第67話 じまん
「あ、セルリアンだよ!?」
「おっまかせぇーい!」パッカーン!
「さすがですね!」ウットリ
なんてな感じで、そこそこ元気になってきた俺は戦闘員として二人の護衛を勤めております、槍を持ち出しておいてよかった。
ガス欠になったバギーをバスで牽引しながらさばんなちほーを駆けています、まずは例の水辺で水分補給をしましょうということで。
「だぁれぇ~?」ザバァ
「カバ!おはよう!」
「おはようございます」
「どーも、しばらくぶりです」
「あらサーバル?かばんにシロも… 沢山いるのね?揃ってどうしたの?お水、飲む?」
こちらのナイスバディが久しぶりに会いますカバさんでございます
是非飲ませていただきましょうとそこで三人揃って水分補給を済ませる、ついでに水を汲んでおこう、水は生命の源だ。
とそこでカバさんはなにかに気付いたらしくこの時驚きの声をあげたのだ。
「あぁ~!昨日のあれはあなただったのね!?」
「え?なんのこと?」
突然目を丸くして俺を指差すカバさん、楽しそう… って感じじゃない、どちらかと言えば怒っている見える。
そんな彼女が言うには…。
「昨日すごい早さでここを駆け抜けていったのあなたでしょ?土埃がスゴくてむせてしまったわ!後ろのそれよ!」
とのことらしく、“後ろのそれ”とはバギーを示している。
あ、あぁ~なるほど… バギーのことか、そうだなぁ急いでたしそういえばここ通ったかもしれない。
かばんちゃんに会いに行くのにバギーぶっ飛ばしてたから気づかなかったけど、カバさんいたんだね?ホントにすまないと思っている。
「ご、ごめんなさい… 実はそれには理由があります、とても急がなくてはならない理由があったのです…」
「あら?なにかトラブルでも?」
何だかんだ心配そうな目を向けてくれるカバさんはさすがさばんなちほーのお母さんだ、そんなお母さんには今回のことをきっちりご挨拶させていただきたい所存であります。
「いやトラブルというほどでは… 結果喜ばしいことになったので今日はカバさんにその事を報告しようと思って」
いざ言うとなると緊張するものだ。
とか思いつつも、俺はシレッとかばんちゃんの手を引きそのまま肩を抱くと、カバさんに見せ付けるように前に立った。
「なんですの?急に二人でくっついてどうしたの?」
「カバさん、俺とかばんちゃんは愛し合っています」
「…ってます///」ボソ
「愛し… 合っている…?」
「そういう関係になったことを伝えに来たんだ、まずはカバさんに!」
「?」って顔してるね、お気持ち察しますがもっとこう「あなた達がですのぉ~?おめでとう!式でスピーチしますわ!」とか言ってほしかった、で俺達は「式の予定はまだですよぉ~///」とか言うんだ。
カバさんは腕を組み顎に手を当てている、頭に入った情報を処理してるのだろう、虚空を見つめている。
腕を組むのは決してその胸を強調したいからではないはずだ、第一あなたはそんなことしなくても十分強調されてますから、尤も… 牧場のお姉さんほどではないがね?
「シロさん…」
「ん?」
「いえ… いいんです」
かばんちゃんの様子が… はっ!?
俺の視線の先を感ずかれてしまったか!
目を向けるとかばんちゃんはお胸を気にしているようで、カバさんと自分の物を交互に見比べていた。
名前の似ている二人だが、カバさんが性戦士バインバインなのに対しかばんちゃんは。
「はぁ…」ペタペタ
慎ましいサイズがコンプレックスなのか自分の胸をペタペタと触り溜め息をついている
無いんじゃないんだよ?ちょっと慎ましいだけ!具体的にかばんちゃんの肉体年齢がいくつくらいなのかわからないが普通だと思いますよ?気を落としてはいけない!
「僕なんかどーせ…」シュン
「かばんちゃん!胸がどうかしたの?痛いの?」
「痛いのはね、心だよサーバルちゃん」
「どうしたの!?わたしかばんちゃんの力になるよ!」
と優しき獣サーバルであったが、そんな君もあどけない表情のわりになかなかのものをお持ちでらっしゃる、おそらく彼女には追い討ちになるのではないだろうか?
「僕なんて胸も小さいし… みんなみたいに美人でもないし、髪もクセっ毛だし」シュン
す、すごく傷ついている!胸以外のとこでも悲しみ始めた、ここは彼氏として早くなんとかしなくては!
