライズの支配下にいる皆さん!今こそ反撃の時です!立ち上がるのです!そうして我々は前進するのです!もう、誰も奴隷のようにならない、平和で、争いのない世界を作ろうではありませんか!それを作るのは、誰でもなく私たちです!この日を人類革命の日とし、新たな時代を繋ごうではありませんか!現在23:59分。間もなくです。我々が夢見た日が、今、現実となるのです。人類史は終わらない。さりゆく西暦。ようこそ同盟歴。我々は時代の目撃者となるのです。今、未来の世界は私たちに委ねられました。このような悲劇を二度と起こさぬよう、永遠に誓います。そして、人類最期の戦として、同盟軍だけでなく、世界でアレクダルア共和国に対抗するのです!リメンバーリダイブアッシェント!同盟軍初代総帥として、平和な世界を作り上げるとともに、決着をつけると宣言します。見ているであろうアレクダルア人につぎます。あなた達は世界を敵に回したことを悔やむでしょう。私たちを侮らないでください!今、同盟歴一年0:00分を持って、我々は、人類最期の戦として、アレクダルア共和国に、宣戦を布告します!!!!!!』
『ファンダム制圧確認!やりました!』
『同時刻アレクダルア共和国軍北方司令部ブエノスアイレス制圧確認!』
『遅れてませんね!アレクダルア共和国軍東北司令部上海制圧しました!』
『言ったはずです!我々を、侮るなと!!』
宣戦を布告して約5分でアレクダルア共和国軍の三つの司令部を制圧した。アレクダルア共和国軍となっていた場所は同盟軍が制圧。電撃的に地上のアレクダルア共和国の三分の二を制圧。圧倒的な反撃力で、アレクダルア共和国軍の戦力は10%以下となった。もうもはや、崩壊するのも時間の問題だろう。・・・誰がこんな大国を倒せると思ったことやら。
しかし、諦めなかった証拠がここにある。
『さぁ、ここで白黒つけましょう。我々はこれからアレクダルア共和国軍最高中心陸海空軍時総司令部、··マリンバレー··に、全戦力を投入!制圧せよ!!!!!!!!!』
「おいおいお嬢さん!だいじょぶなのか!?」
「いえ、半端なくやばいです。でも、叔父様たちがこんな簡単に落ちるわけありません。」
「あぁ、何てったって最高軍事国家の総司令部だ。簡単に落ちるとは考えにくい。」
「「なっ!!!!!」」
『ッッッ退避!』
刹那。
閃光弾が発射されマリンバレーの方面から何かが来る。また空にはマリンバレーに設置された約二百八十問の機銃が戦闘機及び航空機を蜂の巣にする。また、アレクダルア共和国軍は海軍が圧倒的に強い。どんどん撃沈していく。そして、閃光弾の光が弱まり全世界に生放送しているカメラがとらえたものは・・・
『嘘・・・アドルフは・・・アレクダルア共和国が作ったってこと・・・?』
「最悪な時代の幕開けだよ・・・」
「・・・姉さん?」
「どーした?お嬢さん」
そのカメラが捉えていたものとは、アレクダルア共和国軍新総帥。フレデリカ・メア・ガーデン。
「おいアイル・・・あれ、メアだよな・・・」
「間違いない。メアだ・・・」
『私はアレクダルア共和国軍総帥、フレデリカ・メア・ウェルラーフだ!』
『ウェルラーフ家・・・だと?』
「おい!お嬢さん!説明しろ!何故メアがあちら側なんだ!」
「良くは知りませんが、あなた達の国へ行っていることは知っていました。」
「なぜ先に言わなかった!」
「・・・軍事秘密ですから」
「貴様・・・!!」
「やめろアイル!ここでこいつを嬲り殺したところで何も変わらん!」
「っち・・・メア・・・図ったのか!!」
『アドルフを同盟軍の歩兵部隊へ突撃させろ!戦車などレーザーで焼き殺せ!イージス艦にはソロコップ魚雷を一斉発射!指揮官と思われる艦に核式ICBMをぶち込め!弾道ミサイルのいいや、核兵器の力とことん見るがいい!アドルフなどいくらでも量産可能だ!水素爆弾投下!蹴散らせ!ICBM目標同盟軍軽巡洋艦イージス搭載機!指揮官と見た!後部甲板目標!全艦隊取舵一杯!ヨーソロー!・・・新たな時代だと?そんなもの地獄の世紀へと変えてくれるわ!我々アレクダルア共和国軍を舐めすぎたなぁ!マリオネットさんよォ!』
「これが貴様らのやり方か・・・」
『あたりめぇーだ!我が国をなんだと思っていやがる!死に腐れ!血祭りに上げてやる!全砲門開け!目標総司令部フリック!攻撃許可!ぶっぱなせ!!!』
銃声が響き渡る。大地が砕け散り、放射能が撹乱する。正義の叫びは届かないのか・・・
また・・・アレクダルアに負けるのか・・・
『僕、何とかしてみる』
そう声を上げたのは
「京香・・・?」
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