第52話 おかたづけ
パッカーン!!!
ビームで石を砕かれたセルリアンは大きな音をたてて弾け飛び、空さえ覆っていたその巨体は姿をけした。
一仕事を終え博士達に連れられて降りてきた彼女。
強がって無理をしたに違いない。俺はすぐに側に駆け寄り声をかけた。
「ツチノコちゃん、大丈夫?立てる?」
「はぁ… はぁ… 悪い、肩貸してくれ?」
「おっと」ストン
虚ろな目で一言そう言うと、まるで糸が切れたみたいに俺の懐に倒れこみ眠ってしまった。
そんなに体に無理のある技なら使わなきゃいいのに。
それにしても目からビームか、ツチノコって目からビームだす獣なんだね?いいなぁ~?俺もビームだしたいなぁ~?
っとまぁそれは置いといて。
受け止めたその時、風でフワリと脱げたフードから綺麗な青い髪が露になった。
髪はそのまま風でフワフワと揺れている、思わず触れてみたくなるが我慢だ、寝ている女の子に無許可でそんなことをしてはいけない。
「お疲れ様」
それから懐で小さく寝息をたてるツチノコちゃんを所謂お姫様抱っこで持ち上げ運び出す、軽い。
今火山にいてフレンズパワーマックスなのも勿論関係してるかもしれないが、彼女は小柄なので余計に軽く感じる。
「さてと… どこか横になれるとこに運んであげないと」
ぐるりと辺りを見回して良い寝床を探す。
バスがいいだろうか?あそこにはサーバルちゃんお気に入りの寝床がある、ゴツゴツの地面より遥かにマシだろう。
でも勝手は良くない。
周囲を見渡してかばんちゃんを探すと、彼女は来てくれたみんなに律儀に声を掛けているようだった
緊急時とは言え無許可使用はできないので一言くらい伝えておこう。
「かばんちゃん、ちょっとお願いが…」
「はい、なんでしょう?あ… ツチノコさん寝ちゃったんですね?」
フッと振り向いたかばんちゃんはすぐにツチノコちゃんに気付き一瞬目を大きく見開いていた。
「休ませてあげたいんだけど、バスで寝かせてあげてもいいかな?」
「はい、大丈夫です!どうぞこちらに…」
丁寧だなぁ…。
まるでホテルマンや高級レストランのウェイターさんを見てるような、そんな丁寧な案内を受けバスへ誘導してもらった。
着くなりそっと寝かせてやり、穏やかそうな寝顔に俺も安堵した。
スー… スー… と変わらず寝息を立てている、余程疲れたのか起きる気配はない。
「大丈夫そうですね?」
「うん、ありがとう!」
「じゃあ… 僕行きますね?」
かばんちゃんは他に何か特別話すわけでもなくその場を後にしようとしている。
忙しいのかもしれない… が少し待ってほしい、話しておきたいことがある。
「待ってかばんちゃん?」
「あ、はい…?」
呼び止めるとすぐにこちらを振り向いてくれた。
なぜ呼び止めたって、それは今回の件をどう見てるか彼女とは話しといた方がいいと思ったからだ、本当は博士達も立ち会わせたいけどとりあえずかばんちゃんにだけ聞いておこう、意見を交換したい。
「今回のこと、どう思う?少し意見を聞きたいのだけど」
「…」ムス
あ、あれ?返事がないね…。
なんか目がちょっと… 怒ってる?
「ごめん、忙しかった?」
「あ… いえ大丈夫です、そうですね?フィルターで塞いでるのにここにはセルリアンが多い… というとこがなんとも…」
大丈夫ならいいのだけど… 後日ゆっくりでもよかったかもしれない、ごめんなさい。
さておき、彼女の意見はもっともだ。
フィルターを張り直した張本人でもある彼女には尚更火山のセルリアン発生に疑問が残ることだろう。
でもきっと、同じ答えに行き着いているはず。
「うん… でも今回飛行機がセルリアンに変わったのでわかった気がするんだ」
「僕もです、無機物… ですね?」
「そう、ここには物騒な物がゴロゴロしてるからね?」
やっぱり、流石かばんちゃん。
ここにある砲弾や鉄屑、これが元になりセルリアンがでてるんじゃないか?
