第3節 【1154~1399年 プランタジネット朝】

今回は一気に200年ちょい説明します。めっちゃフランスが絡んできます。




めでたくノルマン朝を作ったウィリアム1世に、ヘンリ1世という息子がいた。

そしてヘンリ1世が結婚して、マティルダという女の子が誕生した。つまりウィリアム1世の孫娘。


このマティルダはフランス王国の貴族であるアンジュー伯ジョフロア4世と"再婚"し、ヘンリ2世を授かる。

さてヘンリ2世だが、言ってしまえばイギリス人とフランス人のハーフだ。

彼はプランタジネット朝ヘンリ2世として初代イングランド国王に即位したが、一方でアンジュー伯アンリ(ヘンリのフランス語名)でもあるわけだ。

うーんもうごちゃごちゃしてきたぞ。


ヘンリ2世には4人の息子がいたが、とりわけ末っ子のジョンを可愛がった。

兄弟間で土地を分配する際、わずか2歳だったジョンには土地が分け与えられず、「Lack Land(領地のない奴)」とむしろ可愛がっていたらしい。とはいえ、実はお母さんからは愛されていなかったようだ。カワイソス。

このことにより、ジョンは欠地王とも呼ばれている。フランスのフィリップ2世との戦いで大陸の領地を失ったためとも言われている。これ、伏線ね。


そしてプランタジネット朝の国王は、欠地王ジョン→の息子ヘンリ3世→の息子エドワード1世→の息子エドワード2世と引き継がれていく。2世だの3世だの非常にややこしい。


エドワード2世は、フランス王朝のイサベルと結婚し、エドワード3世をもうけた。

――そう、こいつが全ての元凶だった。彼はA級戦犯で間違いない。



後でフランスの章の際にも説明するが、エドワード2世が即位していた少し前、フランスではカペー朝のフィリップ4世が三男一女をもうけた。この一女が、前述したイサベルである。驚いたことに、この三男の誰にも息子がいなかった。


フィリップ4世「息子たちが後継者作ってくれなくてカペー朝が断絶しちゃった。親戚のよしみとして跡継いでよ」

ヴァロワ家フィリップ6世「おk」


という感じで、当時ヴァロワという土地を支配していたフィリップ6世が、ヴァロワ朝として新たに国王に即位した。


フィリップ6世がフランス国王に即位するとなったとき、エドワード3世が急に首を突っ込んでくる。


エドワード3世「俺ってカペー朝(イサベル)の血も受け継いでるから、王位継承権あるんじゃね?」

フィリップ6世「は? 何を言ってるか全然分かりませんなぁ」

エドワード3世「なら力づくでやるしかないようだな!」


これが、かの有名な百年戦争の始まりである。

厳密には1337年のエドワード3世による宣戦布告から、1453年のボルドー陥落までの116年間の対立状態を指す。Wikiでは開始年が1337年となっているが、フィリップ6世の戴冠式の年である1328年や、ギュイエンヌ領に干渉しだした1339年を百年戦争の初めとするなど、ここは差があるようだ。


百年戦争って「イギリスとフランスの戦い」と思われがちだが、実際は領地争いも入っています。ヘンリ2世はイギリス王でありながらフランスのアンジュー伯でもあった、これは結構重要。イギリス国王なら領地を持っていて当然。しかもヘンリ2世はフランスの有力貴族アンジュー伯でもあるわけだから、フランス国内にも領地を持っていた。その領地というのが、ギュイエンヌ、ノルマンディー、アンジューだった。


これをよく思わなかったのがフランス国王。まあ当然ですね。それで「イギリスの領地を奪還するぞ」ってなっていたが、やらかしたのが欠地王ジョン。彼の失策で、イギリスは大量の領地を失う事になる。はい伏線回収。(でもギュイエンヌ地方は取られなかった)

だから今度はイギリスが「フランスの領地を奪還するぞ」ってことになった。一方フランスは「ギュイエンヌ地方も奪還してイギリスの領地をなくすぞ」という目標を掲げる。


両者どっこいどっこいなんだよなぁ。

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