スパダリ

(ある土曜の昼下がり。吉野、ひとり自分の部屋で)

吉野「岡崎、1ヶ月のアメリカ出張今日で折り返しだなー。

 ……ってかなげえなあ……

 ん、今ってロスは夜の8時頃か。そろそろ仕事終わってる時間だろ……ってかほらちょっと声聞くだけだし。そんくらい別にいーじゃんか?(自分で自分にごにょごにょ言い訳しつつ岡崎にTel)


 …………出ねえし」


(暗いスマホの画面をじっと見る)


「…………もしかしてあいつ……向こうでうっ、浮気とか……

 いや、まさかそんな……

 しかしまてよ、そう言えばあいつ前にあっちの協力会社のCEOにがっつりプロポーズされたりしたことあったじゃんか……どこで何があるかわかんねーだろ……

 ……やべえ、マジで心配になってきた……(次第に青ざめる)」


(と、吉野のスマホが鳴る。相手は岡崎)


吉野「————晶」

岡崎『悪い。打ち合わせが長引いて、まだ会議中だ。ちょうど今休憩に入ったから』


吉野「…………

 そうか。……そうだよな、悪かった」


岡崎『……悪かった?何が』

吉野「いや、いいんだ。こっちのこと」

岡崎『で、どうした。何かあったのか』

吉野「——……いや、そうじゃなくてさ。

 もうそろそろ仕事終わってる頃かと思って、ちょっとかけてみただけで……(微妙に照れる)」


岡崎『……

 あと1時間もすればこっちも終わるから、その後かける』

吉野「え、忙しいんだろ。特に用じゃないんだし別にいいって……」

岡崎『うるさい。つべこべ言うな。

 とにかくこっち済んだらすぐかけるから黙って待っとけ』



吉野「…………

 ん、わかった。

 

 『…………え、なに??このきゅんきゅんすぎる展開……

 ってかオレとあいつのポジショニングってこんな感じだっけ!!??』」





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