第17話 戦鬼将コルト
33・火鳥の導き
『これは僅かな明かりにも映える、この地でこよなく愛される鳥の羽根です。頭や腕など、上半身のいずこかに着け味方識別の印としましょう。同士討ちを防ぐのに、いくらか役に立ってくれるはずです。』
その燃えるような赤い鳥の羽根は、ザイール火鳥のものである。兵士の食事にもよく出される鳥の羽根は装飾品にも使われるほど、鮮やかで光にも映える。それを身に着け、視界の悪い夜襲での同士討ちを防ごうというのだ。それが出撃隊全員に手渡されると、ついに出撃の時は来た。
『我ら戦場に在りても心に華は忘れず、剛毅なる心も忘れず!』
「讃えるは勇猛、蔑むは蛮勇。この身を賭し、掴むは栄光の未来!!」
「人の力ここに束ね、我らはいざ龍とならん!!!」
隊の口上を述べ、士気も高らかに[華心剛胆]はガルディ防壁の裏側から出撃し、せき止められほぼ流れがなくなったヒシブ川を下りユージェ軍の陣に近づく。日が落ちてから防壁の上では派手に篝火を焚き、何か動きがあることを感じさせるように見せていたが、出撃用の門もないとあってはただの虚勢でしかない。そう思われることを承知でそれをさせたのは防壁に監視の目を集め、なおかつ「やっぱりただの虚勢で何も動きはない」と思わせるためである。そして実際、防壁ではザイール軍の動きがなく、ユージェ軍は「やはり自分たちの思った通り」と納得してしまう。これが、致命的なミスに繋がってしまうのだった。
『では手筈通り、突撃隊と射撃隊で奇襲をかけ敵の目を引きます。長槍隊はその間に攻城兵器へ焼討をかけて下さい。では、皆の武運を祈ります。各隊行動開始せよ!』
草木も眠るという深夜、時期は開墾期も半ばを過ぎ虫の音も聞かれる時期に入っていたが、その日の夜は静かなものであった。直前までユージェ軍の陣は酒宴で盛り上がっていたが、それが一段落すると日中の戦いの疲れから、ユージェ兵は見張り以外が泥のように眠ってしまっていたのである。
「時代遅れの武人が、時代遅れの夜襲を掛けに参上いたした!」
「戦とは打ち合ってこそよ。お疲れのところ相済まぬが、相手をしていただこう!」
「うぬらは石を投げるだけで近寄ってこぬから、こちらから参った次第よ!」
各自が思い思いの丈をぶつけながら、ユージェ軍への陣に斬り込んでいく。心得のある者はすぐに身支度を整え幕舎を出るが、それは極めて少数派であった。そしてその少数も次々と精鋭集団に斬り伏せられていき、ユージェ軍の混乱は極みに達した。
『人の恐怖や混乱は伝播するもの。そしてそれは、自分たちが有利と思っていれば尚のこと増幅してしまう。こんなはずはない、勝ち戦で死んでたまるか、とね。敵将は戦術を考えることはできても、人の心理にまでは思い至らなかったらしい。』
ただ一人この場で竜を駆り、戦況を眺めながらフレッドはそう漏らす。近くの樹上には斥候隊の一員でもあるフォンティカが控えていたが、何も彼女に聞かせようというのではない。自分が相手と同じ立場であったなら、やはり同じように慢心したかも知れないことを戒めるための独白である。
「フレッドさん、攻城兵器に火が付き始めたんですね。作戦は成功です!」
長槍隊の槍には樹脂を纏わせ松明のように燃える刃先とし、それで油の詰まった革袋を貫き木製の攻城兵器に突き立てる……というのがグアンら長槍隊の任務である。ユージェ軍は大混乱に陥り、攻城兵器の防衛を考えるどころではなく、長槍隊は妨害をほとんど受けることなく3基の大型投石器に火をかけ、ついでと言わんばかりに数基の架橋具などにも火をかけるのだった。
『よろしい、目的は達しました。敵が正気を取り戻す前にさっさと退散します。我が隊に於いて「蔑むは蛮勇」であること、お忘れなきよう!』
