第4話

全員でヒロシを取り囲み、手にした武器で次から次へと小突きはじめた。


みんなけっこう強めに突いていたので、当然痛みは感じるはずなのだが、ヒロシはそれでも動かないしなにも言わなかった。


滝本はそれを、ただ見ていた。


少しばかり可哀想かなとは思った。


だからと言って止めに入るつもりはなかった。


そんなことをすれば、いくら滝本とはいえひと悶着あるのは間違いない。


けんかが強いとはいっても、武器を手にした四人相手では、あまりにも分が悪い。


それに滝本は四人を仲間だと思っていた。


初対面の男をかばって、仲間とやりあうわけがないのだ。


四人がかりの少突きあいは次第に力が入り、よりエスカレートしてゆく。


滝本が、もうそろそろこいつも限界かな、と思ったときに、それは起こった。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


ヒロシが女のような声で、大きく悲鳴を上げたのだ。


少し離れた場所にいた滝本の耳が、じんとするほどの大音量だった。


「なっ?」


「おい?」


「えっ?」


「……?」


もっと近くにいた四人は、さすがに怯んだ。


ヒロシを囲っていた輪が、少し広がった。

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