「か、かばんちゃん…?」
「知りません…」プイ
怒ってる… 大きい胸に目がいくのを許してくれとは言わないが、ああいう感じだとつい目がいってしまうという性を背負っているんだ、それをわかってほしい。
何も君を傷つけたい訳ではないよ?むしろ変な性癖ではないことに安心して?
いやダメだ、これは屁理屈!素直に謝りましょうね?
「ご、ごめんね…?」
「大きいほうが好きですか?」
「や、それは…」
「大きいほうがいいですよね…?」シュン
あぁー!?悲しまないでー!?
テンパった俺は人目も憚らずかばんちゃんを後ろから抱き締めた。
「かばんちゃん!小さくても君の胸が好きだぁ!」←暴走
「し、シロさん!?変なこと大声で言わないでください!」
「よしわかった!これからかばんちゃんの好きなところ100個言います、だから許して?お願い!」
「わぁあ!?ちょっと待t」
「可愛くってぇ?おしとやかでぇ?それでいて頼りがいが…」
「もう怒ってないですからぁ!あとでゆっくり聞かせてください!」
危機は脱したな、君のいいところなんて星の数ほどあるんだぜ?
「サーバル、なんなのですのこれ?」
「ふっふーん!二人は恋人になったんだよ?すごいでしょ!」
「なんであなたが得意気なのよ?まったく、見せ付けてくれますわ?要は自慢をしにきたのね?」
さて、かばんちゃんの機嫌が直ったところでカバさんのとこはここまでだ、カバさんは「次は子供ができたら教えてちょうだいね?」とお母さんみたいな笑顔で送り出してくれた。
しかしサーバルちゃんといい… 当たり前のように子供のことを待ち望むのがフレンズ流なんだろうか?
まだうら若き十代なせいか子供を作るというのに実感が沸かないな?だって赤ちゃんを作るにはまずかばんちゃんとアレコレしなくてはならない。
でも当然お互い初めてだ、というか逆にかばんちゃんが初めてじゃなかったら俺ショック死するかもしれない、かばんちゃんのいろんな初めてを奪うようなそんな元カレがいたら科学忍法火の鳥だ。
それよりちゃんとその… できるだろうか?ほら、上手にさ…?
だって夜がうまくいかなくて破局するカップルがいると聞いたことがあるし?
そういうことしたいのは当然として… それ以上に不安だ。
「シロちゃん?難しい顔してどうしたの?」
「サーバルちゃん… 俺は父親になる以前に、かばんちゃんを満足させることができるかなって…」←性獣
「わかんないや!」
そうだね?だって「かばんちゃんってここが弱いんだよ!わたしいっつもしてあげるんだ!」とか言われても、逆に俺がなんて答えたらいいかわかんないや!
しかし、サーバルちゃんは何度もかばんちゃんを応援し続けた言わばプロだ、俺を励ますこともわけないのだ。
「でもかばんちゃんはシロちゃんのこと大好きだから!きっと一緒にいるだけで満足してるよ!それに頑張り屋さんな二人だから!素敵なパパとママにもなれるよ!」←聖獣
「そっか、ありがとうサーバルちゃん…」
純粋だな、俺の心がいかに濁っているのか分かるくらいに。
なんでもそういう風に考えてはいけないのだけど、どうも手を伸ばせば届いてしまうと思うと早足になってしまう自分がいる。
気持ちの問題だ、独り善がりなら誰にでもできる、思いやりを持って接していかないと。
当たり前だが難しいことだり
「二人でなんの話?」
「シロちゃんならかばんちゃんを満足させられるよ!って話してたんだ~!」
「え?はい、満足ですよ?」ニッコリ
「うん、今ので俺も満足した」
…
カバさんのとこからバスで数分、じゃんぐるちほーへのゲートが見えてくる、俺は運転席の方に顔を出して彼女に話しかけた。
「そろそろゲートかな?」
「はい、見えてきましたよ?」
看板やアーチ状の物が見える、なんでもあそこに大きめのセルリアンがいて二人でやっつけたってね?やるもんだ。
