第24話 一つの到達点

49・暗雲が立ち込める未来


「結論から申すと、ユージェでも皇国でもいずれ[天敵]どもの厄災が起こってしまうじゃろう。これから……いや、皇国南部では現在も多くの人が怒りや憎しみを抱いたまま屍を野に曝し、それは格好の苗床になってしまうからの」


 その言葉に、一同は息をのむ。疫病が流行った際に一つの集落がそのような厄災に見舞われるのを目にすることはあるが、国を丸ごと飲み込むような規模で起きるのは稀である。それほどのものが最後に発生したのは約20周期前、ユージェ全土を巻き込んだ[パヴァンの厄災]であり、フレッドは物心がつかない時分の話であった。


「ウルスのお方なら[パヴァンの厄災]はご存知であろう。英雄殿のお父上もよく存じておるはず。わたしも、先代の記憶の中には鮮明に残っておる。あれはあれで相当に酷い有様じゃったが、次に起こるであろう厄災はあれと比較にならぬほど強力で、打ち祓うのも一苦労じゃろう。何せ、皇国の兵とユージェの兵が一処でこの世に憎悪を撒き散らして死んでゆくのだから。それも、ただならぬ数が」


 かつて[パヴァンの厄災]によりユージェ各地の少数部族や弱小勢力の多くは壊滅的な被害を受け、最大の戦力を有していたユージェ王国が手を差し伸べなければ滅んでいた一族も少なくはない。そうして救われたウルス氏族のテアにとって、あの厄災は若き日の忌まわしい記憶として心に刻まれているが、それをはるかに上回る厄災がユージェに訪れるのだという。


「ユージェは、その大厄災に耐えることはできるのでしょうか。わたくしの記憶にある限り、あの[パヴァンの厄災]の時ですら多くの部族が滅亡またはそれに近い状態となりました。もし、それをはるかに上回るものが起きてしまったら……」


 テアはそこで話を止めてしまったが、その先は簡単に予想がつく。ユージェがあの[天敵]によって滅ぼされ、いずれ皇国側にも侵入し第四界と同じく知的生命が滅んでしまうのではないか。不吉すぎて口には出さなかったが、そういうことである。


「そうねェ。皇国の神官戦士団は戦場に於いても死者を弔う仕事を忘れないけど、そういうことができない軍人たちはただ戦い、殺し殺されるだけだから。どうがんばってみたところで、恨みつらみが積もっていくのを抑えられる訳がないわネ」


 マレッドがつい愚痴ってしまうが、慌ててフォローを入れる。彼にその意思はなかったが、聞きようによってはフレッドらを批判していることになるからだ。


『いえ、まったくマレッドさんの言われる通りですよ。私は先の厄災の頃はまだ幼子で、後に学んだ知識があるのみですが、諸族が覇権を争うユージェでは数十周期ごとにあのような厄災が起こるのだといいます。それもこれも、軍人が戦うから起こることなのでしょう。それを終わらせることも含め、統一を目指したのですが……』


 実際に統一連合が結成されて後は、大陸南西部における戦いは減少した。しかし戦場を皇国側に変え、それが理由でユージェの地に報復戦争が仕掛けられようとしている。結局のところ、戦い自体はなくなる様子が微塵もなかった。


「英雄殿のお師匠もかなりの切れ者だそうじゃから、ユージェが滅ぶということはおそらく無かろう。そして皇国も、ユージェの国難に付け入ることはできまい。皇国にも大いなる国難が待ち受けておるからの。もちろんそれに関連して、英雄殿やザイール政府も厳しい決断を強いられることとなろう。ゆめゆめ準備を怠らぬことじゃ」


 皇国にも大いなる国難……その話を聞いた一同は南部で起きた叛乱の犠牲者を苗床に起こる厄災のことかと考えたが、プラテーナの胸中にあったのは別のものである。もっとも、それを伝えても混乱が増すばかりなのは目に見えており、彼女はここでも「より悪い未来になる」可能性を避けるべく、沈黙を選んだ。


