第5話

我は孤高の竜、である筈だった。


独りでも、何も問題は無いはずであった。

起きていれば、死んだ彼女のことを思い出す。


故に、我は眠る。

孤独を隠し、己を騙して、我は眠る。




彼女が死んでから、100年程経った頃だろうか、一人の、槍を携えた女がやって来た。


「ここに、竜はあるか!」

「貴様は、何だ。」


我は巣に侵入し、ズカズカと近寄って来る女を睨みつけた。


ここは我の巣でもあり、彼女の墓でもある。

我と、彼女の安らかな眠りを邪魔をするのであれば、それなりの対応をしなければならない。


「私は王国の魔道騎士!

百五十年前に、竜に魂を売った売女の骨を取りきた!」


「売…女…?」


「そうだ、売女だ。

あの女は騎士団を無断に抜けて、人間の国を捨て、竜に全てを任せた!」

「その結果、人間はまた竜に頼れば良いと考え、再び大飢饉に陥ったのだ!」

「それはあの女の罪!」

「竜の魔力を浴びた、あの女の骨を贄に捧げることで、悪魔と契約を結び、私の国は永久的に食料を得ることが出来る!」


「だから、何なのだ!」


竜は怒りに任せて問いかける。

女は答えに窮するが、直ぐに気を取り直して返事をする。


「女の骨を寄越せ。

売女の言葉を聞く竜だ、その位出来るだろ?」


「お前は…お前は彼女だけではなく、我までも愚弄するか。

許さぬ、生温い死では許されぬ…」


「ふん!渡さぬのなら奪うまで!」


そう言って、オンナは我目掛けて槍を振り下ろす。

しかし、人間の攻撃など痒くもない。

その攻撃は、鱗に傷が少し入る程度だった。


「くっ、邪魔で、忌々しい鱗だ!」


彼女に褒めて貰った我の鱗が、貶される。

我が腕を振るえば女を肉の塊へと変えるのは簡単なことである。


しかし、しかしだ。

女の言葉は、死では償えぬ。


ならば、何が在る。


少し、記憶を遡る。


それは彼女が夜、寝ようとした時、彼女は服を脱ぎ捨て我に体を当ててきた時があった。


それは動物の見せる交尾…求愛であろう。

その時は人間は人間だけではなく、竜にも恋をするのかと思い、彼女に訪ねると、彼女は違うと言った。

頬を赤らめながら、我に真摯に、優しく話をしてくれるのが、嬉しくて、恋をしたと言っていた。


我は他の種族に愛される程、我は気高い生き物なのだと、彼女の言葉に喜んだ。


さて、その話は自分の中ではトップ5に入るほど好きな自分の武勇伝の一つなのだが、重要なのはそこではない。いや、重要な話ではあるのだが。


重要なのは、彼女と我を侮辱した女は我のことを下に見ている。

つまり、我が目の前に居る槍の女を、女の意思も関係なく犯してやれば、死よりも重い罰になるのではないか、という話だ。


我は女を睨み、下半身に力を入れる。


「な、何だその目は。」


我の雰囲気が変わったことに気付いたのか、女は1歩引き下がり、様子を見だした。


しかし、そんなことは無意味である。

我は右手を伸ばし、女の体を地面に縫い付けた。

女は我の速度に付いてこれず、一瞬にしてひれ伏す。


我は5mはある竜である。

それに対して、女は1.6m程。

女が身動きを取ろうとしても、我の手は少しも動くことはなかった。


「ぐっ、離せ!」


我は器用に左手で女の服を破り捨て、己の性器を見せつけるように女の尻に近付ける。


「お、おい、止めろ。

何をするつもりだ?」


女は声を震わせ、問いかける。

我はニヤリと顔を歪ませ、返事をしてやる義理は無いとばかりに、女の性器に自分のモノを入れた。


「ガハッ…」


女の性器に対して、我のモノは入るようには見えない。

それを無理矢理こじ開けるように、万力の様な力で入れたのである。


女は呼吸も忘れたのように呻き声を上げ、魚のように口をパクパクさせた。


女は丈夫なようで、ちょっとやそっとでは死なないようだった。ファンタジーは偉大である。


そこで我は、腰を振り始めた。

犯す、のであれば、性行為をしなければならない。

入れただけでは、それは性行為とは言えないであろう。


我が腰を振るたびに女の体は千切れそうになり、泣き声を上げる。


「やべっ、やべてくだざい!

じぬ、じんぢゃう!

おえっ、ぐっ…」


呼吸が止まったので、我は回復魔法を使う。

雑多な竜であれば、攻撃魔法しか使えぬが、我程長く生きて居れば、呼吸をするように魔法が使える。

これは攻撃のみならず、回復、防御、はたまた自然に作用する高等な魔法も例外ではない。


「あ、あれ…私、一体何を…」


我は軽く右手を握りしめ、女に存在をアピールする。

認識されないのは、流石に寂しいものがある。


「ヒッ…竜、竜様、助けてください!

もう、もう、死にたくないです!」


「大丈夫だ、まだ1度も死んでおらぬ。

我は蘇生魔法は使えぬのだ。」


そう言って我は腰を動かす。


「アガッ、ぐっ、がっ、ぐっ、助けッ、うえっ、あ"っ…」


「…」


「…はっ、もう嫌だっ!神様たすけ!あ"っ、ぐぇっ、ぐっ、オエッ、シヌッ、っ…」


「…」


「ふむ、魔法を掛けるのも面倒だな…」


「りゅ、竜様、も"ぉ、やべでぐださい…」


これ以上やっても、この女は単純に壊れるだけだろう。

何か別の手が無いものか、我は思案する。


「嗜好を変えてみるか…」


竜は、酷く歪な笑顔を作る。

それを横目に見た女は、絶望に染まるのであった。

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