第8節 【1485~1603年 テューダー朝②】

カトリック問題であれこれ問題になってたメアリに対し、次の国王はあの有名なエリザベス1世が台東する。

エリザベス1世は、ヘンリ8世と2番目の奥さんアン=ブーリンとの娘だよ。


世界史を知らない人でもエリザベス1世の名前は聞いたことがあるだろう。

彼女はイギリスのために非常に身を尽くし、それ故「愛すべき女王ベス」と国民から敬愛されていた。まさにヒロイン。

メアリと違って、国際紛争や国内派閥の形成を避けるため、生涯結婚しなかったっていうのは有名な話。


彼女が成し遂げた偉業で特筆すべきは、


・イギリス国教会の確立

・アルマダ海戦で勝利

・東インド会社設立


この3つといったところか。


ではまずは、イギリス国教会の確立から。


エリザベスⅠのパパ、ヘンリ8世はイギリス国教会を成立させたと書いたが、彼女はそのイギリス国教会を”確立”させる。ここ違うので注意。

メアリ1世がカトリックを復活させるなどやらかしたおかげで、一時停止していた首長法を再び制定し、翌年1559年に「統一法」を制定した。

絶対王政の力を強めるため、まずは宗教を統一しなければならない。

この統一法の制定によって、イギリス国教会は体制を固める。



次にアルマダ海戦で勝利したことについて。


姉メアリ1世の旦那さんはスペインのフェリペ2世ですよね。前回参照だよ。

フェリペ2世時代のスペインは「太陽の沈まぬ国」と称されるほど、国内は全盛期だった。⇒補足1

莫大な領地を持っていて、そのうちにネーデルラント(現在のオランダやベルギーなど)が入っていた。

それが宗教対立の問題とかから、オランダ独立戦争が始まる。イギリスはそれを支援。ここでまず、イギリスとスペインは対立する。⇒補足2


その頃、イギリスには私拿捕船しだほせん(私掠船しりゃくせん)という、「外国の艦船を略奪していいですよー」、つまりは海賊行為が許される制度的なものがあった。ここでドレークという男が確実に出るので覚えておこうね。

スペインは度々、この私拿捕船で貿易船を略奪されていた。これはイギリスが悪い。


スペイン「たかが離島の小国が、我が国の貿易船を略奪するなどもう許しておけない! 無敵艦隊アルマダを率いて宣戦布告だ!」


フェリペ2世は、無敵艦隊アルマダでイギリスに対抗。

当時全盛期だったスペインが、イギリスとかいう島国に負けるはずがないですよ……

だって装備ガチガチに固めたスペインVS寄せ集めしかないイギリスですもん……(フラグ)


結果はイギリスの勝利。 ⇒補足3


これによって「太陽の沈まぬ国」と呼ばれたスペインは衰退の一途を辿り、逆にイギリスはこれによって繁栄していく。




補足1「太陽の沈まぬ国、スペイン」

現在の北米大陸や南米大陸には、マヤ、アステカ王国、インカ帝国など、独自の文明が発展していた。マチュ=ピチュはインカ文明の遺跡デス。

当時のヨーロッパ諸国からすると未開の地というか、まだトスカネリの世界球体説も広く普及されていなかったため、航海を続けると海の端に到達して落ちちゃうっていうのが一般常識だった世界。

かの有名なコロンブスは、このトスカネリの世界球体説を聞いた後、西回りでアジアに到達しようと考えた第一人者。彼は後にカリブ海の島にも到達している。


ポルトガルが先鞭をつけ、スペインが新航路と新世界(新大陸)の発見したことによって、この二つの絶対王制国家による「世界分割」が行われた。スペインはブラジルを除く南米大陸大半の領土を獲得。これによって、コルテスやピサロといったスペイン人が、領土の拡大などを目論んで、前述の文明を征服したり、破壊したりしていった。

そして、スペインは莫大な領土を獲得していき、太陽の沈まぬ国と称されるようになる。



補足2「オランダ独立戦争」

ネーデルラントは元々ハプスブルク家の領地だったけど、ハプスブルク家が、オーストリアとスペイン=ハプスブルク家に分離してからスペイン領とされていた。

ここはフランドル地方を中心に、早くから毛織物工業が発達していて、商工業が盛んだったが、利益は本国のスペインに取られていた。理不尽だね。

またネーデルラントはカルヴァン派(スイス・フランス・ネーデルラント・一部イギリスで信仰されていた)の影響が強く、宗教的にも対立があった。

ネーデルラントの新教徒に対して、フェリペ2世がカトリック信仰を強要したことから反乱が起こり、北部7州(現在のオランダ)が独立宣言した。ちなみに南部10州(現在のベルギー)はローマ=カトリック。

カルヴァン派は地域によって様々な呼び名があり、フランスではユグノー、オランダではゴイセン、イングランドではピューリタン、スコットランドではプレスビテリアンと呼ばれていた。ごっちゃにならないようにね。全部一緒だよ。



補足3「アルマダ海戦」

陸上部隊を派遣して、陸と海から挟み撃ちにする予定だったが、海軍と陸軍の連絡が上手くいかずに結局合流出来ずじまい。

そのため上陸を諦め、帰途につくことになったが、このとき南から強風が吹いていたので、イギリスを反時計回りに一周し、アイルランドの北側を抜けることにした。

ところがアイルランドの北側海域にさしかかると、暴風雨に遭遇。慣れない海域でコントロールを失った艦艇は次々と座礁、沈没した。

つまり敗因は戦いそのものじゃなくて、自然災害によるもの。

無敵艦隊とは一体………………





今日は補足があったので、東インド会社設立についてはまた次回。

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