第三話「静かな森の世界」

 着いたはいいがここはほんとに静かだなぁ。すげえ癒される…。隣のこいつがいなければなぁ!

「お前はちったぁ静かにしろよ!落ち着くって言葉を知らねえのか!」

「えー?たのしいよー?いっしょにあそぼー」

 リモが周りをくるくる回ったりあっちにいったりこっちにいったり鬱陶しいわ!

「ほらいくぞー。てかもう食料が残り少ねえんだから」

 リモが生返事をしてついてくるがきょろきょろしたり目を輝かせたり、話をちゃんと聞いているのかわからない。はぐれそうで心配だな。

 結構歩くと木造のログハウスが見えてくる。つたで覆われたりコケが生えたりして周囲に溶け込んでいるのでまったく違和感がない。知らない人だと気付かずに通り過ぎてしまいそうだ。

「ちかれた。ねむい。うあぁう…」

 リモはもうへとへとな様だった。子供の体力じゃ段差やツルなどが多い森は少しきつかったようだ。

「ほら着いたぞー」

 言いながらドアを開けると ボフッ …黒板消しが降ってきた。なんでや。突っ込みどころがありすぎて何を言っていいかわからない。

「おーいいるんだろ?出てきたらどうだ?」

「やぁ、呼んだかい?」

 うおっ、まったく気配を感じなかったぞ。

「いきなり背後から話しかけんなよっ」

「呼んだのは君だろう?黒板消しはダメか…チッ。おかえり、クロア」

「ただいま。つってもまたすぐ出かけるけどな。てかボソッと何言ってんだよ」

 こいつはリタ。俺の装備一式などを調達してくれる頼もしい奴だ。

「ところでその後ろの子は誰だい?君ロリコンだったのかい?幼女を誘拐してくるのはさすがの私も引くよ?」

「違う!こいつは、あれだよ、目の前で倒れてだな」

 なんでみんな俺を変態とかロリコン扱いするんだ好き勝手言いやがって!などと心の中で愚痴りながらリタにリモのことを説明する。話をしている間リモはずっと物陰に隠れていた。意外と人見知りなのか?

「で、いつもみたいに食料とか武器とか入れとけばいいのかい?」

「あーあとこいつの整備も頼むわ。そうなるとしばらく滞在することになるな」

 そういいながら腰に提げている少し短い刀と拳銃を取り出す。どちらもリタじゃないと整備ができない特殊なものだ。

「というわけでしばらくここに泊まるぞーってリモどこだ?」

 物陰からリモがひょこんと顔を出す。

「ここっていろんなものがあるんだねー」

「そりゃあ私はいろんな世界を旅しているからね。そんなことよりおねーさんに君のほっぺをぷにぷにさせてくれないか…?」

 いきなり真横から変態的なセリフで話しかけられたリモが、ひゃあああぁぁぁ…と後ずさる。

 何やってんだあの人…。まあそういう人だししかたない、と割り切ることにした。

「俺はしばらく部屋で休むから、なんかあったら呼んでくれよー」

 そう言って俺は部屋へ向かった。

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