第3話
娘との出会いから一晩が経ってから、夜明けとともに自らの羽を広げる。
娘は我の広げた羽を前に、目を潤ませ、感動に震えている様子だった。
我は巣である洞窟から青き空の元へ行き、羽を羽ばたかせ、大空に舞った。
翼は風を切り、轟々と言う音を耳元に届かせる。
ある程度高度を確保すれば、我は大きく息を吸い、腹に力を入れて魔を込める。
ファイヤーブレス。
ドラゴンが使う、最下級の魔法である。
しかし、それは山の氷を砕くのには充分な力を持っていた。
辺り一面が眩く赤い光に照らされる。
太陽がもう一つ現れたのではないかと勘ぐってしまう光の直後に、山の形は歪み、爆発、氷が崩れて雪崩が起きる。
我にとっては朝飯前にも満たぬ、些細な出来事を終えた後、巣に降り立つ。
「ありがとう、ありがとうございます。 」
そう、娘の咽び泣く声が聞こえたが、悪い気はしなかった。
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