フレッドは敵の体制が整う前に退却を指示する。ごく一部にその指示を聞かず戦い続けてしまった者もいたが、大半の隊員は指示通りに撤退した。ヒシブ川まで戻った隊員は竜を曳いて帰還を待っていた支援隊と合流し、川底を疾走してザイール領へと駆け戻ってしまう。翌日、ザイール軍がどこから出現したかを調べたツァイが「昨日までは枯れていた、近くを流れる川が今日になって増水している」と報告を受け、その経路を悟るもすでに手遅れであり、悔しさに身を震わすばかりである。
「奴が熟練の詐欺師のようなろくでもない男であることは知っていたのに、まんまと騙されてしまった。門がない壁も騎兵封じではなく、奴らには前に出る気がないとこちらに思わせるための布石だったのだ。後から見れば大したことではないのに、なぜ俺はあの時に気付けなかった。これが奴との差だというのか……?」
そう分析して振り返ることができるだけ、ツァイは将としての資質はあるのだが、結果的に彼は敗北の責任から更迭されることになる。この夜の奇襲におけるユージェ軍の人的被害こそ300名ほどだったが、大型投石器3基すべて焼失。架橋具4機のうち2基消失という大損害を出してしまう。それに対しザイール側は未帰還兵13と、圧倒的な大差をつけての大勝利であった。
『ザイール火鳥の羽根……これからは幸運のお守りとして売り出し、ひとつ隊の資金源にでもしましょうか。皆の働きは信じていましたが、それにしても予想以上の戦果ですから、運を呼ぶ何かしらの外的要因があろうかという気にもなりますよね。』
夜も明け、ガルディ防壁に帰還した[華心剛胆]は盛大な出迎えを受けた。フレッドは鉢金に挟んでいたザイール火鳥の羽根を手に取り、陽光に透かして緋色の輝きを目にしながら、思わずそう呟く。それはいいと隊員たちも笑う中、フレッドの思案はすでに次の段階へと移っていった。
34・退き大将
『ここガルディ防壁での目標である10日間の足止めは、おそらく叶うでしょう。そこで、我らはこれより退却を開始します。最も足の遅い重装兵の皆様から退却を始めていただき、次は治療班と補修班の方々に。そして、竜を扱う我が隊が最後にここから出ます。敵が壁を破壊しこちらに侵入したと同時に火をかけますので、衣類や寝具などで捨て置けるものは幕舎に残しておいてください。』
フレッドがザイール軍防壁守備隊の主だった幹部を集め、そう伝えたのは奇襲から4日後の開戦から8日が経過した日の朝である。あの奇襲以降、ユージェ軍の動きは目に見えて悪くなり、櫓の上から射掛けたりはするものの、防壁破壊のための組織的な動きはいっさい見られていない。幹部たちの間では「この調子ならもっと長く踏み止まれる」という意見が大多数を占めていた。
『いまの状況は、確かに我が方は理想的と言えるでしょう。しかしそれも、皆が無理をしてもまだ気が持つからです。敵は頻繁に兵を入れ替え、休息を取った者が前線に出てくるという策で我が方の疲弊を待っており、機を見て一大攻勢をかけてくるのでしょう。そうなってから逃げようとしても、大きな犠牲を出してしまうので。』
特にやる気のない櫓からの射撃でも、敵が来たとなれば兵たちはどうしても気を張ることになる。それが1日2日ならどうにでもなるが、それ以降もずっと続いてはいずれ持たなくなる。そうなる前に全部隊の退却を完了させ、いずれ来る決戦に備えなければならない。この防壁を巡る戦いは決戦ではなく、あくまで前哨戦なのだから。
「では、退却は夜がいいでしょう。防壁上に篝火を盛大に焚けば、また何か企んでいるかと守りを固めるでしょうから。今晩に[夜明けの星隊]を始めとする重装兵部隊が退却し、明日の夜には[華心剛胆]以外の隊を引かせる算段をつけておきます。」
