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大学生活も四年目となり、就活や卒論に頭を悩ませていると、突然母が騒ぎ始めた。
「嘘!? ちょっと、ニュース見た!?」
「なにさ突然」
「○○君、逮捕されたって!」
「……はい?」
なんでも、閉店している某有名外国車を取り扱っている店に無断で立ち入り、車を盗んだらしい。
そのことで幼稚園、小学校時代のママ友から連絡があったそうだ。
僕も慌ててニュースを見ると、確かに彼の名前が出ている。顔写真は出ていないが、間違いないだろう。
ネット上でも小規模でありながら話題となっていた。どうにもネットのブログでもいろいろと活動していたらしく、株取引など様々なことをやっていたそうだ。彼のプロフィールを見ると、その大半が嘘で書き連ねていた。会っていない時期もあるので、その全てが嘘と断言はできないが、少なくとも全くやっていないことをやったと言い張っているのは確かであった。
以前覗いたSNSでも、彼のアカウントは炎上していた。僕も自身のアカウントで、自業自得と便乗して呟いたが。
しかし、今は話題性も無くなり、既に風化している事件である。
その後に聞いた風の噂では、車自体に損害は無かった為、示談となって自由の身となっているそうだ。無論、今まで通りに暮らしてはいないだろうが。
そんなことで、僕と彼との関係はこの時点で完全な終わりを迎えた。
今までのことを考えると、喜ぶべきことだろうが、一つだけ気がかりなことがあった。
『これからも、○○のことをよろしくね』
彼の祖父の、あの言葉は今でも覚えている。
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