第11節 補足

そういえば前回はクロムウェルや王政復古でほぼイングランド王国内のことしか綴っていなかったけど、共和制の間は「イギリス=オランダ戦争(英蘭戦争)」が3回に渡って起こっている。1次は1652~54年、2次は1665~67年、3次は1672~74年と何かキリよく2年間やっている。めんどくさいから英蘭戦争でいいや。


この戦争の目的は、イギリスのイギリスによるイギリスのための反オランダ運動っていう認識でおk。第9節で、イギリスには東インド会社(英)という貿易会社ができたよー、そしてイギリス、フランス、オランダで同名の会社を設立したよーって内容を勉強したね。今回は「東インド会社(蘭)」が出てくるよ。ちなみにこの頃のオランダは「ネーデルラント連邦共和国」っていう名前なのでご注意を。


まず何で揃いも揃って同じ名前の会社を設立したかって、理由はただ一つ。世界貿易で莫大な資産を作り上げて国力を見せつけるため。


さてここで思い出してほしい。

第8節で「オランダ独立戦争」について触れた。当時スペインの領地だったオランダが独立する際、イギリスが支援している。これが原因といえば原因だが、独立成功して以降、オランダは勢いづいて新大陸・東南アジアに進出して《中継貿易》を始め、イギリスと対立するようになった。オランダ東インド会社は主に日本とか中国とかインドとかと貿易して、莫大な利益を上げる。当然イギリスもインドで貿易していた。で、オランダ東インド会社がイギリスより利益上げる。

恩を仇で返すとはこのことだね。


産業の危機を感じたイギリス。ちょうどクロムウェルが台頭していた頃に「航海法」が制定される。『アジア・アフリカ・アメリカからの輸入はすべてイギリス船のみ、ヨーロッパからの輸入はイギリス船かその生産国、あるいは最初の積出国の船だけ許可するよ』っていう法ね。

この航海法、中継貿易をしていたオランダに大打撃を与えることになる。


東インド会社(蘭)「イングランド邪魔じゃね?」


ということで、アジアからイギリス勢力を駆逐するという暴挙に出る。これがかの有名な(?)アンボイナ事件。当然ブチギレるイギリス。

……とまぁこんな感じで、かつて手を取って独立に勤しんでいた二国間は3回に渡って対立する。


一応勝者はイギリスということになっている。

といえど、19世紀には自由貿易が始まるから、そのうち撤廃されます。



その後、イギリス国内ではジェームズ2世がイギリス議会と対立し、彼はフランスに亡命する。困ったジェームズは、娘のメアリ2世の嫁ぎ先であったオランダ総督ウィレム3世に出兵要請する。これが名誉革命。一体どこが名誉なんですかね……


ジェームズ2世「ついでにメアリも帰ってきて」

メアリ2世「えぇ……(困惑)」


第11節で「ウィリアム3世とメアリ2世の共同統治」とあるように、奇しくもかつて対立していた二国間は再び手を取り合って共治することになる。ちょうどこの頃「スペイン継承戦争」が起こるけど、詳しくはフランスの章で。


ジェームズ2世の娘は前述のメアリ2世と、ステュアート朝最後の女王アンの2人。アンの時代はは前節でも説明した通り、イングランド議会とスコットランド議会が合併して、大王国が成立するよ。



雑学:ニュートンが「万有引力の法則」を発見するのはちょうどこの頃。「微積分法」の発見は第3次英蘭戦争の頃。

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