ザイール軍斥候隊となった[蒼空の野鶲隊]隊長フェルミが、退却案を提示する。その意見には特に修正点も見いだせなかったので、フレッドは退却に関する段取りはすべて彼女に任せることにした。フレッドのほうは、敵軍を引き込んだ際の焼討など進めねばならない事象も多く、一人ですべてを指揮するのは難しかったのだ。
『ミツカの鉱山で多用する、岩盤を爆破するための高品質な魔導爆薬を少し分けてもらっています。これも惜しまず使って、防壁を破ってきたユージェ軍を歓迎してやりますかね。鎮火に手間取ってくれたら、それだけ時間も稼げますし。』
こうして、ザイール軍は「余力あるうちの退却」のための準備を開始する。一方、ユージェ軍も防壁突破のための切り札を準備していた。この数日の攻撃が散漫なものであったのも、すべてはその切り札の準備が整うまでの繋ぎだったからである。
「ティルムート殿、あれの調整はまだ終わらんのか?あの奇襲は間違いなく奴がここにいる何よりの証。ここで奴を仕留められれば、ザイールは墜ちたも同然よ。」
フォーナーは憎々し気にそう言い放つが、奇襲を指揮した将についての読み自体は的確だった。ツァイにも「奴は平気で卑怯な奇襲をするような男だから注意しろ」と指示もしており、一度は義理の息子にと考えたこともあるだけに、今現在の好き嫌いは別としてフレッドのことをよく知ってはいたのだ。
「あれの出番は、もう少し先になるとのお話でしたのでな。里でも優秀な者を同道させ、鋭意かからせておるが……あと2日ばかりは必要でしょう。お察し下され。」
フォーナーの問いにそう弁解したのは、ティルムート=ウルス=クーア。通称テアことティルアリア=ウルス=リムの父にして、ウルス氏族の現族長である。彼とウルス族の術師たちもまた、この大遠征に参加を求められていたのである。もっとも、彼らは敵方にテアがいることは知らなかったが。
「まあ、物が物だからな。急かして事故でも起こされては叶わぬゆえ、ここは引くとしよう。だが2日だ。それ以上は待てぬゆえ、宣言通り2日で仕上げて見せよ!」
ティルムートは恭しく頭を下げ、期限順守を誓ってフォーナーの幕舎を後にする。彼らウルス氏族は名うての精霊使いを多く輩出する一族だが、その地位も名誉も今では見る影がない。ユージェがフォーナー宰相の下で国政が進められるようになると、フォーナーは徹底的に「ハイディンの影」を取り除こうとした。かつての統一の英雄クロトも、今では「国を私物化しようとして阻まれ、無様にも逃げた卑怯な裏切者」として教科書にも載せられているほどで、ハイディンの軍門に下った最初の氏族としてウルス氏族は統一連合で蔑まれる地位に甘んじていたのだ。
「個人的には、クロト殿にもクラッサス殿にも恩こそあれ恨みはない。だが、ウルスの里が地位を取り戻すには彼らと戦い、勝つよりほかに道がないのだ。私はおそらく外道と罵られるであろうな。しかし、里の未来のためには……」
ウルスの術師が総出で調整を進めているのは、土の精霊術で動く人形に武具を装着した魔導傀儡の一種である。これを動かすだけなら簡単だが、操者も武芸のたしなみがなくては戦場に於いてただの的である。そのため、操者を必要としない自律性のある魔導傀儡を創り出そうというのが困難を極める理由であった。
(ただ勝手に動けばいいだけなら、調整はそれほど難しいものではない。だが、戦場であのクロト殿やクラッサス殿すら打倒し得る……という条件が付くとなるとな。我らにこの務めが任されたのも、すべては運命の取り決めであったのかも知れぬ。)
このようにユージェ側でも別の思惑が蠢く中、戦いはついに11日目を迎える。ザイール軍はすでに[華心剛胆]以外の隊の退却を完了し、防壁を破壊しユージェ軍が侵入するのを待つばかりである。そしてユージェ軍は切り札の準備が完了し、ついに残された攻城兵器の架橋具で堀に橋を架け、架悌具で防壁に梯子を架け、一気に防壁の制圧を目論んだのだ。
