第九話「始まりと記録の世界」
そこは、あらゆる記録媒体が大量に存在する世界だった。適当にぱらぱらめくって見るがわけがわからない。よく見ると、置いてある場所で中身が区別されているようだったので、俺は自分が捜している世界についてどこかに書いていないか探し始めた。
*
かなり長い間探したがまったく見つからない。その時リモがこっちに走ってきてこう言った。
「なんか、みつけた」
リモの顔色が悪かったので急いで駆け寄ると、リモがふらつき
「うん、あれはまずいな…というかこれは見てもいいものなのか…?」
と、ぶつぶつ言いだす。
「おい…?エル…?」
「ああ、悪い、お前に見せていいものなのか、とか色々考えていてな。それに内容が内容だからどう受け止めていいのか…。まあ今の私たちには関係ないと割り切ってしまえばそれまでなんだが」
そういって、エルは俺を案内する。
そして、俺たちはこの世界が始まりと記録の世界と呼ばれる訳を知る。
…
要約するとこんな感じだ。この世界は最初は一つだけの世界で、普通に人々が暮らしてきた。だが、争いで人々は滅び、惑星(注・天体のこと。この場合は地球のようなものを指す)は荒れ果てた。そこで、科学技術だかなんだか知らないが(難しすぎて俺にはわからなかった)それを使って世界の物事の概念を一つの世界とし、様々な世界を作りそれらをつなげた。そしてそれらを管理する世界として管理者の世界を作った。正直よくわからないのだが、これだけはわかった。
おそらく俺が探している人が幸せに普通の生活を送る、そんな世界は存在しない。元の世界ですら争いが原因で滅んだのだ。
失望した俺はしばらく頭を冷やすためにしばらくあたりを歩き回った。
「落ち着いたか?…そろそろ帰ろう…」
「ああ、そうだな」
俺たちは、管理者のもとに戻ることにした。ん?あれ?エルはそのままで…いっか。
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