第6話 戦乱に舞上がる光の導

第6話 戦乱に舞上がる光の導


人は生まれついた時から平等ではあらず。

弱者は潰され強者は上に立つものなり。

人は争いに負けたのならば代償は支払うものなり。それ即ち「人としての権利」なり。

セカイに神あらず。悪魔あらず。

セカイは人が造り上げるものなり。

敗北者は勝者に歯向かうことあるべからず。


第2章6話 戦乱に舞上がる光の導




「また戦争が始まるぞ…」

「そんな......」


シャロットは言葉を詰まらせた。


「エンタープライズ達が何か最近様子がおかしいと思っていたんだがな......」


エンタープライズ《家畜のならず者》はこの世界では家畜のならず者。人にあらず。この国ではそう叩き込まれる。


「なぜ止めなかったのですか!?」


シャロットは大きくを吸って大佐へ怒鳴りつけた。シャロは過去に実の親を両親とも戦争で失っている。そこで、大佐たちに拾われて養ってもらっている、というわけだ。そのせいか、軍人に有るまじき戦争嫌いなのだ。


「・・・?止めないも何も、正面切って戦っているのは"エンタープライズ《家畜以下の者》"達だぞ?なぜそんなに戦いをいやがるんだい?」


エンタープライズ《家畜以下の者》は人として扱ってはもらえないため戦死者には含まれない。この間の国民放送機関で戦死者が0人…と言うのは分かってもらえるであろう。


「エンタープライズって…彼らは人間です!!」

「ならシャロット、問う。何故上エンタープライズたちが同じ、我々と同じ台に立てるのか、教えていただきたいものだな。」

「それは___、、、」


シャロットは言葉に詰まる。この巨大国家「アレクドルア共和国」ははるか昔大きな戦争で敗北している。だがその時はまだ"エンタープライズ"の制度は存在してはいなかった。だが、アレクドルア共和国を倒した強国「ルアナ」は初めて"エンタープライズ"制度を開始したのであった。それは瞬く間にエンタープライズ制度は全世界に知れ渡っていったのだった。そして大きくなりすぎた制度はやがて当たり前となる。国々が増えてゆくにつれて益々エンタープライズ制度は広がってゆく。「ルアナ」 に敗北した「アレクドルア共和国」は再び反乱の時を待ちわび、巨大な反乱を起こし、ルアナは抗うことすらできずルアナをほろぼし、エンタープライズの支配下とした。そうしてアレクダルア共和国となった。そうだ。「アレクダルア共和国」はエンタープライズ達で出来た超巨大国家なのだ。だが、エンタープライズでできた国だからこそ今まで散々なことをしてきたルアナ人をエンタープライズとして見るに見えない差別をしてきた。そう、人々はまた同じ過ちを繰り返していた。そして同時にエンタープライズ制度を反対する国を"エンタープライズ反逆罪"として大国3つを2日で滅ぼすという華々しい結果となった。アレクダルア共和国は「武力の巨大国家」と言われ、世界が認める…いや、世界が怯える、世界で一番の大国となったのであった。…武力国家となった。


「その___敵国はどこなのですか大佐!」


シャロットは教えないと殺す、と言わんばかりの瞳で睨めつけてきた。仕方ないので打ち合わせをしていた帰りだったので軍服のポケットから地図を広げてシャロットへ見せた。


「東部オリョーブ方面…ここから約三千八百万㌔か、、、」


三千八百万キロメートルか・・・遠いわね。



「そんなの遠すぎるじゃない。どうする気なのかしら。更にオリョーブ地方、アドルフ達が多く発生するところじゃなかったかしら?」

「あぁ。世界だと一番多いかもな!」


東部オリョーブ地方。S級アドルフ達が数多く存在する有名な場所である。共和国によると、ここが一番多く出現するらしい。それもレベルの高いB級アドルフ達が多く存在する。同じ東部オリョーブ地方での戦争では、争って死んだ人間よりもアドルフ達に食い殺された方が多かったらしい。が、一つ不思議なことを聞こうとした瞬間大佐は喋った。


「だって、ここに一度もアドルフにあったことがないだろ?」


それだ。シャロットはそれを言おうとしていた。何故私達はアドルフに襲われないのだろう。一番気になっていた。


「大佐、いやお父様!なぜ

アドル___」

「「大佐!!いらっしゃいましたか!敵国が・・・進軍を開始しました!!」」

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