ポクポクチーン(ひらめいた音)
にしのんの言葉に近いのを、どこかで聞いたような。
いや。
書いたような。
マルヤマ。
ラノベ。
異世界ブラッシュアップ。
ノットウィッチ教授。
邪神クァチルウタウス。
灰。
冬佳先生。
狂気。
パパゾヌ邪神アンリミテッド。
邪神の百鬼夜行。
魔導書の宅配。
カルナマゴスの遺言。
俺が、異世界を救う手伝い。
本が、2冊。
!!!!!!!!
Calc:しのぶ! あのさあのさ! このTRPGの過去ログって、チェックできるよね? さっきたしか、ログを確認してたよね?
KP:うわう! ビックリした。まあ、出来るけどさ?
Kengo:き、急に大声で、どうしたんだい? 駆駆くん。
Calc:おじさん、説明は後でします! しのぶ! 俺が、ノットウィッチ教授と、初めてチャットした時のログを、朗読してくれないか?
KP:いいよー。(ログを確認中)じゃ、読むね? いくよ?
……
KP:今、ノットウィッチ先生は自宅にいて、助手を待っている、ということでいい?
ノットウィッチ:申し訳ないが、「先生」はよしてもらえないか?
KP:あ、そう? では、ノットウィッチ氏で。
ノットウィッチ:それでいい。しかしこの箱……なにか違和感を感じるな。
KP:では、
ノットウィッチ:
KP:成功ね? じゃあ、ノットウィッチ氏の目の前にある、不必要な程に大きな箱。その箱が、上げ底になっていることに、先生は気付いた。その下から、本が『もう一冊』出てきた。
ノットウィッチ:なんと! (驚)
Calc:あの……すみません。
ノットウィッチ:はいはい。
KP:あー。Calcくんの探索は、ちょっと待っててもらえるかな? ノットウィッチ氏の家に、突然別の人が出現したら、話がおかしくなるから。
Calc:あ、すみません……。
ノットウィッチ:語学スキルで、解読を試みるぞ。先に出てきた方の本だ。コロコロ……成功。
KP:さすが、ミニスカポリッス大学の先生だね。その本には、過去と未来の両方の出来事に関する、多くの記録や、星と宇宙の魔物の歴史について、記されている。
ノットウィッチ:(驚愕)
KP:さて、SAN値の減少は、1D3でロールして。
ノットウィッチ:そんなに減るのか! ……
……
KP:朗読終了。こんな所でいい?
Calc:ありがと、しのぶ。すまないけど次は、俺と冬佳先生が話したあたりのくだりを、朗読してもらえないか?
KP:はいはーい。(ログを確認中)はい、読むよ?
……
KP:OK! では、Calcくんは、大学ではノットウィッチ教授のクラスの学部生であり、教授の助手である
Calc:先生? 冬佳先生! 今日も、すっごくかわいいですね!
冬佳:えっ? (困惑)
KP:こらこら。駆駆くんは今、現場には居ないの! ノットウィッチ氏の書斎に居る冬佳先生が、とある怪異に直面し、電話でCalcくんに連絡を取っている、という設定にしようかな。だから2人とも、片手は使えないと思ってください。
Calc:わかりましたー。
冬佳:片手が、使えない……?
KP:冬佳さんは左手に、文庫の方を持って?
冬佳 えっ? この、女の子だらけの表紙のやつですか?
KP:その文庫を「携帯電話」だと思いこんで?
冬佳:そんな想像力、無いです。
Calc:冬佳先生! その変な携帯で、先生の写メを撮って、俺に送ってください!
KP:はやいよCalcくん! ネットナンパか! そういうのは後でやりな。
Calc:はーい。
……
(はぅあ!!!)
鋭い視線に気付いて顔を上げると、長谷川先輩と、にしのんとが、俺の方を見ていた。口角は上がっているけれど、目が笑ってない。
「一ノ瀬くん?」
「駆駆?」
「「ネットナンパって、どういうことかな? 説明してもらえる?」」
(ぐ、ぐええええええええ!)
長谷川先輩が、猫柄スリット入りフレアスカートを両手でぎゅっとつまみながら、語を継いだ。
「あ、あのね? 一ノ瀬くん。私、ネットナンパって、あまり好きじゃなくて……」
にしのんは、肩がけバッグの紐を握って、明快に。
「わたしらの想いはずっと気付かずに、散々スルーしてたのに、これか!」
「いや、あの……ね? ネット人格、というか、ネット上でだけ、冗談で軽口が叩ける、オタク特有のアレっていうか……」
Kengo:駆駆くん、モテるねぇ。ははは。
KP:でさ? アタシの朗読で気付いたのは、駆駆の女癖、ってことで、いいのかな? (ジト目)
なんか、人工知能なはずのしのぶまでが、(ジト目)とか言って来ている……。
うん! 話を本筋に戻そう! そうしよう! これ以上、追及されないためにも!