「敵の迎撃が……ない!?」
「おかしいぞ!防壁自体に仕掛けがあるかもしれん。まずは登らずに様子を見ろ!」
その異変はすぐに本営のフォーナーにも知らされ、全軍での奇襲という博打を恐れたユージェ軍は攻撃を中止してしまう。だが、たった一人だけ防壁の直下で仁王立ちしたままの影が存在していた。
「壁ヲ……破壊スル。破壊、破壊、破壊、破壊……」
手にした戦槌を幾度も壁に叩きつけ、仕込まれた鋼糸すらも潰して切断する様は、人の形をしてはいてもすでに人のものではなかった。ウルスの術師が精魂込めて創り出した魔導傀儡、その名を戦鬼将コルトと呼ぶ。
「フ、フフフ……見事だティルムート殿。あれならば奴も、いや羅刹すら討ち果たすことができよう!奴が驚いた顔のまま死んでいくのが目に浮かぶわ!!」
フォーナーの予測は、意外なほどの早さで的中することになる。ただしその予言のすべてが、完全に一致するわけではなかったが。
『静かになったと思ったら、今度は急に騒がしくなりましたね。いぜれにせよ壁には猛攻が加えられているようで、補修作業もない以上はすぐに破られるでしょう。総員騎乗し、離脱の準備を。射撃隊は手筈通りに火矢を準備し防壁の左右に展開せよ!』
防壁のザイール側に残っていた[華心剛胆]の面々も、防壁で凄まじい轟音が鳴り響いていることは察していたが、その源がたった一人とは予想もしていなかった。そのため、壁に亀裂が入り崩れ始めても注意は壁の上を越えてくる可能性のある敵に向けられていた。そして壁が崩れ、土煙が収まったところにたった一つの影があったとき、時が止まったかのように見入ってしまったのである。
「まさか、一人で壁を破壊したのか?」
「ハゼル様じゃあるまいし、そんな訳あるかよ!」
「だが投石器はすべて燃やしたはずだし、他の敵もいないようだが……」
この状況を、フレッドは「非常にまずい」と感じた。一人の猛威が場の空気を一変させることは、誰よりもよく知っていたからだ。もっとも、それは常に味方側の事象として有利になる形で起こったのだが、今回はそうもいかないらしい。
『少し早いが、火矢を放て!陣の炎上を確認後、各隊は指揮官の指示通りに退却を開始してください。ここでの仕事は、もう終了です!』
火を放ち炎の壁が敵味方を分かてば、この場は文字通りの仕切り直しとなる。その間に兵を落ち着けて退却を完了させてしまおうと考えたのだが、フレッドの読みは大きく外れてしまう。何者かが炎の中を、一直線にこちらへ向かって走ってきたのだ。
「銀髪ノ男……抹殺、抹殺、抹殺、抹殺!」
多くの戦場、そして異界の生物も目にしたフレッドだが、さすがに炎の中を走る者は見たことがない。明らかに人ではないということが唯一といえる慰めであったが、それでこの危機的状況がどうにかなるはずもない。ここは逃げるが得策だった。
『全隊、手筈通りに!私もすぐに離脱します!』
すでに鎧の影はフレッドに接近しており、フレッドもまともな指示が出せないほど焦りの色が見えていた。このまま逃げようと思えば逃げられるが、この敵が火をものともしない「だけ」なのかを確認しなければならない。今後、再び相見えた時のためにも可能な限りの情報を得ておかなければならない。
『ザイールの将、ヘルダのフレッドこれに在り!……まあ、返事は期待してもムダですかね。あのご様子では、とても!』
フレッドは腰から龍ノ稲光を引き抜き、敵へ向き直る。もはやこの武器を槍状態にしている時間はなく、このまま敵に突っ込みすれ違いざまに撫で斬りを叩き込むしかない。フレッドは敵が炎の中から出るまで待ち、出てきてからも走り続ける姿を確認した後に対峙した。