戦闘機が乗っ取られたのが証拠だと思っている、そしてまだまだここはゴミが多い、また何か起こる前にここを大掃除する必要がある。
「ここにある鉄屑を全部回収してどこかにまとめておけないかな?どこかサンドスターの当たらないような場所…」
「僕もそう思います、そうですね… 小屋か何かを建てるか、あるいはどこか空いている建物に入れてしまう… というのはどうでしょう?」
名案だ、物置小屋… というかゴミ捨て場のようなところが必要だ。
彼女の言う通り新しく建てるか既存の建物にでも。
「うん、小屋を建てるとすればビーバーちゃんとプレーリーちゃんに頼もうか?空き家は都合よくあるかな?なんにせよ火山からは遠ざけるべきだよね?」
「はい、万が一に備えて港がいいんじゃないでしょうか?セルリアンは海に弱いので」
「それだ!OKありがとう、博士たちにも伝えとくよ?」
「はい… あの、シロさん?」
話がまとまり、立ち上がってバスを降りようとしたときだった。
どこか複雑そうな表情をしたかばんちゃんに呼び止められた、やはり何か失礼があっただろうか?
「ん?なに?」
「あの…」
手を伸ばしたり引っ込めたり、こちらを見たり見なかったり…。
何か言い難いことだろうか?ほら、チャック開いてますよとか?でもそれは大丈夫だ、チェック済みなのさ。
あとはなにかな?顔に何かついてる?あ、臭うかな?いや、出掛ける前に体を洗ったばかりだ。
もしかするともっとそういうのでなく、猫耳触ってもいいですか?とかかもしれないな、かばんちゃん尻尾とか耳とか好きみたいだから。
フッ… サービスだぜ?触れよ?←傲慢
「言い難い?」
「いえ、その…」モジモジ
「ゆっくりでいいよ?ちゃんと言えるまで待ってるから!」
「えっと…」
そう、相手の言いやすいタイミングがあるものだ、早く知りたくても急かしてはいけない。
のだが…。
「ごめんなさい、やっぱりなんでもないです…」
「そっか」
結局教えてはもらえなかった。
気になるなぁ~?でも無理に詮索しても教えてくれないだろうし、本人の意思に従うしかないだろう。
「もし言えるようになったらその時に聞かせてくれる?俺はいつでも大丈夫だから!」
「はい、ありがとうございます…」
「なにか俺のせいで悩んでるならごめんね?博士のとこ行くけど一緒に来る?」
「いえ、大丈夫です」
き、気になる!気になるけど… 出直すとすっか!
俺はクールに去るぜ?
…
「じゃあまたね?」とシロがバスを降りた後、かばんは眠り続けるツチノコとそこに残り彼の背中を見送った。
「はぁ… 言えないよ…」
ツチノコの寝顔を一度見たあと、俯きがちに溜め息を吐きながら呟いた。
「カバン 悩ミ事ハ一人デ抱エテハダメダヨ」
「はい、大丈夫です…」
腕に輝くラッキービーストは、そんなかばんの微妙な変化に心配の言葉を掛けた。
自分が着いているよ… とそう言っているのだ、しかし。
苦しいなぁ… これ…。
かばんの悩みは恐らくラッキービーストはどころかサーバルにも解決できないだろう、この悩みばかりは己の力で解決するしかないのだから。
…
先程の件、博士達に伝えると迅速に動いてくれるらしいとのこと。
「ならば、休んでる暇はないのです」
「このようなこと、そう何度も起こすわけにはいかないのです」
「お、長っぽいね?」
「長なので」
「賢いので」
港に木造で大型の倉庫を作ることを計画、湖畔コンビを呼び出し作業にかかる。
「ではビーバー、頼むのです」
「これで滞納しているジャパリマンの件はチャラにしてやるのです」
「本当っすかぁ!?」
「やったでありますなぁビーバー殿!うぉぉぉ!俄然燃えてきたでありまぁーっす!」
借金のチャラと聞くなり山を駆け降りていく二人。
タフな子達だ、さっきまでセルリアンと綱引きしてたのに、でも二人だけじゃ大変なのでジャガーちゃんやカバさんにも協力を要請しておこう、あと他にも数人。
ここは一つ、建設班と運びだし班で分けることにする。
「キッツくなるよこの仕事?」