「一度止めてくれる?バギーの燃料があるはずだから探してみるよ」
「はい!… あと、あの?」
「どうかした?」
少しモジモジとしながら頬を赤く染めた彼女が俺に言う。
「好きなとこ100個… 僕も考えておきますね?」
よし、今夜は寝かせるわけにはいかないな…←性豪
と言いたいとこだが、かばんちゃんのこんな純粋なところ見てると本当に俺のこの邪な考えが恥ずかしくなる。
はぁ…。
その無垢で曇りのない心が俺のせいで汚されていくのか、いいのかな?俺がこんないい子と一緒にいて。
「あの、どうしたんですか?」
表情に出てたかな?心配そうにこちらを見ている。
「ううん… 俺かばんちゃんのことすごい好きだから、たまに変なこと言ったりしたりするかもしれないけど、嫌だったら言ってね?嫌われたくないから…」
「もぅ… シロさん僕と同じようなこと考えてたでしょ?」
同じようなことって?あぁ、自分が悪い女ってことか… かばんちゃんこんな気持ちになって俺をフッたのか、好きなのに敢えて突き放すなんて臆病な俺にはできない。
君は強いよね?だからこそ辛い思いをさせたね?本当に。
そんなヘタれな俺を見て、彼女はまたニッコリと笑い返して俺に言う。
「嫌いになんてなりません、ずーっと大好きですよ?」
今胸がズキューン!ってなった、よしいつか絶対子供作ろう。
「チューしてもいいかな?」
「あ、後にしてください…///」
…
バギーの燃料はゲート近くの小屋で補充できたが、せっかくだからと二人はバスを走らせてくれた、みんなに挨拶(自慢)をしなくちゃならないし、一緒に行動したほうがいい。
だって寂しいだろ?
というわけで…。
「あんいん橋です」
「正確にはかばぁんいん橋だよ」
「やめてくださいよぉ…」
改めて思うとぶっ飛んだネーミングだ、もうかばんちゃんが作った原型なんて留めてすらいないのに。
「わーい!かばんちゃん!滑り台やってきてもいい?」
「うん、流されないでね?」
「大丈夫大丈夫~!」
そう言うってことは流されたことがあるんだなきっと、ところでなーんかおかしなことになってる。
あちらを滑る元気な女の子をご覧よ?
「わーい!わたしはジャガーだぞ~!」
あれはコツメちゃんだけど…。
「あれってジャガーさんの服じゃ?」
「俺にもそう見えるよ」
「「ということはぁ~…?」」
期待を込めている訳ではないけど、ジャガーちゃんどこにいるのかな?と周囲を見回して見たところ…。
ガサガサ と音がする、木の上だ。
そこにいるのはやはり…。
「かばん、シロ… よ、よく来たねぇ?」
「あ、ジャガーさん!」
「そこにいる理由は何となく分かるから聞かないでおくよ」
「わ、悪いねぇ~?カワウソのヤツあれから服を交換するのにハマッちゃって…」
奪われたようだ、チラチラ肌が見えるということはコツメちゃんの服を着ている訳じゃないんだろう。
それ即ち、全裸である。
木にも登らなあかんしぃ?水にも入らなあかんのにぃ?
全裸である。
最早木から降りられない子猫状態になっているのがジャガーです。
「どうしましょう?なにか着るものは…」
「う~ん… ジャガーちゃん!とりあえずコツメちゃんの服着たら?」
「ダメだぁ、あれ小さくてさぁ!キツすぎぃ!股が痛いんだよ!胸も苦しいし!」
なるほど、食い込むんだね?実にけしからんよそれは… 全裸か食い込みスクミズを余儀なくされたジャガーちゃん、全裸を選ぶ! …の巻。
「じー…」ジト
「か、かばんちゃん?俺なにもしてないよ?そうでしょ?」
「目がえっちです」
「ごめんなさい…」
ところでジャガーちゃんを助ける方法がわかった、とりあえず俺の上着を使おう。
「わかった、小さいのがダメなら大きめの服を使おう、ジャガーちゃん!とりあえず俺の上着を貸すよ!ギリギリ下まで隠せると思う!ギリギリだけど!」
「ごめ~ん!ありがと~!」
かばんちゃん怒ったかな…?