「ワ、我、戦鬼将、コルト……竜ノ男、殺ス、殺ス、殺戮、殺戮!」
まさか名乗り返しがあるとも考えていなかったので、その点では確かに不意を突かれた。しかしそれを差し引いても、非常に際どい一合となってしまった。フレッドは鞍の上で上体をほぼ真右に倒し、左足の鐙で踏ん張るということまでしなければ、上半身を敵の戦槌で粉みじんにされ即死だったろう。その体勢でも相手の脇の下に撫で斬りを入れて交差したのはフレッドの技量あればこそだが、効果はなかった。
『肉を斬ったという感覚ではないですね。となると、もうこの場に長居は無用。遠慮なく逃げさせていただきます。戦鬼将コルト殿、どうか二度と相まみえることなきよう願っておりますぞ!』
龍ノ稲光を鞘に戻すと、フレッドは逃走を始める。フレッド自身は逃げることを少しばかりも恥と思ってはいないが、ユージェ出身者の見方はやや違う。ユージェ時代は逃げる必要がなかったゆえに戦場から逃げたことがないだけで、必要とあらば逃げることは厭わないのである。
「待テ!逃サンゾ!潔ク、我ト戦エ!!」
戦鬼将コルトは意外と古風な性格らしい……とフレッドは思ったが、追いつけそうもないのに追ってくるあたりにはかなりの執念深さを感じる。しかしこの状況ともなれば、仮に不覚を取るとしたら戦槌を投げつけて来るくらいだろうかと考えていた矢先、それが現実のものとなった。幸い狙いは外れたが、それは投擲方法に問題があったからだ。コルトは鈍器である戦槌を、押し出すように投擲した。鈍器なり斧なりの重心が偏っているものは通常、縦回転をかけ弾道を安定させるものなのだ。
『残念でしたね、やや鍛錬が足りなかったようで。こいつはお返しですよ。』
フレッドが上体をねじって逃げながら後ろ方向に放った矢は、見事コルトの眉間に命中する。しかしコルトは尚も走り続け、フレッドに追い縋ろうとしているのだ。通常の攻撃ではどうにもならない相手ということがはっきりし、打つ手なしと悟ったフレッドはコルトに一顧だにすることなくガルディ防壁から離脱する。一方のコルトもしばらく追ったが追いつけないことを悟ると、その場で動きを止めてしまう。充填された精霊力や魔導力が尽き、その機能を停止してしまったのだった。
「ご当主、ご無事で何よりです。あれに向かって行かれたときは、どうなることかと気が気でなかったですぞ。して、あの者はいったい……?」
その話は後で……と会話を打ち切ると、フレッドは隊を疎開で無人となった村に向けさせる。この南部にはこういった村が多くあり、これらを拠点としながらこれからは奇襲や不意打ち、補給線遮断といった突発戦闘を主軸にする活動が始まるのだ。この地をよく知り、地図もあり、そして回数こそ限られてはいるが高度な伝達手段もある。ここからが混成騎兵隊[華心剛胆]の本領発揮となるのだ。
『至急[蒼空の野鶲隊]に連絡を。千里眼をお借りしたい、とね。』
その千里眼こそ、リリアンと思念で通じる2人の野鶲隊隊員であった。この3人の力を使いこなすことが勝敗を分かつ、極めて重要な存在である。強大な力だからこそ、それに慣れ頼るようではいけない。そういう思いからフレッドは極力その力を遠ざけてきたが、今はすべての手段を用いねばならぬ時なのだ。
L1028開墾期76日、ついにガルディ防壁は崩壊しユージェ軍がザイール領内に侵入を果たす。そして皇帝生誕祭を明日に控えたこの日、首都シルヴァレートではザイールに向けての援軍部隊が進発しようとしていた。両軍の前哨戦は、一先ずザイール軍の思惑のうちに終了したものの、戦局はいまだ予断を許さない状況にある。
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