第15話 女神様は笑わない


人は生まれついた時から平等ではあらず。

弱者は潰され強者は上に立つものなり。

人は争いに負けたのならば代償は支払うものなり。それ即ち「人としての権利」なり。

セカイに神あらず。悪魔あらず。

セカイは人が造り上げるものなり。

敗北者は勝者に歯向かうことあるべからず。


第15話 女神様は笑わない


「お前も結婚すればいいのになぁ」

「結婚かぁ...考えたことすらないな」

「お前は女に興味がなさすぎるんよ」


言われてみれば納得かもしれない。生まれて一度も好きという感情を持ったことがない。他人が持っているのが不思議な程に。


「いくらいい顔を持ち合わせていても、お前自身が積極的じゃなきゃだーれも振り向いてはくれないぜ?」


積極的だのなんだのの前に俺はそんなことに時間を割くつもりは無い。


「つまらんな」

「お前も懲りないやつだなぁ!!」

「せっかくの休暇だぞ?ラブホ付いてくるか?」

「いやいい。僕は故郷に帰ろうって思ってる。」

「故郷か。俺も長いこと行ってねぇなあ」


僕の故郷はこの場所から南にかけてある小さな村だ。生まれ育ちもその村で、十八の時までそこにいた。しかし世界最大超軍事国家との戦争により、成人式も挙げられず戦地に行くことになったものの、僕の生まれ故郷の村の横に陸軍の偵察駐屯地が建設された。そこに僕も配属かと思ったのだが・・・女神さんは優しくはない。それも僕が配属になったのは最前線迎撃の役割。最悪中の最悪だ。


「お前…なんか企んでるのか?」

「まさか。僕にとっての再重要項目を再確認していただけさ。」


当たり前だ。言いきれる。そんなユウキの発言を不思議と疑問に受け止めた『エレメンター』は苦虫を噛み潰したような顔で


「お前のいうことはさっぱりわかんねぇ…さっきまでえろ本がどうのこうのとか言っていたくせに」

「エレメンター。一つ訂正しておこう。えろ本とは人聞きが悪い。ポルノ雑誌だ。」

「いちいち訂正すんな!どっちも悪いわ!」

「......で、話を本題に戻すと、、、なぜ俺に頼むんだ?」

「ああ、これは結構真面目な話だが、これを聞いてくれるのはよく考えてがお前しかいない。のでおまえにした。」

「雑だなおい・・・」

「きにするな。」


現状この小隊は結成されたばかりで、あまり仲間のことは完璧までは図ってはいない。が、<エレメンター>はアイルの親戚ということもあり、中はこの中ではいちばん良かった。そんな中なのでいちばん頼れるのが_____無論エレメンターなのだ。現状は最悪だがな。友達欲しい。


「なるほどな。分かった出来ることはしよう。が、何をすればいい?」

「馬車を手配してほしい。」

「? まぁいいが、そんなもん自分で出来るだろ。馬鹿にしてるのか?」

「___そんなつもりはねぇよ。さっきも言ったように今の中で頼れるのはお前だけなんだ。」

「はぁ。わかったよ。なにか裏があることもな。任せとけ。」

「悪いな。今日の夜までに頼む。」


故郷に久しぶりに帰るのもいいが、内心は親や妹の京香が心配だ。僕がアレクダルアに言った時に、<アレクの遊園>を見てしまったせいか、あんな目にされていないことを願うばかりだが・・・・・そして夜が来る。


「悪いな、急な用事で」

「気にするな。借りは作ったからな。」

「ああ。」


そう言うと、ユウキはムチを叩き馬車を南の方向へと走り出させた。が、とてつもなく嫌な予感がするのはなぜだろうか。一応アレクダルア共和国軍で買った電探を使うが・・・


「クソっ!やはり敵国のを使うのは抵抗があるのと、これはアドルフに反応しねぇじゃねぇか!」


周りを探しても・・・真っ暗で何も見えない。こんなんじゃアドルフすら見つけられない。


「クソ・・・まるで約立たずじゃないか......」


何も出来ない自分に嫌気がさす。そんな自分に叱る人もいなければ、助けてくれるものも居ない。悲しすぎる足音があたりに響き渡る。

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