第47話 でんとーてき和食

「フッフッフッ…」


「なんですか気味の悪い」

「なにがおかしいのです?」


「とうとうできたのさ… これがね!」バーン


「うっ…!これは!?」

「この臭いは!?」


 今朝お急ぎ便でラッキーから渡された特殊な食材、大豆を発酵させて作られた食べ物。

 それは異臭を放っているにも関わらず大人から子供まで幅広く愛され歴史も長いこちらです。


「これが“納豆”だぁ!」デデデドドン


※彼は納豆が好きなだけです。


「なんなのですかこれはぁ!?」

「腐っているのではないのですか!?」


 やはりこの反応… 予想通りだがしかし、島の長として!島一番のグルメとして!納豆は避けては通れないのだ!


「腐っている… というのは否定しない」


「なっ!?」

「ならばなぜ!?」


「しかし長よ?これは発酵食品といってね… 先日だした味噌汁の元である味噌も、その中の豆腐、前からある醤油も昨日の漬物も現在作っている鰹節も、ヨーグルトやチーズだって同じ発酵食品!言わば保存のために敢えて腐らせたものなのさ!」デデデドドン


「「えぇ~!?」」


 発酵食品とは…。


 食材を微生物等の作用で発酵させることにより加工したものである!

 保存、風味の改良、硬いものを柔らかく、などの目的で主に活用される!

 納豆や味噌のように伝統的な和食によく見られるが日本だけでない!

 パン、ヨーグルト、紅茶、キムチetc… このように洋食や中華でも広く利用されているのだ!

 また穀物や果物を発酵させて製造される酒!即ちビールなどもそれに当たる!


 料理を語る上で、発酵というものは避けて通れないものなのだ!


「あ、あれらが全部はっこーしている!?つまり!」

「腐ったものだというのですか!」


「敢えて若干やくさな状態にさせる… これもまた人の叡知」


 驚いているな?さぁここでかばんちゃん直伝“上手な長のワガママ対処法”でこの納豆食わせてやるぞ?覚悟はいいか?


 俺はできてる!


「まさか二人とも… 食べないの?」


「く、腐っていると思うとさすがに…はっこーしょくひとは言いますが…」

「そうです、味噌や豆腐とは違います… 臭いしなんだかネバネバしているのです、本当に食べ物なのですか?」


「あぁ~そうか二人はそういう認識なのかぁ~?所詮は“口だけグルメ”だったんだね?OKこれは俺が一人で食べるから気にしなくていいよ」


「聞き捨てなりませんね!」

「今口だけと言ったのですか!」


 食いついたなグルメの鳥め、これから君たちには納豆の鳥に転職してもらう、異論は認めん。


「だってそうでしょう?まさか好き嫌いどころか食わず嫌いをするような人がグルメ?仕方なく食えないのでもなく食べてもいないものをそれは無理とつっぱねる… それじゃあ周りに味を伝えることはできないしそんな人はグルメとは言えないよ?

 それとも二人は知りもしないことを知ってると言ってデタラメをみんなに伝えるの?それはもうグルメ云々より長としてどうなの?博士でも助手でもなくただのコノハちゃんとミミちゃんだよそれは、違うかい?」


「言ってくれますね…」

「しかし一理あるのです」


「賢いグルメな長だもの、新しい料理と聞いてまさか食べないなんてことしないよね?」


「「審議です!」」


 ちっ… 今ので見栄を張って食べる思ったけど予想が外れたな、しかしあと一息だ。





「博士、どう思いますか?」コソコソ


「シロが言うように、食わず嫌いは長の威厳に関わるのです… しかし」コソコソ


「騙されている可能性も否めないのも事実です」コソコソ


「信じてやりたいのは山々ですが、さすがにあの納豆とか言うのは見た目からして怪しいのです… ここは一旦シロ本人に食わせて様子を見るのです」コソコソ

 


… 



 作戦会議が終わったようだ、でもなにが来ても無駄だ、二人には納豆に夢中になってもらう、これは決定事項だ。


「さて、じゃあ朝食にしようか?」


「待つのです」

「まずはシロ、お前が食べてるところ見せるのです」


「毒味をしろと言うんだね?」


「人聞きの悪い…」

「お前が美味しそうに食べれば我々も食べるのです」


 なるほど考えたじゃないか?だったらこのシロがとっておきの納豆の食い方を見せてやろうじゃないか?