「済んだらごちそうを作るのです」
「この際パーティーにしてしまいましょう、祝杯です」
「そうだね、始まりはそもそも俺のせいだし頑張るよ… とそうそう、忘れる前にちゃんと言っとかないと」
計画が進み始めたので俺は忙しくなる前に元気なあの子のもとへ行く、もう一人の事の発端と言えるあの子の元へ。
「アライさん、ちょっとこっちにおいで?」
「なのだ…」
暗い、大事になったので彼女なりに責任を感じてるんだろう。
まぁ危険は承知でみんなを集めたんだ、もし何事もなくバギーを戻すことができても、俺はこれから言うことと同じことを彼女に言うつもりだ。
「なぜ呼ばれたかわかるかい?」
「ぐぬぬ…」
「シロさん勘弁してあげてよー?シロさんに喜んでほしかっただけなんだよー?」
俺を止めに入りアライさんを庇いにきたフェネックちゃん、いやなにも説教しようなんてつもりはないんだ、ただ聞いてほしいことがある。
もちろん君にもだフェネックちゃん。
「知ってるよ、フェネックちゃんも聞いて? …まったく無茶して、聞いたとき心配したんだよ?近頃顔見せないしどうしたのかと…」
「「ごめんなさい」」
「だけど…」
俺よりも背の低い二人の頭にポンと手を乗せて優しく撫でながら伝えた。
「俺の為にありがとう、でも今度からはちゃんと教えてね?」
「はいなのだ!」「はいよ~」
うん、やっぱりみんな笑顔じゃないと、そんなに身構えなくても俺の為に動いてくれたのに怒鳴ったりしないよ。
「ところでフェネックちゃん髪の毛フワフワだね?」
「ふっふっふー」得意気
驚いたぜ、指通り滑らかサラサーティー!
いい匂いしそう。←変態的思考
「アライさんはどうなのだ?」
「普通だね」
「うぇぇ!?」
「アッハハ!冗談だよ、サラサラだよね?」ナデナデ
フレンズは皆髪が美しい、健康な証拠だろう。
そしてこの後アライさん達が颯爽と駆け付けた俺の話を自分のことのように皆に自慢し始めた、むず痒いからほどほどにしておくれ?
「シロさんはスゴいんだぞ!もうダメって時に颯爽と現れたのだ!ヒーローなのだ!」
「上から降ってきてーセルリアンに穴を開けたのさー」
照れ臭いね、ヒーローだなんてそんな。
でも本当のヒーローは皆を危険な目に合わせたりしないのさ、どうしようもないこともあるだろうけど。
それでもみんながご飯を食べてたり昼寝をしてる間に脅威を片付ける、皆の安心を皆が知らぬ間に守ることのできる存在こそ新のヒーローだと思う。
だから俺はやっぱりハンターの皆さんをヒーローとして押すかな、特にリカオンちゃんは今回のMVP的な存在だ。
「リカオンちゃんお疲れ様、怪我は無い?」
「おかげさまで、シロさんが来なかったらツチノコと会えなくなるとこでした… ありがとうございます!」
「いや、リカオンちゃんが守ってくれたから間に合っただけだよ、少しでも遅かったらと思うとゾッとする… ありがとう、やっぱりハンターの名は伊達じゃないね?」
「いえ、自分なんてまだまだです… 自分が付いていながら皆を危険な目に逢わせるなんて…」
謙遜が過ぎる、君が居なかったら誰にも会えなかっただろうに。
まぁ人命が関わるとなると責任が重いのわかる… 次だ次!ってわけにいかないのだから。
でもそれで自信を無くしてはいけない。
「リカオンは本来群れで狩を行うんだってね?」
「そうですけど…?」
「だったら大したものじゃないか?個性も特性もバラバラのチームで皆を守りきったんだよ?しかも予測不能の敵を前にして攻撃方法を見付けたのもあったからアレを倒せたんだ」
慣れたハンターのチームプレイや、あるいは連携の上手い子達ならもっと上手くやれていたのかもしれない、それでもリカオンちゃんはまさに十人十色な特性を持つ彼女達とチームを組みそれを守りきった。
俺だったらできない、自分のことで手一杯になる。
「それでも、助かったのはやっぱりシロさんが来てくれたからで…」
「飽くまで俺を褒めたいのならそれは嬉しいことだけど、褒められるような仕事をするとしたらあの時俺が石を砕いていないと
