第三章〜支える足に夢を叶えるその日から〜

第8話 月光の灯りに微かな希望を

第三章〜支える足に夢を叶えるその日から〜


第8話 月光の灯りに微かな希望を


人は生まれついた時から平等ではあらず。

弱者は潰され強者は上に立つものなり。

人は争いに負けたのならば代償は支払うものなり。それ即ち「人としての権利」なり。

セカイに神あらず。悪魔あらず。

セカイは人が造り上げるものなり。

敗北者は勝者に歯向かうことあるべからず。


第三章第8話 月光の灯りに微かな希望を


俺は聞いた。今日の朝、村の協会の前を通ってきた時「聞いたか?あのアレクダルア共和国と戦争になるっぽいぞ?」と。最初はそんな大国と戦えるとは思っていなかったが・・・と、急に見に行きたくなったので俺一人で船に乗ってアレクダルア共和国に向かっている最中だ。話が急展開すぎて困るか?

まぁそこにはついてきて欲しいものだな。っと俺はアレクダルア共和国についてはガキの頃絵本で見たぐらいしか知らない。何か四角くて縦長の変なものが地面からにょきにょきと生えていた気がしたが・・・


「やっべぇ・・・楽しみすぎてやばいぞぉ!!」


ユウキはそんな優越感に浸っていた。


SSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSS


あの日から二日がたった。攻めてきた敵国も第一防衛ラインの手前でまる2日間も立ち往生している。あれ以来変化は見られない。それを軍んがどう捉えるかが問題だったのだが、軍はどうする訳でもなくただいたずらに時が過ぎていった。


「ただいま帰りました。」


シャロットは清楚正しく靴を揃え裾が長くミニスカートとニーソを合わせた女性士官用軍服を脱いだ。少佐に上がったので士官用になった。それにしても露出が多い。軍の上層部は何を考えているのやら。綺麗に軍服をたたみ、ロング下ろしの髪を一つにまとめて縛る。綺麗な赤髪はまだ幼く感じる。


「シャロット。髪の結び方がはしたないですわよ。その赤髪は代々伝わる"炎"のものなのですよ。」


また始まった。母上様は髪にうるさい。ろくに意味も知らされていないのに炎やら践祚代々やら・・・。


「すみません、お母様。それと帰りの時間が遅くなってしまい大変申し訳ございませんでした。」

「本当です。わたくしを待たせるとは何事ですか。」

「はい、御無礼をお詫び申し上げます。お父様は?」

「しりませんわ。あんな人は知りません。全く、貴方も軍の犬なんかに成り下がって。」

「お母様...」

「いいわ。立ち話がすぎたわ。ディナーに致しましょう。」


お父様は昔から家に帰ってくることは少なかった。帰ってきたとしても深夜。ろくに話したこともない。あの人は軍に入隊してすぐ大佐に上り詰めた超エリート......だけどそれだけの対価を支払っている。あの人は本当に軍の犬に成り下がったのか。。。


「貴方、最近エンタープライズ達を助けようとしているみたいじゃない。」


まるで、禁忌を犯しているものを見る目で二ラメつけてくる。


「お母様もお父様も、彼らに偏見を持ちすぎなのです!」

「まぁ!親に向かってなんて言い草!許しませんよ!それにあんな家畜以下__」


私はお母様を睨め付けた。


「____もといエンタープライズ達が、どのように扱われるのか、わたくし達が一番わかっているはずだわ!」

「ですが!!」


何故誰も分かってくれないのかしら!私はただただ、彼らを助けたいだけなのに!...あれ?

________八時間前。


「私はただただ!彼らを助けたいだけなのです!」



私はマリンバレーのチュバル大佐の前でこの話をしていた。大佐はずっと黙りこみ、横にいたレイキハ中佐が口を開いた。


「赤髪。お前の間違いを警告しておこう。お前が言っているのはエンタープライズ達を

助けたいということだな?」

「はい。」

「それでお前はエンタープライズ達の救世主、すなわち女神にでもなったつもりか?それはいわゆる"自己満足"ってものではないのか?赤髪、お前は頭の回転がいいからわかるはずだ。

人は生まれついた時から平等ではあらず。

弱者は潰され強者は上に立つものなり。

人は争いに負けたのならば代償は支払うものなり。それ即ち「人としての権利」なり。

セカイに神あらず。悪魔あらず。

セカイは人が造り上げるものなり。

敗北者は勝者に歯向かうことあるべからず。

と。もんま俺が伝えたいことそのものだ。これ以上のものは必要なく、またこれ以下の法則はないと言っても過言ではないだろう。これはもう常識なんだよ。赤髪が何を言おうと常識を覆し、世界の法則を変え、エンタープライズという概念がそのものがなくなることなど、一パーセントもないんだぞ?」


シャロットは苦虫を噛み潰したような顔で話した。


「それでも......その一パーセント以下にかけることはできます!可能性がゼロだとは私はそうわ思いません!それにかけるこそ!今必要なことだと私は思います!」


中佐は諦めたようにため息を吐き


「赤髪、忠告は、したからな。」

「えぇ。」


中佐は大佐へ頭を下げ


「私は彼女に賛成とは行きませんんが、可能性がゼロでないのであるのなら、やってみる価値はありそうです。」


「中佐...!」


「正論でした。可能性はゼロではありません!そんな微かな希望でも掛けてみましょう!!」

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