※人により好み食べ方は異なります


 というわけで今日の朝御飯は味噌汁!ごはん!卵焼き!そして納豆だ!


「見るがいい博士!助手!これが和食界のトレンド的存在納豆の食べ方だ!」マゼマゼマゼ


「こ、これは!?」

「混ぜれば混ぜるほど粘りが!?」


 醤油を多すぎず少なすぎず、絶妙な量で投入!そしてかき混ぜるのだ!さらに!


「ここに刻みネギを!」マゼマゼマゼ


※お好みです


「そんなこともありなのですか!?」

「納豆!侮れないやつ!」


 そして気が済むまで混ぜた納豆をご飯に乗せて一気に掻き込む!いざ!いただきます!


「熱々の白米と合わさり!うまい!」ガツガツムシャムシャ


「うまそうに食べやがるのです!」

「く!だんだんあれがごちそうに!?み…え…!?」


 驚いているな?しかし納豆がどういうものかまだまだ理解できていない!見せてやるぞ!納豆シロスペシャル!


「おかわり!そして!今度はこれだ!」


「それは生卵!?」

「そしてバター!?」


「そう… まずバターをご飯の上に乗せる!」ポン


 さらに!


 俺は納豆に卵を落として醤油と一緒にかき混ぜる。


「うぉぉ!見ろぉ!そしてこれを!」マゼマゼマゼ


「まさか!まさかそれを!?」

「一緒に乗せるというのですか!?」


「これでもまだ腐ったネバネバと言うかぁー!?」ガツガツムシャムシャ


「「ッ!?じゅるり!」」


※お好みです


 俺は味噌汁と玉子焼きも綺麗に食べ終えるとゆっくりと橋を置き手を合わせた。


「ふー… ごちそうさまでした」


「悪かったのです」

「我々が間違っていたのです」


※美味しそうに食べただけです



 久しぶりに食べた納豆はそれはそれは美味しいものだった、普段あまりおかわりはしないのだけど魅力を伝える上でここぞとばかりにおかわりするのは必要なことだった。


 しかし出来立ての新鮮な納豆なんて初めて食べたなぁ、うまいじゃないかラッキー納豆?いや納豆が新鮮ってなんか変な言い方だけど。

 

 そして博士たちにもこの熱意は伝わったようだ。


「我々にもよこすのです!」

「まぜまぜさせるのです!」


「いいとも、ほぅらお食べ?」


 お皿に取り分けて醤油などをセッティングしておいた。

 いつものようにパンッ!と手を合わせた博士たちはそれを手に取ったとき、もはや臭いなど気にしていないようでじゅるりとヨダレを垂らしていた。


「夢と…」←納豆

「希望を…」←醤油


「「レッツらまぜまぜなのです!」」マゼマゼマゼ


 よしよし… 満足した俺は自分の食器を洗い場に持っていきピョコンと現れたラッキーにお礼の言葉を伝えた。


「ありがとう流石はハッコービーストだ、おかげで懐かしい味を堪能できたよ」


「ラッキービーストダヨ」


「これからも面倒な加工は頼むよ!ハッキー!」


「ラッキービーストダヨ」

 

 本当に懐かしい、母さんが亡くなったあと父さんは仕事で忙しいからこういう質素な朝食が多かった。

 それでも味噌汁だけは作ってくれる父さんを恨んだことはないし、小さいながらに迷惑かけちゃダメだって何も言わなかった。


 カレーもそうだけど納豆も思い出深い。

 