きっとそれももっと戦いなれている子ならできていたと思うんだ、それこそリカオンちゃんならもっと確実にできたと思う」
「自分がですか?あんな高いところから落とされるのは流石にオーダーキツいですけど…」
キツいさ、実際怖かったもの。
そういうことではなく、奇襲を掛けた時君なら決めてたと俺は言いたい。
だから自信を持ってほしい、君は立派なハンターなのだから。
「やり方はいろいろあるでしょ?とにかくリカオンちゃんならあの時終わらせられるんだよ」
「ふふっ、ありがとうございます!シロさんは褒めるの上手ですね?」
元気になったのかニッコリとした顔で俺にそう言った、でもここまで言っても尚俺を褒める君のほうが上手だと思うんだけど、
「でも知ってるんですよ?そうやっていろんな子に優しくしてるんですよね?本当に口が上手いんだから… 自分は簡単に騙されませんよ?」
「誤解だよ… 誰から聞いたのさそれ?」
まったく… 優しいほうがいいに決まってるじゃないか、人当たりがいいと言ってよ!誰の仕業だ!まさか母さんがいろんな子の夢枕に立ってなにか吹き込んで!?
それはそれとして、次はあちらの方にお声を掛けましょう。
「アルパカさん、大変だったね?」
「いんや参ったよぉ、誰も食べられなくてよがったよぉ!ありがとうねぇ?シロちゃん来てくれてぇ」
相変わらず独特な話し方でちょこんと座るアルパカさん、カフェもあるのにわざわざ御足労願ったのだからありがたい限りだ。
「カフェはいいの?俺の為にごめんね?忙しいのに」
「へぇきへぇきぃ、トキちゃん達店番してくれてるからぁ…」
へぇ、トキちゃん達に任せてきたんだ?伊達に通ってる訳ではないんだね、トキちゃん達の淹れる紅茶なんてのもいいねぇ… って思ったんだけど~?あそこに見覚えがある美しい羽が見えるね?
「私達、ここにいるわよ?」
「わざわざ助けに来たんですけど!」
「あんれぇ?来てくれたのぉ!?ありがとうねぇ!でもカフェはどうしたのぉ?」
そう、ダブルトキちゃんズだ。
カフェを任されているはずのダブルトキちゃんズもかばんちゃんの呼び掛けに応じ火山に馳せ参じていたのだ。
「パークの危機にカフェを開けても誰も来ないわ、それにやっぱりアルパカがいないとカフェは成り立たないと思うの」
「やっぱり、アルパカの淹れてくれた紅茶が一番美味しいと思うんですけど!」
もっともだ、セルリアンが空を飛んで店主アルパカさんをまさに捕食しようとしているのに「いらっしゃぁ~い!はぃどぉぞぉ!」ってやってる場合ではない、そもそもみんな火山に集まってるのでカフェにはいかない。
「あらぁ~!うれしいよぉ!なんだか二人におもてなししてあげたくなってきたよぉ!」
「アルパカさん?カフェもいろいろ大変でしょ?戻って向こうの仕事してもいいんだよ?」
「でもこっちも大変そうだよぉ?」
「こんなにたくさんのフレンズがいるんだ、大丈夫だよ… そうだ、またパーティーするから紅茶を出してもらおうかな?」
これからパーティーだぜ?お茶の用意がないとお菓子が寂しくなってしまう、アルパカさんにはアルパカさんの得意なことで協力してもらおう。
「そういうことなら、早速帰って準備してくるゆぉ!」
「うん、お願いします!」
アルパカさんは二人のトキちゃんに連れられカフェに帰っていく… 去り際に「楽しいぱぁ~てぃ~!美味しい紅茶ぁ~!」♪と歌っていた、彼女達も楽しみなようだ。
しかし不意討ちは猫耳に響くな…。
…
「あぁシロ?ここにいましたかぁ」
「スナネコちゃん、ツチノコちゃんには会った?」
「はい、目を覚ましたので呼びに来ました」
「ありがとう、じゃあ行こう!」
もう起きたのか?回復が早いねフレンズは?羨ましい。
バスに戻ると既にかばんちゃんの姿は無かった、どうやら作業の方の見に行ったようだ。
彼女はさながら現場監督になるのだが、先程からなにか悩んでいたように見えるけど大丈夫だろうか?
