第2夜 突然の架け橋

ピコン!

 真美まみと恋バナをした日の夜、友達の少ない私のスマホが滅多に発することのない音を出した。見ると恋人の輝彦てるひこからのメッセージだった。

『まだ起きてる?』

今送らなかったら、後で後悔するような気がして、久しぶりの彼からの連絡に私はすぐ答えた。

『起きてるよ!』久しぶり!どうしたの?と送る前にまたメッセージがきた。

『お!さすが!相変わらず見るの早いね笑』

『突然なんだけど、夏休み、遊べる日ある?』

 びっくりした。今日、真美と話していたことが偶然とは思えない内容だった。真美、いや、真美様!恋愛成就の真美様!ありがとうございます!これは絶対あなたのお力です!今度、美味しいお菓子、作っていきます!そう心の中で叫びながらも、私は事前にチェックしてあった夏休みの空いた日を返信していた。

『やっぱりお互い、忙しいな』

ため息をついているくまのスタンプと共に返信がきた。

 やっぱり無理か、と一人落胆すると、

『でも、7月28日なら都合良さそう』

と、メッセージが送られてきた。

 よし!思わずガッツポーズをしてしまう。

『やった!じゃあ、その日に決定だね!』

てるはどっか行きたいとこある?』

 と、送ると、

『俺はどこでもいいけど、ことは?』

久しぶりに名前を呼ばれてきゅんとした私はこれもまた、あらかじめ調べておいた場所を送る。

『いいね、そこにしよ!』

『うん!』

 そのあと、集合場所や時間を決めて最後に、

『おやすみ!』

『お休み』

というやりとりをして私たちの会話は、終わった。

 ~~~!!

 言葉にならないくらい嬉しかった。輝から連絡が来たことが。話せたことが。何より、輝も自分と同じく、会おうと思ってくれていたことが。堪らなく幸せだった。きっと今夜は、このことを何度も何度も反芻して、眠れないだろう。それでも、輝に会えなくて寂しいと思いながら眠る日より絶対良い夢がみられる気がした。

 私はこの喜びを抑えきれずに、今年の誕生日に輝からもらったふわふわのくまのぬいぐるみを思いっきり抱き締めた。

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