 

 そして、ある日「新しい遊びを教えてくれ」と現れた師匠がお供にパンサーカメレオンちゃんを連れてここしんりんちほーに現れた。


「ん?なんだこの臭いは…!セルリアンか!?」


「多分あれでござる!珍妙な食材があるでござる!」


「あ、おはよう師匠!カメレオンちゃん!朝御飯食べてく?」


「なんでござるかそれは!?」


「危険な臭いだ!絶対体に悪いぞ!」


 なんてことを言うのだ彼女たちは?それは万能食材大豆様の前と知っての無礼かな?


「お前たち!口に気を付けるのです!」マゼマゼマゼ

「臭いや見た目で物を決めつけるなどまったくわかっていないやつらなのです…」マゼマゼマゼ 


※ハマってます


 フンッ!最早この島の長は納豆の手に落ちた!師よ?あなたにも布教してあげよう!



「師匠、これは納豆だよ?原理はよくわからないけど体にいいんだ、あとうまい」マゼマゼマゼ


「本当か?とてもそうは見えん!なぜ混ぜているんだ!」


「ふぁあ… なんだか糸を引いててただならぬ雰囲気を感じるでござる!」


「混ぜれば混ぜるほどうまくなるのさ!あ、師匠… まさか怖いの?」


「なに!?」


 森の王ヘラジカがそんなことでどうするのだ?ただネバネバして臭いというだけの理由で身構えるなど威厳もなにもあったものではない、その角は飾りかね?


「怖くなどないぞ!見ていろ、私も食ってやる!」

 

「へ、ヘラジカ様!ヤバイでござるよ!絶対ヤバイでござるよ!」


「はいどーぞ師匠… しかしパンカメちゃん、君は納豆も食えずに忍者を自称するのかい?」


「えぇ!?(パンカメ!?)」


 寿司、天ぷら、納豆… そして侍、それに並ぶ存在である忍者、それを名乗るからには和の心を十分に理解する必要がある、古記事にもそう書かれている。


「この納豆を毛嫌いするだなんて忍者として和の心が足りないんじゃないかな?天下の大江戸じゃ切腹してるレベルだよ」適当


「ふぇえ!?そうでござるか!?拙者まだまだ半人前でござる… どうかせっぷくだけは!?」


「聞くのですカメレオン」

「お前もこれを食べれば更なる高みへと登れるのです」マゼネバ


「それは本当でござるか!?」


 ナイスアシストだ長よ、そのまま言いくるめるのだ。


「和を知るのですよ」

「我々も森の忍者と呼ばれる者として納豆を好んで食べているのですよ」マゼマゼ


「なるほど!シロ殿!拙者も食べたいでござる!」


「はいどーぞ」


「いただきますでござる!」パンッ!


 いいことだ、どんどん流行るじゃないか?何でも臭いものに蓋をすればいいというものではない、時に臭い方がいいことだってあるのさ!



… 



 そうして図書館を中心に納豆が流行り続けた結果、各ちほーから噂を聞き付けて「例の臭いやつください」という子がしばしば現れた、ラッキーも生産が追い付かず「アワワワ」になっている。

 

 しかしそんな楽しい日々は唐突に終わりを迎えたのである。



「飽きましたね」

「ええ、飽きたのです」


「朝昼晩はさすがにキツかったね?パスタ作るよ」


「名案ですね」

「カルボナーラを食わせるのです」


「チーズと温玉… かな?」


「「ハイです!」」


 まぁ冷静になってみればさ?毎日料理食べてジャパリマンじゃ持たなくなるような博士達が数日同じもので誤魔化せるはずがなかったわけだ。

 

 それでもたまに「臭いやつください」ってくる子もいるけど今はラッキーが可哀想だから生産を最低ラインに抑えてもらってる、これなら楽チンだね?なんでも適度に食べるからいいんだよ、学んだ学んだ。


