第2話

~1週間前~


『いやあ~とうとう来ちゃったんだなあ俺のマサムネちゃん♡』


例のバカデカいタマゴを目前にキモい小躍りしてる松田をよそに

俺は同封されていた小冊子を手にとった。


『へえ、セクサロイドはご丁寧にグラビア本付きか…』

興味本意でパラパラめくって見てみると、不機嫌そうな黒髪の少年がきわどい格好で写ってる


…けどなんかこいつ、目付き悪…


『…相変わらずお前の趣味疑うわ。性格悪そうじゃねえかこいつ』

『そうかなあ可愛いと思うけどなあ』

『あ~けんたはまだ範囲内でよかったぜ(嫌味)』

『はんい…なんにゃ?』

俺を見上げて問うたけんたの頭の上にハテナが浮かんでる。

そんなけんたの、もはやあざといくらいの無垢さに松田はもんどりうってからキッと鋭く俺を見つめて言った。

『一新、今度は俺より先に声出しちゃ絶対ダメだぞ!!』

『…言われんでも。誰が二匹も面倒見るかって。…お前も喋んなよけんた』

『うにゃにゃ!』


俺のテンション極低の塩返答にやっと安心したように、松田は深めの鼻息を吹き出すとさっそくパソコンにから伸びたプラグを接続した。

『よーしッログ・イン☆』


テンション上がりすぎた松田は、そうハイトーンボイスで言いながら、起動し始めたパソコンを前に、なんか魔法少女っぽいポーズきめてる。

…マジでいますぐ友達やめてえ


♪ぴろぴろりー♪


そいで音声案内の後、

けんたより年上の黒毛猫耳少年が画面に現れた。


『お~いッマサムネ!おっきして』

♪ぴろり~ん♪

『オンセイ・カクニンシマシタ』


『だれ?…俺の事呼んだ?』

『俺だよ♡カネヨシ!お前の兄ちゃん♪』

『カネヨシ…兄ちゃん…』


そいでけんたん時と同じようにそいつが卵から出てきて、

裸のまま迷うことなく松田の目前で立ち止まると

いかにも、めんどくさそうに、事務的にだが、

『…で、今すぐすんの?』


…なんて、

セクサロイドすげー。



けんたとは大違いだぜ。



ってそのに興味津々な俺の顔を見たけんたが嫉妬したのか、それ以来この一週間というもの以前以上の甘えん坊病なのだ。


つうか、同種(?)のエロさにアテられてんのかな?

…発情期だったりしてな


なんつって


俺のゲスな予測はさておいたとしても…

いくら築四十年以上の壁薄アパートとは比べもんにならない、高級マンションの厚みある壁をもってしてもだな

こう昼夜かかわらず近場であんあん聞かされりゃガキでも盛りついちまうよなぁ



俺は部屋の扉の前で、足元にしがみついてじっと俺を見上げてるけんたを抱き上げると、そのまま部屋に入って、けんたを抱きつかせたままベッドに腰掛けた。

それからベッドにけんたを寝かせると、ここ数日いつもしてやるように口をふさいだ。

けんたの口から小さく吐息がもれでて、たったのそれだけの事ですぐ蕩けた顔になるのはまあ、そうゆう意味じゃどころかむしろ…


…いや、何考えてんだ俺…



それから俺もベッドに横になると、これもここ最近の定番になりつつある俺の腕の中の定位置にけんたがすっぽりと収まった。

「早く寝ろよ」

俺が言うと、けんたがぎゅっと俺に抱きついて胸元に顔をうずめた。

「うにゃにゃ…」


しばらくして静かにけんたの寝息が聞こえ始めても、俺は目が冴えてしまっていた。


あ~あ

世の穢れを何もしらねえ無邪気な面で寝てやがる。

お前のお仲間は知ってる何かをな~んもしらねえんだよな。





ま、そこが可愛いっちゃあ…







「いやいやいやいや!!機械に本気とかムリムリムリ!!!!」

「ふにゃにゃ!!!」


俺の絶叫に近いノリツッコミ(?)に驚いて腕の中でけんたが全身の毛逆立てて目を覚ました。

それから俺の顔をじっと見た。


「…あ、…わり…ね、寝なさいね…」



サムイよ…俺

どうしたっつうんだ…


マサムネのエロ仕様がどうとか、嫉妬とか、色々関係ない



こんなのもう

が…

こいつだけ可愛いんだよって思いたいみたいだ




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