第2話 能力、確認します
「ところでステータスの確認はもう済んだかのう?」
「えっ、なんだそれは?」
疑問を疑問で返す会話下手の鑑である。
「…まあ知らなくても当然じゃろう。じゃあ、頭の中で『ステータス』と念じてみろ」
「あ、うん。『ステータス』!」
俺がステータスと発すると、目の前に半透明で薄い青色のプレートが現れた。
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・ゼギアス 17歳
・系統/種族
アンデット、異世界人/
・
吸血
再生
月光浴
・
・加護
夜の加護
・称号
蘇りし者
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「うわっ!なんだこれ?」
「それが己のステータスを覗くことが出来るこの世界の理、『ステータスボード』じゃ」
今俺の目の前にあるプレートはステータスボードというらしい、なんかゲームのステータス表示みたいだな。
「ちなみにスキルは頭の中で念じればその
ますます、ゲームぽいな…あれ?
俺はステータスボードの中に違和感を感じ、首を捻った。
「ん?どうした、変な
「いや、そういうわけじゃないけど…」
「じゃあなんじゃ」
「名前が違う」
そう、名前が違うのだ。17年間連れ添って来た俺の白風誠人という名前は、ゼギアスという名前に変わっていた。
「どれ、ちと見せてみろ」
「え、ステータスボードって他の人でも覗けんの⁉︎」
「なに普通は覗けんよ、じゃが儂のスキル『鑑定眼EX』ならそれが可能じゃ」
そう言ってロットさんは興味深そうにステータスボードを覗き込んだ。
「……な、なんじゃ、これはっ…!」
「なっ!名前が違うだろ?」
「儂が言うておるのはそこではない、こんな異常なステータスなんぞ初めて見たぞ…」
ロットさんは目を見開き、震えながらステータスボードを睨みつけていた。
「………まあよい、取り敢えず名前じゃったな。また儂の推測になるがいいかの?」
「…あ、はい…どうぞ」
ロットさんの変わりようから俺は途切れ途切れの返事をした。
「多分じゃが御主ではなくその体の元の魔物の名前なんじゃないかのう」
「この体の元の魔物…」
「そうじゃ、転生の過程で御主の精神がその体を乗っ取ってしまったからその個体名がそのままステータスボードに書いてあったのじゃろう」
この体の元々の名前、精神体である俺の名前ではなく、この魔物の本当の名前…何故か不思議と納得してしまった。まるで本来の名前を思い出したような、そんな安心感があった。
「取り乱し過ぎたかのう、まああんなステータスなんぞ見せられれば誰だって取り乱すわい」
「俺のステータスはそんなに変なのか?」
「ああ、正直言って御主、マサトのステータスは異常じゃ。それこそ比喩なしで世界を滅ぼせるぞ」
体全体に悪寒が走った。自分ではそこまでの力があるなどとは思わなかったから。
「だから儂は今決めた、御主の力が暴走せんように初代勇者であるこのガーン・ロットがしっかりと育ててやる。覚悟しろよマサト」
「え⁉︎しょ、初代勇者!ロットさんが⁉︎」
「まあ、今の儂からじゃ想像出来んじゃろう?なに心配するな、かつては龍と素手で戦ったこともある。指南役なら幾らでもできるぞ」
こうして俺はロットさんの元でスキルの鍛錬に励むことになった。
星歴186年ーこの二人の邂逅が一体の化け物を生み出すなど、まだ誰も知る由も無い。
そしてその二年後、物語は紡がれ出す。
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