第2話
「よお!丁度良かったぜ一新!いらっしゃい!!」
「んだよ」
「たった今着いたんだぜ」
いつ来ても一人住まいじゃバカ広いマンションの最上階角部屋。
広すぎのリビングには大きな段ボールがあった。
「とうとう買ったんだ」
「何だコリャ…」
「人工知能セクサロイド~」
猫型ロボットのつもりか?とび蹴りしてえ…
「じゃー帰るなー」
「ちょちょちょちょ、」
「アホかッんなもんあるわけねえだろばかが!下手な勧誘かなんかに踊らされやがって」
「いいから起動させてみるだけさせてみようぜっ」
「…起動?」
俺たちは段ボールをあけ、厚く張られた梱包をはいでいく。
中にはでっけえ卵が入っていた。その卵の背面下部から謎のプラグが伸びてる…
「コレをパソコンに繋ぐっと」
♪ぴろぴろりーん♪
イラッとするくらい明るい音とまばゆい光を放ちながら、パソコン画面にくるくる踊りながら、不気味なくらいニコニコしたキャラクターが現れた。
『みなさーんっこんにちわ♪お買い上げありがとうございますっあなたは今日から可愛いアンドロイドのご主人様ッ!たくさんたくさあん可愛がってくださいねっ』
「なんじゃこら」
「楽しそうだろ?な?」
松田のヤツワクワクしすぎだろ…鼻息荒すぎ
「けっ」
『あなたがご注文されたのは、けんたにゃん9歳牡ですね』
「てめえガキじゃねえかよっしかもオスって!」
「一番可愛かったんだって!まぢに!」
『それでは初めてのご対面です!優しく声をかけてあげてくださいね』
画面が突然切り替わり目を瞑った猫耳の少年がすやすや寝てる。
…確かに可愛い………可愛いが…
「このド変態がっ完全男じゃねえかっ!!」
俺が怒鳴った瞬間、ピクリと画面の少年の猫耳が動いた。
…と思うと、
………目、あけやがった……
真っ青な深みのある瞳。髪の毛はグレイでサラサラ。
あらまあ、昔少しの間飼ってたねこそっくり…
とかありがちなそんな感慨もどっかいくくらいのトンデモ展開なんだが
ちょっと誰かちゃんと説明してくれ
って思ってたら
『オンセイ・カクニン・シマシタ』つうキャラクターとは別の機械的な女の声が画面から聞こえた。
しばらくパソコンに夢中になってて背にしていた肝心のたまごが唸りだす。
「な、何なんだ一体っ」
『にいちゃ、…だれ?』
「……喋っ…た。」
じっとこちらを見つめる深いブルーの瞳が潤むように瞬いた。
「可愛い~俺、俺兼良兄ちゃんだよ~」
『……』
反応なし
「…か・ね・よ・しっ……アレ?接触不良かな」
焦ってパソコンと卵を繋いでるプラグを確かめ始める松田。…ウケる。
「嫌われたんじゃねえ?」
『嫌い・違うにゃ』
「!?」
これって…もしかして…
松田じゃなくて、俺の声に反応してるのか?
『にいちゃのにゃまえ…教えてにゃ』
ちょっとふくれ面みたいにして怒ってる?……なんだこれ…どういう仕組みに…
「い、いっしん、だ。
♪ぴろぴろり~♪
「わっ」
「なんだっ」
『いっしっ!いっしにいちゃっ!』
画面の少年が嬉しげにそう言った瞬間、卵が光ってばきりと割れた。
中にはとんでもねえもんが眠ってる。
まあここまでされちゃ案の定、
今パソコンの画面に居たあの猫耳の少年がそのまま現実の目の前に現れた。
眠ってたそれに近付くと、それはぱちりと目を覚まし、すぐに目をキラキラさせて這い出してくる。
可愛いのはわかった。ケドある意味ホラーだよ。
それにまた、ご丁寧にちゃんと可愛いのがついてるんだって。
はあ。テンション下がるぜ。
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