第二章
第1話
【残り150日】
つうわけで
ログインから180日で自動停止するっつう、このわけのわからんネコ耳ショタアンドロイドが俺のとこに来て一ヶ月が経った。
友人とは名ばかりの、変態松田の押し付けに最初こそ混乱はあったが、
慣れると結構便利なもんだ。
「ネコー…リモコーン」
「うにゃにゃーんッ」
けんたは、俺のクソどうでもいい命令に嬉しげに尻尾をピンと立てると、
ソファーの端っこに落ちてたテレビのリモコンを手に取り、くるりと振り向いてソファで寝転がってる俺の胸元に差し出した。
かまってほしそうに、キラキラした眼差しで見上げるけんたを
いつものようにおざなりに撫でてやるとけんたは目をつぶって喉を鳴らした。
家に着いてこうしてリビングでくつろぐ前、
今日は珍しくまっ昼間に会いたいとゆう子先輩から連絡があって、普段は近づくこともない繁華街を一緒にうろついた。
付き合いはじめてそろそろ一ヶ月になるゆう子先輩との記念日(間近)デートだ。
ひゃっほーっっ!
…ってなるほど、前より熱が高まんねえのは何かの病気にでもなったのか
たった一ヶ月でな
ホテル直行直帰パートタイム解散が続いて流石にゆう子先輩なりの情けをかけたくなったか
今日は珍しくパンケーキの有名なしゃれたカフェでデートらしいデートだった。
正直パンケーキはどうでもいいし、
なんの気持ちの変化か知らねーけど
こんなド定番なデートに誘われるなんて、俺もしかしてそれなりに本命に近づいてないか
…なんてそんなことないない
100人彼氏がいる先輩つかまえて何浮かれてんだか
『…でさ、けんたの奴マジになって走り出してさ。アイツマジウケる。……アレ?ゆう?』
『…最近楽しそうだと思ったら、そんな可愛い弟とイチャついてたんだ、ふうん』
『いや、違うよ。何怒ってんだよばか』
『私、今日会えるの楽しみにしてたのに…』
『…俺もだって』
『ホントに?』
『マジで』
ふてくされてるゆう子先輩の顔がドンピシャに可愛くて、俺はそれを笑顔でなだめながら、一方でひどく冷静な自分がいんのを感じた。
いや、だからなんだって事はねーんだけど…
所詮
ゆうこ先輩から見た俺の格付け
ただのディ○ドから、ちょっと手放すのが惜しい玩具に格上げした
てってれー♪
ってとこだろ
おめでとう俺
そんな日だからか、家に帰るとひどく落ち着いた。
慣れねーお洒落さに気疲れしたし
単純に身体も心も動かなかった。
バカ高そうではあるけどシンプルで必要最低限の家具だけの、この殺風景で色気のねーリビングで、こうしてぼーっとテレビ眺めんのが今の俺には何より癒しに感じた。
しばらくうつらうつらしてふと、膝元が妙に温くて見下ろすと、けんたが小さく寝息をたてて俺の膝を枕にして眠っていた。
遠慮なく揺り動かしてその場に立たせると、けんたは目をこすって小さくあくびした。
「部屋戻って寝るぞ」
俺の言葉に、眠そうに頷いたけんたはよたよた俺の後を着いてくる
…と思ったらその途中で「うにゃにゃ」と鳴いて俺の足元にまとわりついた。
「歩きづれえだろが、なんだよ」
「にいちゃ、」
「ん?」
眠そうな瞳のままでけんたは俺を懸命に見上げた。
頬が微かに上気して見えた。
「あ?なんだ」
「……にいちゃ、ねぇ、ちゅうてして?」
またこれだ。
ケンタのヤツ。日に日に甘えっこになっとるな。
きっかけつうきっかけは…
一週間前の事だ
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