「皇国でもなくユージェでもない、新たな選択肢。それを打ち立てるには絶好の機会があなた方には訪れる。ただし、分かっているとは思うがそれは苦難の道じゃ。敢えてその道を選ばずとも変革の機会は訪れる可能性がある……と、今はそこまでしか話すことができぬ。よく吟味し、志半ばで潰えようとも後悔なさらぬ道を選ばれよ」


 難しい話はここで終わり、その後は夕食を取りながらの雑談が中心となった。和気藹々という雰囲気の中、フレッドはひとり考えを巡らせる。プラテーナの最後の言葉が何を示すのか、思い至ることがあったからだ。


(シルヴァレートでアヴニール陛下に会ってからというもの、ブルートさんの意識は「独立勢力の確立」から「皇国の臣下として務めを果たす」ことに重点を置くようになった。あの皇帝の下であれば確かに変革は良い方向に進むことだろうが、後を継ぐ者も同じだと言い切れるだろうか。もしザイールでも私の目的が果たされそうになければ、そのとき私はどの道を選ぶべきなのだろう。皇国でもユージェでもなく、そしてザイールでもない。そのような道を見つけ出すことができるのだろうか……)


 この悩みは後に現実のものとなってしまうが、それを知る者は世界でただ一人のみである。そして、その悩みに直面するためには目前に迫った困難を乗り越えなければならない。L1028育成期78日、フレッド一行がメルクマールを出立するその日に皇帝の布告がなされた。ついにその「困難」が姿を現実のものとしたのである。


「L1028収穫期10日をユージェ統一連合なる叛徒どもの懲罰開始日とする。軍関係者は直ちに準備を開始することを命ず!」


 メルクマールを出てザイールへ向かう道中でその報に触れたフレッドらが大至急ザイラスに帰還すると、まだ駐留を続けていた[破城崩壁]の団員らを中心に遠征の準備が進められていた。そんな中フレッドの目を引いたのは、ザイール新州軍も同じく遠征の準備をしていることであった。


(遠征には不参加の方向で……と決めていたはずだけど、やはり「皇国の臣下」としては皇帝の布告に逆らえないということかな。おそらく大敗を喫するとあれだけ説明したけど、俄かには信じられないか。自分たちがどれほど恐ろしい相手と戦おうとしているか、それを知るのはユージェ出身の者だけだろうからね……)



「グロウからの感謝状と、謝礼の品は確かに受け取った。よくやってくれたな。皆もご苦労だった。しばし休んでいてくれ!」


 フレッドらを出迎えたブルートの機嫌はすこぶる良かったが、フレッドの険しい目つきを目の当たりにすると、その勢いもそがれてしまう。自分が事前の打ち合わせと違うことをしているという自覚はあったからだ。もっとも、分かっていてそうしているあたりは、無自覚でそうしているより性質は悪いのだが。


「そう怖い顔をするなよ。確かに軍は出すが、ザイールの国境とユージェ侵攻の橋頭保となる地点を確保するために出すだけだ。もし向こうから襲って来れば応戦せざるを得ないが、少なくともこちらから積極的に仕掛けさせたりはしない」


 本当にそれだけで済むだろうか……というのが、フレッドの思うところである。というのも、開戦後20日くらいは皇国が破竹の勢いで勝利を重ねるはずであり、そのような情報が伝われば「自分たちも前線で功を挙げよう」となるものである。その勝利が、逃れ得ぬ罠への撒き餌だということも知らずに飛び込んでしまうのだろう。


『もうお止めすることもできそうにありませんから、どうぞご存分に。ただ忠告させていただきますと、ユージェの首都ユーライアは長年に渡り続いた大陸南西部の内乱にあって、一度も陥落したことのない堅固な城塞都市です。ユーライアを包囲したくらいではまだ始まったに過ぎないということを、よくよく覚えておいて下さい』