でもまぁ、とりあえず今は…。
「おはよう、お早いお目覚めだね?」
「悪いな、世話になった…」
「いいって、俺の為にありがとうね?」
「バ、バカ!そんなんじゃねぇよ!頼まれて仕方なくだなぁ!?」
君が何故着いていったのかはスナネコちゃんから聞いているんだ俺は、君に世話になりっぱなしだ。
「始めは断ってたのにシロの名前を出した途端に行くと言ってたんですよ~?」
「おまっ!?」
しかし照れるなぁ、本当に優しいんだからツチノコちゃんは…。
「シロはツチノコにプレゼントがあるのでしょう?」
「ふぁあはッ!?な、なんだぁ!そりゃ!///」
忘れてた、そうだあれを渡さないと。
「あ~… うん、たまたま見付けたの物なんだけどさ?」
改まると恥ずかしい、容赦なくぶっこんでくるなんてさすがはスナネコちゃんじゃないか?きっとこの状況を飽きることなく傍観しているに違いない、恐ろしい子!
「じゃあボクはこれで…」
「「えっ!?」」
なにぃ!?飽きてた!?待てどこへ行く!?
そうこうしているうちにスナネコちゃんはバスを降り、俺達は二人きりになった。
「そ、それで… なんだよ?プレゼントってのは?」
「あ、うん… もう、目は見える?」
「少しボヤけてるが… まぁ平気だ」
「じゃ、じゃあ隣… 座っていいかな?」
ツチノコちゃんは小さく頷くとうつむいたまま端に寄り、それに合わせて俺もゆっくりと近寄り隣に腰を下ろした。
なんか緊張してきたんだけど。
「それじゃ、手を出してくれる?」
「こ、こうか…?」
「うん… 図書館の地下で見付けたんだけど、ツチノコちゃんこんなの集めてたなー?って思ってさ?それで会いに行ったんだけど… だからそのつまり~… はい、これなんど…?」ギュッ
優しく彼女の手を取り包み込むようにそれを手渡した…。
彼女の手は、スベスベで温かい… そして少し震えている、お互い緊張してるのは同じのようだ。
だが。
「…ん?これはまさか?」
その時ピタリとツチノコちゃんの震えが止まった。
「おぉほぉぉぁあ!?ジャ、ジャパリコインだぁ!?」
どうやらお気に召したらしい、とんでもなく近い距離でコインをガン見している、なんという好奇心、緊張なんて吹き飛ばした。
「図書館にあったのか!?でかしたぞ!ということはあらゆる施設をもう一度探し直す必要があるな!まだ入ってない遺跡もあるしまだまだ探すとこは多いぞ!これは忙しくなりそ… はっ!?」
「気に入った?」
「~!?/// ま、まぁありがとうな?今度礼がしたい、なにか頼みがあれば聞いてやるぞ…?」
急に言われても… 俺としては嬉しそうなツチノコちゃんが見れて満足なんだけど、なにかあるかなぁ?
あ、そうだ。
「じゃあ、フード脱いで?」
「はぁっ!?またそれか!?」
「ダメ?」
「し、仕方ない… ちょっとだけだぞ?いいな?」ファサ
さっきも見たが… 見とれるほど綺麗な水色だ、まさに流れる水のよう。
その時つい、思わず手を伸ばして髪に触れてしまった。
「お、おい!?」
「サラサラだぁ、それにフワフワしてる…」ナデナデ
「も、もういいだろ?///」
「わぁ~…」ワシャワシャ
「んぅ… アァァァァァ!!!はぁなせ!落ち着け! …ったく!ほどほどにしろ!」
「ご、ごめんなんか気持ちくて…」
怒られてしまった、でも念願のワシャワシャと撫でるやつができて満足です。
いけない、髪の毛フェチになってしまう。
なんでもやり過ぎには注意しよう。
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