美しい光

私達は暗闇を恐れる

だから光を求める

なくてはならない

とても大切なものだ


いつからか光は当たり前になった

それでもやはり人に無くてはならない

心に感動を与えるものだ


イルミネーション


様々な色に輝き

点いては消え消えては点く

プログラムによって計算された

正確な明かり


しかし


どうせ電子の通過

どうせ電子の摩擦

どうせ電子の励起


人工的に生み出した

規則正しい光でしかない

最早暮らしにありふれたものだ


花火


夏の夜の定番

狂ったように騒ぎだし

人の記憶に残る

夜空の大輪の花


けれど


しょせん炎色反応

しょせん酸化反応

しょせん化学反応


一度咲いた花は

ほんの数秒で燃え尽きる

そしてあっという間に忘れてしまう


そんな時

おもむろに上を向く



太陽の光を反射した自然の鏡

そこに正確さは無いけれど

私たちの暗闇を

静かに照らしている


天の川


数えきれない恒星の集まりが

ブラックホールに引き寄せられ

銀河という一つの個体を作り出す

幻想的な光の帯


輝く星々


核融合で生まれた光

何百万℃の熱とともに飛び出し

数万光年という長い距離を旅してきた

空に瞬く力強い光


やはり

心から

美しい


きっと人間が光を作ったのは

宇宙の光に憧れていたから


その憧れを叶えてしまった

言い換えるなら妥協した


儚さや不安定を捨て

いつでも同じものを

手に入れたのだ


だから僕は


光が嫌いだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る