「シロ!」「シロ殿!」


「あぁ師匠にカメレオンちゃん、いつものかな?」


「あぁ!あれは最高だな!ライオンにも進めたい!」


「拙者もこれで一人前でござるよ」ドヤァ


「はーいちょっとまってねぇ~」


 まぁこんな感じで若干名ドハマりしてしまった方々が食べに来る、もちろん俺も博士達もたまに食べるよ?美味しいからね。



 一方その頃、サバンナコンビは。


「うみゃあ~…」


「サーバルちゃん?どうしたの?」


「なんかさっき話した子すごく変な臭いがしたよ~!かばんちゃん気付かなかった?」


「わかんなかったけど、口許がネバネバしてたよね?」


 

 このように、人と会うときはちゃんと歯磨きをしよう!納豆の臭いが残っていたり焼そばに使った青のりがついてると印象が悪い!


 せいぜいゆすぐくらいのことはしよう!







「結局何日もカフェを離れちゃうけどぉトキちゃんたち大丈夫かなぁ?」


「二人を信じるのだ!絶対大丈夫なのだ!」


「それよりアラ~イさぁん、本当にこっちなのぉ?」


「間違いないのだ!なんだか嗅いだことのない変な臭いもあるが!アライさんの鼻は確かなのだ!」


 三人が探しているのは腕利きの三人組である、人呼んでセルリアンハンター。

 パーク中を駆け巡りセルリアンを倒して回っているまさに歴戦の猛者達である。


「見付けたのだ!」


「うわ!なんだお前たち!」


「私たちになにか用ですか?」


「猛烈に嫌な予感がしますね…」


 無事ハンター達に会えたチームアライはバギー回収の件を説明、他ならぬシロの為になるなら… とヒグマもやぶさかではない様子だったのだが、これからゆきやまちほーにセルリアンの駆除に向かわねばならないのだ。


「行ってあげたいのは山々なんですが…」


「雪山のやつら、結構数が多いらしくてな」

 

「後回しにもできないし、オーダーキツいかと…」


「困ったのだ!?」


 ハンターは多忙だ、フレンズ達の平和を守るため日夜戦いに身を投じている。

 時々ヒグマにカレーを作るように長からの命令が来ていたが、そんなことをしてる暇はないのである。

 故にシロの出現はヒグマもハンター業に専念できる良い誤算であった、本人に直接は言わないが地味に感謝してるのである。


「じゃあじゃあ!だれか一人だけとかだダメかなぁ?」


「火山にセルリアンがいるかは定かじゃないしね~?」


「なるほどな… よし会議だ!」


 ハンター三人はその案を元に適任である一人を選び出すことにした、山頂でセルリアンを掃討した三人にとって火山は注意すべき場所であることに変わりはないのである。


「よし、リカオン?行ってくれるか?」


「えぇ!?自分ですか!?一人でみんなを守るんですか?オーダーキツいですよぉ!」


「私でもいいんですよ?」


「いや、雪山はもうセルリアンがいることがわかってるが火山はわからない、こっちは警戒してれば済むが火山のほうは前回のこともある… 足も早くて偵察のうまいリカオンが適任だ」


 なにか言いたげな顔のリカオンだが褒められたのは素直に嬉しいので不服ながらも引き受けることにした。


「じゃあそっちは頼むぞ、無理に戦うなよ?こっちが片付いたら私達も向かうからな?」


「わかりました、オーダー了解です」


 ハンターヒグマ、そしてキンシコウは雪山へ、リカオンはチームアライの護衛の任に付く。

 


「やったのだ!」


「ハンターがいれば安心感がすごいね~?」


「やったゆぉ!頼りにしてるゆぉ!」


「ちょ!荷が重いですよぉ…!」


 不安を胸に秘め、セルリアンハンターリカオンが仲間に加わった。

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