4話 誰かとの約束
かなた雲の上の上空に1機の飛行船がゆうゆうと飛んでいた。
その飛行船の大きさはとてつもなくデカく世界最大の飛行船といっても過言でもないデカさだ。
そして、人々はその飛行船のことを「黒のひかり」と、そう呼んでいた。なんでも、『クロイ空』に覆われてしまった街にあらわれてはその街をまた太陽の光が指すようにしたりかどうかという噂があった。
だが、人々はその飛行船は誰も見たことがなく、ただその存在だけがあることを知っているそんな幻の飛行船だった。
スタタタタッーーーーーー。
廊下を軽やかに走る1人の少女。見た目からして年は14ぐらいだろうか。長い水色の髪がとても印象的だ。
そして、表情はどこかワクワクしている表情でその少女はある部屋の前にたどり着き、元気よくかつ、お構い無くにその部屋に入っていった。
「あら?小花ちゃんどうしたの?」
突然に勢いよく部屋に訪れた小花に
対してそこまで脅かしにその1人の女の人は優しく包み込むようにそう言った。
「おっ!マイねぇも準備バンダンみたいだな!」
小花はそのマイっていう女の人に向かって親指を立てた。
「小花ちゃん。ここの装備ちょっと付け方間違っているよ」
「あっ…いっけね!ありがと!マイねぇ!」
「ふふっ…どういたしまして」
そういって、小花は間違って付けていた装備を付け直した。
「しっかし、ホントこの装着暑苦しー。」小花は手を団扇のように自分のように扇いでそういった。
「もう、そんなこといわないの」
そう、この2人付けている装備ってのは、中世時代の鎧をもう少し、シンプルかつ軽量化した装備で今から戦場に行くようなそうだとしたら、だった。
「よいしょっと。」小花は近くにあった椅子に座わって、マイの方を見ていた。
「さっきから、なにの本読んでるの?」
「ないしょ♥」マイは人差し指を口元に当ててそう言った。
ぶー。小花は頬を膨らませたが、小花はここ部屋に来た理由を思いだし、
「あっ!マイねぇ!シゲさんに聞いたらあと降下するだけだから、あと10分くらいだって」
「教えてくれて、ありがと。小花ちゃん」
自信満々そうに小花は言ったのだかマイは本を読みながらそう言った。
ぶー。また小花は頬を膨らませた。
そして、小花はある疑問をマイに伝えた。
「ところでマイねぇー。ゆなねぇしらない??どこにもいなかったんだやねー?」
小花の疑問にマイはまた本を読みながら、
「ゆなはねぇ…先にいったよ~」
「どこに!」
「下に。」
「…………はい?」
「下に♥」
「………下って?」
小花はまだ下がどこのことか理解していなかった。いや、したくなかった。嫌な予感しかしなかったからだ。そんな小花を無視してマイは指を真下にさして、「下。」と言った。
小花はため息をついた。だろうね。だいたい想像できていた。あの人ならいつかやるとおもっていたからね。心でそう呟いて、
「ちなみに聞くけどどうやって??」
「パラシュートで♥」
「ホント時々凄い無茶するよね…」
「そして、こんな無茶なことを止められなかった理由は?」
「んーー。理由を聞いたら止めらねないそうだったからかなー??」本を閉じ、考えてこむようにマイはそう言った。
「その理由とは?」
「例の子が今から行く街に住んでるらしいってからよ」
「あっ。止められないね。これはw」
小花はその理由を聞いて、完全に納得した。そんな会話をしていたら、周りが急に暗くなった。いや、外が暗くなった。
「そろそろだな…」
「小花ちゃん。無茶はしないようにね」
「いや、さすがにゆなねぇみたいな無茶はさすがにできないよ」
そう笑い声ながら、2人はマイの部屋を出ていった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
稔は絶望していた。
無理もない。
この残酷な状況。諦めない方がどうかしている。
逃げて逃げて逃げまくっても、カゲ人間の手のひらの上で踊されていたんだなと思わせるように理不尽にカゲ人間が稔の目の前に次々と現れるからだ。
そのカゲ人間はゆっくりと、稔の方へ歩いてきている。
オレもここまでか…。悪くない人生だったな…。と、稔は完全に諦めて、今まで生きていた人生を走馬灯のように思い出していた。そしたら、ある約束を思い出した。確かそれは5歳ぐらいだろうか。それだけしか思い出せない。誰と、どこで約束したか、わからない約束だが、稔はその言葉だけはしっかりと、思い出した。
それは
「どんな絶望の事でも諦めないでね…
そして、私を…………」
稔は泣いた。
涙が止まらなかった。
自分でも何故泣いているのか分からなかったが、この約束は命を掛けてでも守らないといけなかった約束だと、思い出だした。そして、ただこの約束の言葉だけで稔は救われた。
「そーだったな…。俺の唯一の取り柄は諦めの悪さだったな…。……なら、最後まで抗ってみますか…」
最後まで自分らしく行こうと稔は決断した。だが、心は修復されても、体の方はとっくに限界が来ていて動かすことすら困難な状態だった。
「冗談じゃない!こんなところで終わってたまるか!くそッ!動け!俺の体!動け!」
もうすぐそこにカゲ人間が迫ってきているのに、必死になって叫びながら、動かそうとしたがダメだった。
そして、カゲは稔の目の前に来て手を伸ばしてきた。
「触ろうとしてんじゃねぇー!消えろ!!今すぐ消えろ!!
俺はまだ生きるって決めたんだ!!」
稔はそう叫んだのだが、カゲ人間はお構い無くに稔に触ろうとしていた。
「くそッ。」稔は目を閉じた。
その時何かが起こった。
稔はそれに気づいてゆっくりと、目を開けると、目の前にいたカゲ人間が真っ二つに斬れていて消滅しかけていた。
「えっ……。えっ!!??」
稔は動揺したが、稔の横にカゲ人間を斬ったと思われる人物が立っているのに気づき稔はその人物の方を見た。
その人物は大剣みたいな剣を持っていて、中世時代の時の鎧みたいな物を纏い、純白色の髪を靡かせながら、稔に微笑み、
「もう大丈夫だからね。助けにきたよ。」
そう言った。
稔はその安心するような声を聞いてハハッと笑い、意識がゆっくりと、無くなっていったーーーーーー。
影(カゲ)によって支配されたこの世界 ちゃんてつ/後村康平 @tyantetu
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