藍色の名探偵
雨津 海衣
第1話 母との別れと事故
イギリスの首都ロンドンから日本への飛行機に一組の家族が乗っていた。5歳くらいの女の子とその両親。
「楽しかったぁ〜」
「そうだね」
「まさか殺人事件が起こるとは思わなかったけどね」
「お母さんがスパッと解決したもんね。」
楽しそうな親子の会話…。しかし次の瞬間ガッシャーンと大きな音が聞こえた。外を見るとエンジンが燃えている。
「エンジンが!」
「つっ墜落するぞ!」
「キャアー!」
「いやっ死にたくないっ!」
乗客はパニックになっている。そしてさほど時間はかからずに飛行機は墜落した。その飛行機には世界的に有名であり、伝説の名探偵と呼ばれる藍栞が乗っていた。家族と共に…
飛行機が墜落して暫く経って1人の少女がうっすらと目を開けた。
「んっ」
ズキッ。体に激痛が走る。
「くっ。はっお母さんは?お母さん…」
少女は母親を探す。
「蒼?大丈夫?」
「お母さん…」
少女は母親を一目見て助からないことを悟った。
「ゴボッ。蒼…貴女なら…あそこを…継ぐことが…ゴホッ。できるわ…。だって…貴女には…ゴホッ。天賦の…才能が…ゴホッ。あるから…あそこを…宜しくね…。」
女性はそう少女に言い残し息を引き取った。
「お母さん!」
ズキッ。また全身に激痛が走る。
「ぐっ。」
「蒼!栞!何処だ!あっ。蒼!大丈夫か?」
「お母さんが…死んじゃった…。でもお父さんがいて良かった…。」
少女はそこまで言うと父親の腕の中で気を失った。
「蒼!出血が酷い。急いで運ぼう。」
そう少女はかなりの出血をしていた。少女には左肘上から下と右膝上から下がなかったのだ。
その頃警視庁では…
多くの警察官が慌ただしく仕事をしていた。そこに1人の男性が入ってくる。
「藍遅い!お前が遅刻なんて初めてだな。ん?それどうした?」
男性はいたるところにガーゼや絆創膏を貼っていた。
「どうしたじゃないですよ山城さん。僕がこれに乗って帰るって言ってましたよね。」
「これ?」
「今のヤマです」
「は?だっ大丈夫なのか?」
「大丈夫な訳ないじゃないですか。栞が亡くなりました。」
その男性の一言は周りに衝撃を与えた。周りが騒つく。
「嘘だろ!」
「嘘ではありません。本当です」
栞というのは伝説の名探偵藍栞のことである男性はその藍栞の夫だった。だからこそその伝説の名探偵が死んだという噂が本当であることをこの男性が証明したのだ。山城さんは彼のもう1人の家族の安否の確認をする。
「蒼ちゃんは?」
「一命は取り止めました」
山城さんは生きているということを知ってホッとした顔をしていた。すると突然男性の携帯電話が鳴り出す。
「すみません。はい。えっ本当ですか!はいありがとうございます。山城さん。蒼が起きたそうです。」
「そうか。分かった。おい!佐藤!」
「はい!何ですか?」
「お前の上司の到着だ」
「警部遅いです」
彼女の顔はとても不機嫌そうだった。しかしその顔も次には驚きの顔になっていた。
「どうしたんですか?」
「それは後だ!行くぞ!」
男性がそう言い2人は部屋を出て行った。
2人は病院に来ていた。男性はとある病室の中に入っていった。中は広い部屋にぽつんと1つベットがあるだけ。ベットには少女が寝ていた。男性が中に入ると少女が声を上げる。少女の名は藍蒼。男性の名前は藍峻少女の父親だ。
「お父さん!」
「蒼!良かった〜」
男性は少女の元気そうな顔に安心した。しかし隣にいた彼女には何が何だかわからなかった。
「どうしたの?蒼ちゃん。そうだ警部栞さんは?」
栞という言葉を聞いた少女の頭の中であの事故のフラッシュバックが起きる。少女は十分に息を吸うことができなくなった。
「栞…。お母さん…。あっああっハァハァハァハァ」
過呼吸になった少女を見た男性は少女を落ち着かせる。しかし女性はただ呆然とするしかなかった。
「蒼!深呼吸だ!ゆっくり吸え!よーし。そうだ。よし。佐藤お前ったく」
「ごめんなさいお父さん。そうだブラックボックスは見つかった?」
少女は過呼吸になったことを父親に謝りずっと気になっていたことを質問した。
「いやまだだ。」
女性はついていけなくなってしまったので勝手に話を進めている親子に質問した。
「それよりどういうことですか?」
「俺と蒼と栞はこの事件に巻き込まれた。そして栞は蒼の前で死に、蒼自身も左腕と右足を失った。」
女性は自分が少女を一番傷つける言葉を言っていたことに気づき後悔していた。
「そんな…。ごめんね。蒼ちゃんの気持ちも考えないで」
女性が謝ると少女は笑いながら言った。
「大丈夫ですよ。それよりブラックボックスの件だけど私がいたところにあったよ」
「本当か!」
少女からの重大な情報に2人は驚いた。ブラックボックスは事件を解決するために重要な機械である。その機械がある場所を知ってるというのだ。
「うん」
「ありがとう」
「すまないな」
2人は感謝を伝え病室を出た。
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