顔を見ると少し不服そうだ、たしか寒がるツチノコちゃんに上着を着せた時も相当に悔しがったそうだから、でも君に至っては俺の匂いがびっしり染み付いたシャツを数日使ってたじゃないか?そんな子は君だけだ、堂々の一位。
しかし裸のままというのはジャガーちゃんの名誉に関わるので彼女も黙認しているようだ。
俺は上着を木に放り投げ、ジャガーちゃんがそれを華麗にキャッチする。
すぐにカサカサと木が揺れだした、試着タイムだ、ミュージックスタート!←しません
「へぇ~温かいねぇ?あれ?…なんだこれ?わたしのと違う!前が閉めれないよ!」
ジッパーがわからないのか…?
「片方の金具にもう片方を差し込んで!ツマミを上に引っ張るんだよ!」
「え~っと… いや、わからん…」
ボタンよりずっと簡単なはずだけど、どうしようかな?
「ん~… 仕方ないな、上がるか」
「シロさん!」ガシッ
ヴェ!?ナニスルンディス!?
早くジャガーちゃんを… あぁそうか。
「僕が行きますから!ここで待っててください!」ムスッ
「え!?あ、あぁごめんなさい!は、はい!喜んで!」
そうだよね俺が上がったらダメだよね?
だって今ジャガーちゃん裸全開男物上着とかいう童貞を殺す仕様だもんね?ところでかばんちゃん木登りなんてできるの?結構高いけど?心配だからいつでも受け止めれるようにしとこう。
「こうですよ?」
「はぁ~良かった!ありがとうかばん!」
「どういたしまして!」
ことが済むとなんのことはない、かばんちゃんはすいすいっと降りてきた、お見事。
一方ジャガーちゃんは、シュタッ!て飛び降りてきたが、お見事。
しかしかばんちゃん、意外だな?あんなに運動神経がいいとは。
「驚いた、かばんちゃん木登り上手いね?」
「あ、はい!サーバルちゃんが教えてくれました!」
なんでも木の上ならセルリアンからも逃げられるし遠くの方も見えるから便利だということで覚えたらしい。
やるもんね。
…
どうでもいいことだが… ジャガーちゃん全裸じゃなくてニーソみたいのは装着してたよ、故に今は… 裸男物上着Withニーソ装着が正しい、どちらにせよ童貞を即死させる仕様だし逆にフェチ心を刺激するから危険だ。
「カワウソー!服返せ~!」
「なにそれー!今度はそっちと交換だ~!」
「ジャガーちゃん!又貸し禁止!」
「ごめんごめん…」
無事元の持ち主に戻った服達、してやはり流されたサーバルちゃんをジャガーちゃんが救出した後に、俺とかばんちゃんは互いの関係のことを話した。
「へぇ~二人がねぇ?」
「ねぇかばん!幸せ?ねぇ幸せ?」
「えっとぉ… はい///」
「「ヒューヒュー!」」
いや照れますねぇ…///
二人からは今回の件でまたパーティーをすることを催促された後、さも当然のように「赤ちゃんは!?赤ちゃんは!?」とそれはもう期待大な感じでグイグイこられてしまった、話題は子作りに移行されかばんちゃんが手で顔を覆っている、可愛い。
「ねぇジャガーにカワウソ?二人が安心して赤ちゃん作れるとこってないかな?」
「う~ん… あの木の上はどうかな?大きいから隠れられるよ?」
そうだねあなたも隠れてたもんね?
って言うかサーバルさん余計なことを言わないでくれませんかね?ジャガーちゃんもハイレベルのこと言わないでください。
まぁそれは置いといてだ…。
このままジャングルを抜ける前に高山に登らなければならない、カフェでアルパカさんとダブルトキちゃんにも報告しないといけないからだ。
「電池ノ充電モシテオコウネ」
とラッキーから注意を頂いた、その通り充電も大事。
「バスは一旦ここに置いていっていいですか?」
「いいよ!」
「遊んどくね~!」
なんて会話は初めてバスを見付けた時もしたそうだ、ほとんど同じシチュエーション。
違いはラッキーが腕時計みたいになったことと、俺がいることか。
まさに二人の旅を追体験した物となっている、しかも目的地はその時と同じジャパリ図書館だ… 不思議だね?
「シロ、かばんのことちゃんと守ってやるんだよ!」
「赤ちゃんが生まれたら~?また一緒にジャガーに乗せてもらおうよ!」
もちろん守るさ、初めてできた大切な人だもの… あと赤ちゃんはすぐには連れてこれませんから?いやできてすらいないし!励んでもいない!クソ!意識させんな!
では、サバンナにジャングル… お次は高山でご挨拶だ。
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