 これ以上は、マイアーがどのような策を使うか分からないため予想でしかなく、うかつに話すことはできなかった。しかし、あの超合理主義者の先生が選びそうな手段にはフレッドも心当たりがある。かつて自分がユージェ統合軍の指揮を執っていた際に策定した防衛計画では、採用できなかった案だ。


『収穫期に攻めるとなれば、ある程度の現地調達も可能……と考える者も出るかもしれませんが、その可能性は皆無だと申し上げておきます。占領した地域の作物が無事に実っていたとしても、数日後には焼かれるでしょう。民には皇国軍がやったように見せかけ、実は味方であるはずのユージェ軍の手によって』


 民衆の憎しみを皇国軍に向けると同時に、物資への負荷もかけるのがこの策の肝となる部分である。民衆の要請をまともに受けて皇国軍が物資を供出すればよし、供出せず民衆が暴動でも起こせばなおよし、そのような占領地を多く抱えさせつつ難攻不落のユーライアまで敵軍を引き込み、ひとたび敵を撃破すれば残存兵は故国に返すことなく悉く討ち果たす……犠牲も大きく、たとえ有効と分かっていてもフレッドには採れない手段だが、マイアーであれば迷わず実行するだろう。


『今回ユージェ軍を率いるであろう者はそれほどまでに苛烈な、そして才ある人物です。進むしかないアウデン殿には私からいざという時のための書状でも渡しておきますが、皆様はどうかザイールとの国境付近から先には進まぬよう、祈っております』


 この発言は、つまるところ「自分たちはこの戦いに参加しない」という表明でもある。同郷の者らと戦いたくない……などと甘いことを言うはずがないのは先の戦いでも証明されているので、要するに負け戦に行く気がないということなのだろう。少なくともブルートらはそう受け取ったが、その一方で圧倒的戦力を有する皇国軍が、しかも北と西から攻め掛かる状況で簡単に敗れるとも思えなかった。


「その言葉は胸に刻んでおこう。まあ深入りしなければもし負けても逃げてこられるだろうが、いい意味で予想が外れることだってあり得るからな。お前はここのところ忙しかったし、今回はヘルダでゆっくりしているといい」


 本当にそうですね……とフレッドは言って別れを告げる。もっとも、フレッドが外れてほしいと思った予想は皇国が数戦の勝利で満足し、ユーライアにまで至ることなく早々に引き上げるという選択をしてくれることである。先の戦とそれに関する諸問題の賠償を求める以上、その可能性は限りなく低かったが。


『私も、後々に備えて周囲を整理しておくとしますよ。決着をつけておかないといけない案件もありますしね。では、これにて失礼いたします』


 フレッドはその後、アウデンに「もし判断に迷うようなことがあれば開くように」との条件を添えた封書を渡すと、戦争の準備に沸くザイラスを立ち去った。[華心剛胆]の団員のうち、皇国出身者は今回の遠征に不参加ということを残念がる者もいたが、ユージェ出身者はやや複雑な胸中でもある。故郷や、あのマイアー=ベルトランと戦わずに済んだという安堵と、もう一つは「クロト=ハイディンとマイアー=ベルトラン。果たしてどちらが上か」という話題に、今回も決着はつかないのかという落胆がない交ぜになっていたのだ。


「私の見立てでは、今のご当主ならマイアー殿にも勝ち得ると思いますが。いかな智者といえど一人で戦場に立つわけでもなく、武人としての尊敬を集めてはいないマイアー殿では、先の敗北から間もない軍の求心力を回復するには時間も足りぬはず」


 アルはそう自身の所見を述べるが、ベタルやグアンもまた、それぞれ別の見方から違う意見を出し議論に花を咲かせていた。彼らの意見はすべて的を得ているものではあるが、それらは「戦場でどうなるか」というものに集中している。戦場に生きる武人たちなのだから当然といえば当然だが、戦いは両軍が戦場で邂逅する前からすでに始まっているものなのだ。