Calc:みんな、ごめんね? 話を戻そうね? まず、ノットウィッチ教授は、パパゾヌフレッシュというサービスを利用して、魔導書の宅配を受けています。パパゾヌフレッシュ自体については、話が逸れるから、また後でね?
Calc:でさ? なぜか、宅配の箱が上げ底になっていて、2冊目の本が、入っていたんだよね? おそらく、郵便事故か何かが原因だと思うけど。
あれ? 大丈夫かな? 長谷川先輩と、にしのんとが、考え中モードに入ってるぞ? 2人のこれ、考え中のリアクションだよな? もうちょっとゆっくり、説明を続けようか。
Calc:そして、次のログだと、冬佳先生、こう言ったんだよね? 『この、女の子だらけの表紙のやつですか?』って。
KP:えっと、そうだけど? それが何か?
Calc:その文庫のタイトル、何て言うんだい? 冬佳先生が「一人TRPGプレイ」している辺りに、ログ記録してない?
KP:待ってね……(ログを確認中)
KP:『やっぱり座椅子だ! 美少女100人乗せても大丈夫!』だね。大きな座椅子の上に、女の子がたっくさん座っている表紙の。
うっわ!!!!!!!!
Calc:やっぱりか。それ……多分、俺の長編処女作だわ。『座椅子の偉大なる種族』ってタイトルで、マルヤマ大賞に応募したヤツ。
Calc:どぅええええーっ!!!! あ、西野です。
Calc:嘘、でしょ? 一ノ瀬くん……あの、長谷川です。
KP:え? でも、本のタイトル違うよね?
Calc:編集側でタイトル変えるなんて、出版の世界じゃ、しょっちゅうなんだよ。
Kengo:あー、ちょっと分かるなぁ。タイトルの「偉大なる種族」ってワードが、気に食わなかったのかもね。マルヤマの奴ら、「偉大なる一族は、俺達だけだ!」ってプライド持ってて、他の一族やプラットフォーマーと戦ってるし。
Calc:しのぶ。その表紙の中に、赤い、テントみたいな形のイヤリングをした少女は、いないかい?
KP:(ログを確認中)……いる、ねえ。しかもこの子のイヤリング、アタシが昔、駆駆からもらったっていう四面ダイスに、そっくりだね……。
「えっ?」
「それって……!」
にしのんと長谷川先輩とが、俺のスマホへの音声入力も忘れて驚いていた。ふふふ、俺の予見力にひれ伏すがよい! ははははは! (魔王的比喩表現)
「「
(ん? ナンノハナシカナアー?)
2人して、俺の方を見てくるんだけど。
Calc:やっぱりそうか! であれば、ですよ? (ニヤリ)
Calc:駆駆、ちょっと、なに企んでんの? 西野です。
Calc:何か、思いついたの、かな? 長谷川です。
俺は頭の中で、情報を整理する。
健吾おじさんは、何故だか俺を頼ってきた。つまり、俺がパラレルワールド1583を救う鍵を、どうやら握っているらしい。
俺が、妄想を炸裂させて書いた長編処女作ラノベ『座椅子の偉大なる種族』。
それは、今流行りのクトゥルフ神話をモチーフとした、邪神が美少女化して、主人公は座椅子になって、座面に美少女をたくさん座らせる話。
でも、たくさん出てくる美少女のうち、メインヒロインの1人は、邪神じゃなくて、人間の女の子だった。
何を隠そう。しのぶがモチーフだった。
付け焼き刃に近いクトゥルフ知識。話を転がすのに、限界もすぐ来た。
そこで、クトゥルフ神話の、有名どころの邪神の他に、俺オリジナルの邪神、つまりいわゆる「おれのかんがえたさいきょうのじゃしん」も、大量に登場させた。
俺のラノベは、クァチルウタウスを呼び出す魔導書「カルナマゴスの遺言」と一緒に、パパゾヌフレッシュの、ボタン1プッシュ魔導書宅配によって、ノットウィッチ教授の家へと宅配された。郵便事故か何かが原因で。
そして、今のしのぶが、さっき言った事を、解釈する。
KP:話を戻すね。マルヤマの場合、この世界の「フィクション」が、アザトースのカケラ「アザース」の力で、異世界へと転移して、具現化する。今回のパラレルワールド1583では、魔導書の形で具現化したみたいだね。異世界でも時間が流れるから、ノンフィクションとして話が進む。それが
ならば!
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