ロマンチスト

リナ「ずっと楽しみにしてた小説、やっと手に入ったから一気読みしちゃった!!もーたまらなく切なくてロマンチックで、涙と鼻水打ち止めになるくらい泣いちゃった〜〜♡」

吉野・岡崎「へー」

リナ「だって〜ヒロインの恋人がもう一度彼女に会いたい一心で、身体中に大怪我を負いながら戻ってくるのよ!それで、『泣かないで。あなたの微笑みを見るために戻ってきたのですから、どうか笑ってください』って……それで彼女の腕の中で、彼は涙交じりの微笑みに見守られながら息絶えちゃうの……ねっ!?泣かずにいられないでしょ!?」

吉野「あー……気持ちはわかるけどさ。

想像してみろよ。フツーの男がいきなりそういうの言ったらどーよ?一瞬寒いっつーか、相当引かね?」

リナ「……

何度も言うけどあなたって本当にデリカシー皆無よね。ただの無神経なオッサンに成り果てるのも時間の問題ね」

吉野「まあ、男と女の脳ミソは構造が違うもんなー。やっぱ男は背中で物を言わなきゃ。なっ岡崎!」

岡崎「……

(いつもの無表情で眼鏡を押し上げる)リナさん。その物語の魅力、俺にもよくわかります。っていうか、背中で物は言えないぞ吉野。

日本の男はおしなべて愛情表現が薄すぎると思いますね。恥ずかしいとか照れるとかそういう理由で黙っていないで、もっと情熱的に相手に想いを伝えるべきです。と言っても薄っぺらい言葉だけではなく、視線や体温などを伴う複合的な情報になって初めて愛という一つの意味を為すのではないかと俺は思いますが」



リナ「…………

(唖然として)『なんだかすんごい持論が出てきたわね……まあ表現は猛烈に硬いけど…岡崎さんって実はまさかのこってり系ロマンチスト……!!!?』」


吉野「…………

(いきなり挙動不審)『…ってか……ちょっと確認なんだが……

暗に俺、こいつにそういうこってり系を求められてる……っていう判断でいいのか……いいのかっっ!!??』」




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