『今回、ユージェ軍は皇国軍をユーライアまで引き込むでしょう。そうしなくても対処することはできるのに、なぜそうすると思われますか?』


 フレッドの質問に、幹部の三人は意見を述べる。補給線に負担をかけ、慣れぬ地での体調悪化に付け込み、堅固な城砦都市を前に敗北を重ねさせ厭戦気分を煽る……みな見立ては的確だったが、やはり戦術的な事ばかりだった。


『連合の首都にまで敵が押し寄せ、国が亡ぶかもしれない。もし滅べば、自分たちは皇国にどのような扱いを受けるのか。ユージェにも皇国が亜人種に厳しいことは音に聞こえていますし、大半の者はユージェが滅ばぬために全力を尽くすでしょう。その危機感の前には、先の戦で負け失墜した軍の権威など取るに足らぬもの。生き延びるためにマイアー先生にすべてを託し、先生は劇的な勝利を以ってその負託に答えるはず。先生はフォーナーさんに足を掬われた過ちを繰り返さないため、今回の戦いを利用して確固たる地位を築くつもりなのですよ。新たな「救国の英雄」としてのね』


 だから、自分は先生には及ばない。それが最善の手と分かっていても、戦争を自身の立場を強化するために利用するなど武人の魂が許しはしないのだ。しかしそんな武人だからこそ、彼に勝ち得る手段がある。


『とはいえ、残念なことに先生はまず「過去の英雄の影」を拭わねばなりません。その男は総大将の分際で自ら戦地に立ったような輩ですから、将兵にとっては自分たちと同じく命を賭けることが英雄の資質の一つと考えられているはずです。もしそうでなかったら、前回の戦いでフォーナーさんがお出ましになるはずもないですから。仮に先生と戦うことになれば、付け込めるのはその点くらいになるでしょう』


 そう自らの過去を他人事のように話す「過去の英雄」は、もしマイアーと戦うなら戦場で彼を討つほかないと考えていた。もちろん、自分がいると悟られたら完全に守りを固められるため、姿を晒すのは討つか討たれるかという決戦の時だけである。それが今回の遠征に最初から随行しない最大の理由であった。


『ヘルダに戻ったら、ユージェ出身者でユージェに赴いてもよいという者だけを募ってください。皇国出身者は慣れぬ気候風土や水食糧の問題もありますから、今回は連れていけません。贔屓と思われぬよう、そのあたりの説明も怠らないように』


 その指示を受け、幹部の三人はにわかに色めき立つ。今回の遠征は不参加と思っていたのだが、どうもそうではないらしい。しかも狙いは、マイアー=ベルトランただ一人だと受け取れる発言もしているのだ。この二人のどちらが上か……という世俗的な話は抜きにして、武人の血が騒がないわけはなかったのである。



50・戦乱の前に


『ただいま戻りました。皇国のユージェ侵攻が収穫期10日より開始され、ここザイールからも遠征部隊が出立します。私の団はザイール方面からはユージェに向かわず、知人が統治する中央部付近で戦況を伺おうと考えております。皇国が敗退するのは構いませんが、知人に害が及ぶようなら止めねばなりませんから……』


 ヘルダ村に戻ったフレッドは両親に帰還の報告と、今後に取るべき方針についての話をする。ハゼルやフォーディもその可能性は覚悟していたが、続くフレッドの言葉には驚かされることとなる。


『この戦いの直後、ユージェは[パヴァンの厄災]を越える規模の[天敵]が溢れかえるということです。両国の兵たちがごく短期間に、しかも多くが散るのですから大厄災が起きても不思議ではありませんが、とにかくこの大陸は未曽有の危機にさらされることになるのでしょう。そのような状況の中において私は、私の夢見た未来を目指し戦地に立つこととなります。いつ訃報が届くか分からぬ生き方を選びますが、そのような結末となろうとも私に悔いはありませぬゆえ、お嘆きになりませぬよう。そして、武運至らずお二人より先立つこととなろうとも、どうかお許しください』


