熱風

@tettotetto

第1話

「ここ辞めたら、お前、どこいっても同じだぞ!わかってんのか!」

 まだ耳に残っている。声。


 昨日、部活を辞めた、中学の頃からやりたかった陸上だった。

「辞める、か」独りごちてみても、一人の部屋に、答える者がいるわけもない。

 顧問と話したのは金曜だった、まだ声が、台詞が耳に残っている。窓の外から吹き込む風は淀んでいて、重い。まるで重油みたいだと、重油を触ったこともないのに、思う。

 これからどうしようか、考えても、考えはまとまらなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

熱風 @tettotetto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る