第7話 冴えない私と数多の宇宙
第7話 冴えない私と数多の宇宙
人は生まれついた時から平等ではあらず。
弱者は潰され強者は上に立つものなり。
人は争いに負けたのならば代償は支払うものなり。それ即ち「人としての権利」なり。
セカイに神あらず。悪魔あらず。
セカイは人が造り上げるものなり。
敗北者は勝者に歯向かうことあるべからず。
第2章第7話 冴えない私と数多の宇宙
「何をそんなに焦っているのだ?」
「なにって…大佐!やつらは自分たちからこちらへ進軍してきているのですよ!?」
「こちらから行く必要がなくなった。むしろありがたいじゃないか。」
「こんな武力巨大国家に小国が特攻する訳ありません!!なにか戦略があると思われます!今すぐ迎撃にだた方がよろしいかと!!!」
「そんな小国にねぇ・・・」
「問題ないな。我が軍には{スレイア}が居るのだから。」
武力の力で世界最大級国家、いや世界最強と言っても過言ではなかろう。その武力国家の技術の最先端、有人起動対人体異様兵器{スレイア}を大量に導入している。過去は無人だったが、遠隔操作にも限りがあるため急遽今回の戦いが予想された頃から有人化に改良された。有人と言っても乗るのは「エンタープライズ」、人ならざるもの。戦死者にも加えられなければ、生き物としても扱われない。そんな人々が今日、今も最前線で戦死している。「エンタープライズ」達に有人化をまかせたため、歩兵部隊の再編成に伴い、航空スレイア機動部隊及び海上スレイア機動部隊の結成をアレクダルア共和国軍総司令部マリンバレーが国家命令として下した。超巨大国家が、世界一となった瞬間だった。アレクダルア共和国以外の大国は、たった一週間で殲滅された。異例なのだ。それほど{スレイア}は強かった。武力国家並びに技術国家の「ルーベアーバレ帝国」は過去にアレクダルア軍に技術結果などを送っていたが、その結果から{スレイア}と呼ばれる悪魔を生み出すなど思いもよらなかったことだろう。そして技術提供を停止した翌日に「ルーベアーバレ帝国」はこの世からその名を消された。
が、{スレイア}のパイロットは皆「エンタープライズ」達。戦うことを拒否もできず、恐れることも出来ず、
疲れることや涙を流すことも出きない。これだけの超巨大国家なので物量もあれば兵士もいて、それだけの「エンタープライズ」達が居る。圧倒的物量、圧倒的生産能力。質より数。スレイアは壊滅という言葉の意味を知らない。そんなことは、ありえないからだ。
そんな
世界の末路......それは私たちが一番知っている。
「君の言っていることを全面否定する訳では無いけれども、この国があんな小国に負けるとは思わんのだよ。違うか?」
報告に来た兵士は黙りこみ、歯を食いしばって大佐の前で立ち尽くしている。
「それに"Spiritgurauwhiru"がいるだろう?」
Spiritgurauwhiru、スピリットグランウィル大尉。通称「シャグロウ・ロメリア《踊る死神》」と呼ばれている。踊るように人の首をはねていく様からその二つ名がついたと言われる。
「お父様、彼らは人間です。…新米少佐のわたくしが言えるお言葉ではなさいませんが...」
大佐はあまりいい顔をせずシャロットへ言葉を発した。
「シャロット。二階級特進など普通士官なら出来るはずがない。それを成し遂げたということは、もう少し胸を張っていいのだぞ?あまり気の進まないかもしれないが、言い方しだいで思わぬ反感を売ることになる。エンタープライズ達も皆お前のようではないのだぞ?」
「.........失言をお詫びします。お父様。」
「うむ。それでこそ我が家の娘だ。」
やはり、この人たちには届かない。暁の先に見えるのは、くだらないものだとシャロットは確信した。
考えることは違っても辿りつくところは同じ。にじみ出る悔しい思いをシャロットは小さな背中で押しこらえ、部屋を後にした。外は戦乱を伝える真っ赤な夕日空だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます