いや、世説新語のエピソードで知ったんですが、なかなかにエグい人品をしておられる。その諸葛恪に対して格調高く、雅やかな筆致で描き出してくださっているのが、この作品。
ちなみに世説新語では、父親の任地から派遣された使者を散々に嘲笑ったところ、その使者に返ってやり込められる役で登場します。顛末からしても、どうしても道化役に位置付けられるしかないのかなーと言う感じではありますが、一方で諸葛瑾の心痛たるや、もう。
世説新語に呉の人物はあまり登場しないのですけれども、人物造形が中原に較べるとやはり色鮮やかであるような気もします。そう言った色合いを、流麗な文辞の中から垣間見せてくれる好短編です。