番外 猫夢を見る
プロローグ
サンドスター火山。
この日、野生解放の修行の仕上げに彼が山頂まで登った時のことだった。
火口に向かい丁寧に手を合わせ一礼し、さぁ帰るぞというまさにその時だ。
「囲まれてる!?」
彼は不幸にもセルリアン囲まれてしまったのだ。
フィルターが張り直されたはずの火口でこの数のセルリアンが出現した件は、後にそこかしこに散らばる無機物のせいではないか?と結論付けられたが、今の彼にはそれを知る由はない。
ワラワラと一つ目の団体が彼に向かい押し寄せてくる
「グゥルアァーッ!!!いい加減にしろぉーッ!!!」
パッカーン!パッカーン!パッカーン!と勢いのまま何体も弾けとぶセルリアン。
彼は何度も迎え撃つ、師匠ヘラジカの槍を振るい石を砕く… がしかしまだまだ来る。
切りがない「まるで無双シリーズだ」なんて考えていた時だ。
「あぁ!クソッ!もう一度!… あ…れ…?」
力が抜け、爪や耳、尻尾も彼の体から消えていた。
サンドスター切れ… 濃度の濃い山にいる彼は特異体質故サンドスターが充実していたはずだったが、まだまだ肉体的に未熟な彼は戦闘でいっきに飛ばしすぎたためにそれすらも使いきってしまったのだ。
もとのサンドスター保有量が少ないのもあるが、いかんせんこの頃の彼の野生解放はあまりにも燃費が悪すぎた。
分が悪い!逃げないと…!
そう思いフラつく体にムチを打ち立ち上がった。
四輪走行のバイクのような乗り物、ジャパリバギーに乗ると彼は一目散に走り出す。
この時、考えごとをしていた…。
降りたらまずこの惨状をハンターに伝えようだとか、なぜこんなにもセルリアンがいるだとか、自分が四神に何かしてしまったのか?など不安に駆られて頭がごちゃっとしていたのだ。
そんな状態での運転だったためか…。
ガンッ!
その時、道の悪さから彼はハンドルを取られ崖の側の岩にバギーを衝突させてしまった。
「しまっ…!?」
その勢いで空中に投げ出された彼はそのまま崖の向こうへと姿を消した。
…
…
…
ズザァァァァ!!!!
「ぐぇ!?げぇっほっ!?ブハっ!ふぅ… 助かっ…た?」
待てよ?えぇ?浜辺?なんで?随分飛んだな、いや… 砂だからって山から落ちて助かるか普通?
見知らぬ浜辺に俺はいた…。
勿論どこかわからない、でも日の出港の側ではない気がする。
「なんだここ… どこだ…?」
俺の名前はユウキ、パークでは皆俺をシロと呼ぶ。
母にホワイトライオンのフレンズ、父に普通の人間を持つ。
今… 16歳…。
頭は正常だ、もともとイカれてなければだけど。
俺、どうなった?死んだの!?
夢でも見てるのか!?
猫の子
番外編
猫夢を見る
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