第2話 パートナーとの出会い
伝説の名探偵が死んだ飛行機事故から1年が経ったある日の渚ヶ丘学園初等部2年ELクラスでは1人の少女が話していた。
「あの名探偵が死んで1年経つね〜」
「そ〜だね」
「そういえば私の隣って誰なんかな?」
彼女の横の席は空席だった。このクラスには現在登校していない生徒が1人いた。
「出席番号1番の人やない?あと確かこのクラスの試験を首席で合格したらしいよ」
「へー」
彼女はとても気になった。難関である学園の難関であるここのクラスの試験を首席で合格したというのはかなりの頭脳がないとできない。それ故に彼女は未だ登校していない生徒に興味が湧いて来た。
その時だった。教室のドアが開き杖をついた1人の少女が教室に入って来た。
「初めまして」
「私の隣?」
「はい。藍蒼と言います」
彼女は驚いた。ここを首席で合格したのならばガリ勉の男子を想像していたのだが、実際見てみるととんでもなく美少女だったのだから。
「よろしく!私は橘花蓮!そうだ!今日一緒に帰ろ!」
「本当!嬉しい。ありがと!」
蒼はふわりと微笑んだ。周りの生徒の顔が赤くなる。そこに先生が入って来た。何かを探している。蒼は先生を一目見て癖を見抜いた
「すいません。誰か私の眼鏡知りませんか?探しても見つからないの」
生徒みんなが探しだすが蒼は動かない。そして1分かかるかかからないかぐらいの時間か考え正解を出していた。
「うーん。先生!教卓の引き出しの中だと思います。私が見た限り先生は、机の上の物を引き出しの中に入れる癖が付いている様なので。先生は物を無くした際まずはじめに引き出しの中を探すのがオススメです。」
「藍さん!来てたの?あっ本当。あった。ありがとう」
先生と生徒は驚きを隠せないでいた。彼女は先生の学校での様子を知らないはずである。それなのに彼女は一目見るだけで癖まで見抜いた。生徒達はは彼女のすごさを実感したのである。
「すごーい」
「初歩的な推理だよ。」
そして放課後になり…
「帰ろっ!」
「うん!」
花蓮は帰る途中で気になっていたことを蒼に聞いた。
「何で杖ついてるの?」
「それは…。ね!あれ…」
「人が倒れてる!いこ!」
「うん!」
2人が見た先には1人の男性が倒れていた。
急いでその人に駆け寄る。しかし息がなかった。
「死んでる…」
「キャーでっ電話…」
「私がする」
そう言って蒼は携帯を取り出した。
「えっ携帯…」
「私よくこんな風になるから学校に許可もらったの。」
花蓮にはもう一つ気になるものがあった。
蒼は死体だと気付いてから動揺していないのだ。
「でもっ。何で死体を目の前にしてもそんなに落ち着いてられるの?」
花蓮の疑問を聞いた蒼はニコッと笑いその疑問に答えた。
「2つあるよ。1つ目は私の体質。私よくこんな風に死体を見つけちゃうの。2つ目は1年前私は自分の母親を目の前で失くした。ただそれだけ」
花蓮には蒼の顔がとても悲しそうに見えた。
それから数分後…
2人の少女がいた所は警察官でごった返していた。
「通報は小学生ですね」
「小学生?あー。嫌な予感。はーやっぱり」
「そうですね」
やはり峻が懸念した通り現場には蒼がいた。しかしいつもと違う。もう1人少女がいるのだ。少女はとても興奮している様だった。
「こんにちは」
「こんにちは。刑事さんだ〜」
そんな少女を見ながら峻はため息をつく。
「はぁー。せっかく子どもが退院したのに…なんてついてない…」
そんな独り言を聞いていた少女は質問した。
「お子さん病気だったんですか?」
しかしそれに答えたのは彼ではなかった。蒼だったのである。
「怪我」
「へーそうなんですね。ってえっ。何で知ってるの?知り合い?」
それに答えたのは男性の方である。
「まーな。今日くらい家で会いたかったけどな」
「そうだねお父さん。でも体質だからしょうがないよ」
花蓮は蒼が言った一言に驚いた。蒼は『お父さん』と言ったのである。
「えっ今お父さんって。嘘〜。親子!蒼ちゃんお父さん刑事さんだったの〜?」
驚いている花蓮に微笑みを投げかけつつ、今一瞬のうちに推理した事件の真相と証拠を蒼は話す。
「ふふっ。とりあえず、この人此処じゃなくて此処から2キロ先の倉庫で殺されて、犯人はその名刺の人。そして証拠はそのナイフ。指紋付いてるよ。刃のところ。あとその人の爪に皮膚付いてる。それじゃ。またね」
「おう!」
「「あっそうだ!花蓮ちゃん。今日家に来ない?いいよね。お父さん。」
「ああ。俺は少し遅くなると思うが。」
花蓮は2人のどんどん進む会話についていけてない。しかし家に行けるというのは理解できた。
「本当!いいの?」
「うん!いこ!」
「うん!」
2人は家路を急ぐ。しかし花蓮は自分の通学路と同じことに多少疑問があった。そして驚愕することになる。
「私の家」
「嘘…。青の探偵社?それに私の家の隣…。ってことは…。藍栞の娘?」
蒼はやっぱりという顔をしていた。
「そうだよ。ってか藍ってそんなにいないんだし気付こうよ。」
「そうなんだ!だからあんなに推理力抜群なんだ! 」
あまりの変わり身の早さに蒼は驚いた。
「ふふっ。入るよ。」
「うん」
蒼は花蓮に今までで感じていたことについて話した。
「そうだ。花蓮ちゃん。私たちのお母さん同士面識があるらしいよ。だってこれ私と花蓮ちゃんだよね」
「本当だ〜」
ふと蒼は花蓮から質問されていたことを思い出し、それの回答を答えていないことに気がついた。
「そうだ。私が杖をついている理由まだだったよね。それはあの事故で左腕と右足を失くしているからなんだ」
そういながら蒼は義足を外す。
「ねっ」
「そうだったんだ。そしたら私たち親友だよ。この写真もそうじゃん。これから蒼って呼んでいいかな? 」
「勿論!こっちこそ花蓮って呼んでもいい? 」
「 勿論!」
そうして2人は親友となった。これが運命だったと気づくのはまだ先のこと…。
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