僕と、ねこのアンドロイド。
黒須カナエ
第一章
第1話
「さよなら!」
閑静な…つうか、だいぶ人通りのまばらな住宅街にこだまする女の怒声と、ばちんとはじける俺の頬をはたく派手な打音。
「いいっ……ってええ…」
おいおい
まじかよ…今日は俺の誕生日なんだぜ?
しかも何たることか俺の誕生日って事はイエスキリストと同じわけで…
聖なる夜なんだぜ?
恋人達ゃちょっとくらいハメ外すだろ。
なのに、なのに……俺は……これかよ~ッッ
「サチ!待てテメッ」
神様…
もしかして俺のこと嫌い?
くっそー…せっかくちょい無理して予約してたホテルが…
…ぐす、マジ泣きしそうだよ、
この俺が…
確かに、このタイミングでみゆきと鉢合わせると思って無かったから
俺も大概ドジだけどさ。
二股の片割れ。
家族で年明けまでハワイなんて俺に嘘かまして、
全く嬉しくねえサプライズで俺のアパートの部屋に合い鍵で上がりこんでやがったんだ。
バイト終わってサチと待ち合わせて、飯まで時間あっから
二人で我が家に帰って、まさかの展開ときた…
みゆきのやつ、素っ裸でプレゼントわたし♡
…ってゆう、なかなか重めなボケかましてきやがったんだ。
いや、そんなドン引きな行動が可愛く思えるくらい可愛い顔してんだけど
まあとにかく修羅場修羅場の末に、ただでさえさみいクリスマスだというのに、今まさにこんなに寂しい状況なわけだ。
あーあ、畜生。
この際ほんとだれでもいいから俺のこのやり場の無い想いを、どうにかしてくれねえかな…
♪ぴろぴろりー♪
能天気な着信音がいつもより派手に耳を刺激するので、けだるい身体を仕方なくうごかして携帯をポケットから取り出す。
出たくねえ…けど、あ?ダチの変態松田じゃねえか。
「なんだよ松田っ今日何の日だと思ってんだ」
『そういうなって~
しあわせそうだな~。松田は人の不幸せを大喜びする大悪党だからな、
電話の相手、松田
成金のボンボンでちゃらちゃらした変態めがねヤロー。
そしてたった今から“元”を付けなければならなくなった俺の彼女サチの幼馴染でもある。
なんたって
「るっせ、切んぞ。糞ニート」
『いいもの買ったんだけど、家に来いよ。どうせ悶々してんだろ』
「なんだよいいものって。AVか?お前の趣味は偏りすぎてて共感できねんだよっ!つかギャグなんだよ!なんだよ激撮!動物交尾特集って!爺同士の薔薇モノって!んなで正常な男子が抜けるかってんだよ!!」
『なんだよ~おもしれーってみてただろうお前も。いやそれよりまじすごいんだってばっうまくいけばいいなりだし自分好みに設定できんだよ!』
「は?」
『いいからとにかく来いっもう届いちゃうから』
くそ~っどれほどBなAVか見定めてやろうじゃねえのよ!
俺は松田の家に向かった。
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