昨夜の感想
(岡崎が作っておいた夕食を吉野が打ち震えつつ食べた翌日、日曜の午後。吉野、岡崎の部屋を訪れる)
岡崎「(コーヒーを淹れたカップを吉野の前に置き)……なんか用か」
吉野「(微かにもじもじしつつ)あーー。別に用はないんだが。……昨日はありがとな。その……」
岡崎「(真剣な表情でぐっと吉野を見据える)吉野、頼む。適当な褒め言葉とかで誤魔化さないでくれ」
吉野「(岡崎の勢いに圧され)え……? っと、適当なとかそういうあれは少しも……」
岡崎「(ぐいと詰め寄る)いや。お前は適当な言葉をちゃらっと言って済ましそうだ。重要な案件をそういう安易な態度で流さないでくれ。何かあっただろ? しょっぱいとか甘いとか、煮込み過ぎだとかそういう具体的な何かが……!」
吉野「っ……わ、わかった、じゃちょっと待ってくれ……(必死に昨日の味を具体的に思い出す)んー、敢えて言えば、ちょっと味わいが上品だったかな……?」
岡崎「(ばんとテーブルを叩きそうな勢いで)吉野、『上品』とはつまり何だ! はっきり言え!!」
吉野「いや、だから、強いて言えば肉じゃがが少し薄味に仕上げてあったかなと……ってか俺の舌にはそう感じたってだけだから!!」
岡崎「(ぐうっと深く俯く)……そうか……薄かったか……」
吉野「いや、薄いって言ったんじゃなくて」
岡崎「(がっと顔を上げ)わかった。
今すぐ、やり直させてくれ。詳細な改善点を突き止めなければ」
吉野「ああーーそれはいいから! やり直しはまたいつでも!!
ってかさ、とりあえず『美味かった』くらいは普通に言わせてくれよ……(苦しげに岡崎を見つめる)」
岡崎「…………(吉野をまじまじと見つめ返してかああっと赤面)……本当か?」
吉野「ほんとだって、お前の作った飯なんかもうそれだけでうまいに決まってんだろ! これから一生死ぬまで1日3食ずうっといける……いや1日4食いける!!!」
岡崎「…………
(ますます真っ赤になり俯く)簡単にそういう言葉を口にするところがチャラいと言ってるんだお前は……」
吉野「(嬉しそうに苦笑しつつ)『……こいつ褒めんのほんっっっとしんどい……』」
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