第3話 以心伝心【前編】
渚ヶ丘学園初等部2年ELクラスでは美術室で美術の授業をしていた。この美術室にはおかしなことがある。教室の真ん中にグランドピアノがあるのだ。その美術室では生徒が彫刻刀で木を削り作品を作っていた。
「蒼〜!どこまで行った?」
「ん?あーはい。」
「すごっ。ばりってえぇ!」
花蓮は蒼の作品の完成度の高さに驚いた。
「全然だよ。お母さんの方が上手だし。まぁ。ありがと」
蒼は本当のことを言っていた。母親である栞は完璧超人だったのだから。
「うっうん」
「花蓮の見せて〜」
「うん。はい」
「上手じゃん。私のより」
花蓮には蒼の言葉がお世辞にしか聞こえなかった。蒼の近くで女子生徒が転んだ。
「わっキャッ」
ザクッ。転んだ女子生徒が持っていた彫刻刀が蒼の右足に刺さる。
「キャー。だっ大丈夫?」
「え?あー」
「先生ー藍さんが!」
周りの生徒がパニックになってる中蒼と花蓮は冷静だった。蒼に至っては痛そうにさえしていない。
「あー。大丈夫だよ。左足じゃなくて良かったね。見てみなよ。血出てないでしょ? 」
クラスメイト全員の視線が蒼の右足に集まる蒼の言う通り血は出ていなかった。
「本当だ〜」
すると蒼は花蓮に手伝いを求めた。
「花蓮手伝ってー」
「はいよ。せーの」
ガチャリと音がして右足が外れる。それを見たクラスメイトは唖然としていた。
「そっか。言ってなかったね。私右足と左腕が義足・義手なの。えっと。これとこれだけだね」
そう言いながら蒼は彫刻刀が刺さって穴が空いたパーツを新しいものに変えた。ガチャガチャと音がする。
「はい。もう一回。行くよ。せーの」
ガチャリと音がして右足が嵌った。
「終了。ほらね。あっ先生終わりました」
「わー。よくできてるわね」
蒼は直したついでに先生に作品を提出した。その時クラスメイトの男子がふと思い出したように話し始めた。
「あ。思い出した。伝説の名探偵藍栞が現れた時にいつも隣にいた少女が蒼って言う名前だったはず。しかも第一発見者いつもその少女だったらしい」
蒼は気づいて当然と言うような顔をした。
「その前に皆さん気づかないんですか? 」
花蓮にはこの後蒼が言おうとすることがよくわかった。それ故に蒼よりも先に話し出す。
「同じ名字で藍ってそんなにいないんだから1人ぐらい気づこうよ。でしょ? 」
「ふふっ正解」
「えー!」
「うっ嘘!あの少女?」
この爆弾発言にはクラスメイト全員正確に言えば花蓮と蒼以外が驚いた。なぜならあの伝説の名探偵藍栞を1番近くで見ていた少女が目の前にいるのだから。
「うん。亡くなるまでは、一緒に行動してたね。ってあれ?藍栞に娘いたこと知らないの? あそっかお母さん娘って一言も言わなかったもんね。」
蒼はさらに爆弾発言をした。
「えっじゃあ…。あの名探偵の娘?」
「ふふっ。正解。まぁ。私がよく第一発見者になるのは親のせいかもね。」
「そりゃそうよ。だって…。」
花蓮の発言の途中で蒼は作品棚のところにある箱に目が行った。そして瞬時にその箱の中身を推測する。そして滅多に出さない大声をだしだ。
「!伏せて!早く!早く!全員よ!」
その声にいち早く反応したのは花蓮と先生だった。その2人に続き、次々とクラスメイトも伏せ始めた。しかし1人の女子生徒がオロオロして伏せていなかった。それを強引に伏せさせる。
「だから危ないって…。」
2人が伏せた途端バーンと大きな音とともに作品棚のところにあった箱が爆発した。その衝撃で作品棚が2人の方に倒れてきていた。
「キャー」
「蒼!」
「おい!大丈夫か?」
「うん。私は。でも私の彫刻刀が藍さんの左足に…」
作品棚倒れる際蒼は女子生徒を庇ったその時に彼女の持っていた彫刻刀が蒼の左足に刺さったのだ。 蒼の左足を見ると彫刻刀が突き立っており、血がダクダク出ている。しかし蒼は一度命に関わる大怪我を負っている。蒼はその時よりマシだと思った。そして落ち込む彼女を元気付けるためにいう。
「これくらいの出血。あの時よりはマシ」
そう言いながら蒼は自分が持っていたハンカチで止血をする。その時だった。携帯の着信音が鳴り響く。その携帯の持ち主は先生だった。
「はい。」
「俺の爆弾どーだった?」
犯人からの電話であった。花蓮はなぜ犯人は先生の電話番号を知ってるのだろうと疑問に思った。
「あれは貴方だったんですか?」
「そうだ。ところでそこに藍蒼はいるか?」
犯人は蒼がいるかどうかを聞いてきた。蒼を指名しているのである。蒼はおそらく自分を指名してくるのではないかと感づいていたのでそう驚かなかった。
「えっ。藍さん。貴女を指名しているわ」
「はい。そうだと思いました」
「はいどうぞ」
「ありがとうございます。はい。変わりました」
「お前あの名探偵の娘だろう?」
やっぱり。私を指名したのであればこのことを知っているだろう。と蒼は思った。犯人は変成器を使って話している。しかし蒼にはとある人としか思えなかった。
「はい。そうですが」
「そこの建物の柱にもう1つ爆弾がある。次は10分後だ。その爆破を止めるためにはある場所にある解除キーを押さなければならないその場所は、《此処には有って他には無い。他には有って此処には無いものの間》だ。精々頑張ってくれたまえ。あぁ。あと人質が多すぎるから君・羽田・木下・橘・松本・森園・先生だけにして。他は出て良いけど7人のうち誰かが出たらドカンだからね」
犯人は一方的に電話を切った。人質に選ばれた蒼と花蓮を除く4人の生徒はまたもやパニックになっていた。
「どういうことだよ!」
「やだっ私死にたくない!」
すると微かにパトカーのサイレンが聞こえ、次第に大きくなっていく。そして教室のある建物の前でパトカーは止まり、人が降りてきた。花蓮はその人を知っている。
「おーい!」
「来た」
「大丈夫ですか?」
「峻さん!佐藤さんまで!」
降りて来たのは男性と女性。そう男性は蒼の父である。
「あっ花蓮ちゃん!ってことは…」
「これ読んで!」
「おっと」
蒼は紙を飛行機の形にして男性に向けて投げた。男性は器用にキャッチする。そして中身を見て驚愕した。
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