 かつてユージェを出た時のフレッドにあったのは、兄に代わり両親を見送るということのみだった。しかし姿は変わったとはいえ自身も両親も兄との別離を経験し、それに対する両親の姿勢を目の当たりにしたことで考えは大きく変わる。例え死すともすべてが無に帰すわけではなく、どう生きたかこそが残るものなのだろうと。


「ワシらはもう十分に生きた。十分に幸せで、十分に満足しておる。お前がワシらのために犠牲となる必要はないし、ワシらのことは気にせず思うがまま存分に差配するがよいぞ。もっとも、ワシも思うようにやらせてもらうつもりだがのぅ」


 そしてハゼルは、ユージェ存亡の危機には自らも赴くと宣言する。長年に渡って仕えた彼にとって、ユージェという国に対する想いはフレッドに想像もつかないほど大きいものであるのだ。


『分かりました。その時は父さんが存分に戦える環境を整えさせていただきます。それともう一つ、お話しておかなければならないことがありまして……』


 いつ身罷るか分からぬ生き方を選ぶ以上、もう必要以上に隠し事をしておくわけにはいかない。フレッドはユージェを出る前にフィーリアとの間に起きたやり取りと、それがもたらした双子の誕生という結末を話す。両親は最後まで黙って聞いてくれたが、驚いていたことは明白だった。


『そういうことであれば、フォーナー殿がああも憎しみを燃やすのも分かります。私はあの方の領分、しかも公私に渡って土足で入り込みましたから。ただ、あの一件について後悔があるとすれば、仮に一時は恨まれようとも彼女を連れてくればよかったのではないかということくらいです。もちろん過ぎた過去の話ですし、今の彼女は幸せそうだということですから、結果的にはそうしなくてよかったのですが』


 もしここに、息子の妻子がいたなら生活は大きく違っただろう。そのような未来を夢見たハゼルたちではあるが、息子に結婚を急がせようとは考えなかった。フレッドが普通に家庭を持ち、普通の父親として暮らせる運命にないことを本能的に悟っていたし、何よりユージェに想い人を残しているゆえ他の女性に目を向けないのだ……と考えていたあからである。それゆえ、続く息子の言葉はこの話し合いの中でも最大級の衝撃を二人にもたらせた。


『私はこのことも打ち明けた上で、リリアンに求婚しようと考えています。以前、永遠を生きる導士殿に「親しい人との別れがある」と言われた折、まず頭をよぎったのはお二人と彼女でした。結局それは兄さんだったのですが、いずれにしても私の心の内に彼女がいたことを思い知ったのです。これから戦地に向かう立場で無責任かもしれませんが、自身の気持ちにも区切りをつけておきたいと考えました』


 両親はフレッドがようやく重い腰を上げたことを喜び、そして過酷な運命を背負わせたことを詫びた。自分たちの世代で戦いを終わらせていれば、今より幸せかどうかは別としても、ここまで波乱の人生にはなっていなかったはずなのだから。


「ワシも母さんも、あの娘なら大歓迎じゃよ。お前は確かにこれから戦地へと旅立つが、その前に己の心にケジメをつけるのはよいことだ。迷いは消えるし、まだ死ねない、帰りたい、帰らねばならぬ場所があるという想いは時に人智を越えた力を生むこともあるしの。多くの戦場を生き抜いたこのワシが言うのだ、間違いないぞ?」


 ハゼルはそう言って、フレッドの背中を押した。こうしてフレッドの人生における一大転機、フレッドの家系的な意味では到達点ともいえる婚姻を迎えることとなる。もっとも、それには彼女の同意を得なくてはならない。幸い彼女は好意を持ってくれてはいるが、それはクロト=ハイディンのことをよく知らないからである。フレッドだけでなく、かつての自分のすべても話した時に今と同じように接してもらえるか。後に「人生で最も先が読めない勝負だったかもしれない」と振り返った、リリアンとの話し合いが迫ろうとしていた。

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