再会
(社会人になった夏、安い居酒屋で再会)
岡崎「で、お前大学でなんか面白いことあったか」
吉野「ん、面白いこと?んー……
あ、そういえば。アパートの隣の部屋の男が、2週間に一度くらい女替えてた」
岡崎「はー……それはすごいな」
吉野「で、女が変わるたびにそいつらから声かけられてウザかった」
岡崎「なんだそれ……まさかお前、その男のをちょいちょい横取りしてたとかじゃないだろうな」
吉野「は?お前バカか?あんな軽そうな女、どれもいらねーわ(いかにも面白そうに笑う)」
岡崎「……(そんな吉野を見てふっと微笑む)お前、全っ然変わんないな」
吉野「うるせーぞ。……ってか、そういうお前は大学時代なんかいいことなかったのか?」
岡崎「んー……酷い苦しみならあった」
吉野「え、苦しみ?」
岡崎「学食のトマトサラダが大盛りで安くて美味い、と評判のメニューだったんだが……一度も食べられなかった」
吉野「は?……それは自業自得だろ」
岡崎「自業自得じゃない!!トマト嫌いは俺のせいじゃない、運命だ。そうだろ?……なのに、周囲が当たり前のように享受している経済的・精神的満足が俺だけ得られず……そのダメージと屈辱感がどれだけ大きいか……!!」
吉野「……(ため息をつく)相変わらずアホだなお前」
岡崎「(ぎりっと悔しげに吉野を睨む)お前にアホって言われたくない!!!」
吉野「……(可笑しそうにクスクス笑う)まあでも、お前も全然変わってなくて、なんか安心した」
岡崎「……」
吉野「とりあえず、再会祝いな」
岡崎「ん、乾杯」
岡崎・吉野「…………
『やっぱり気のせいに決まってんだよな、離れてた間の妙な寂しさは……
……だけど……
結局、こいつと携帯越しに乾杯した花火大会が4年間で一番楽しかった……
かもしれない……』」
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