真実を隠すのはメディアの仕事
昨日の夜に行われた会見。
間違えなく宗太郎君の元両親のモノである。
その後ネット上にその音声データが公開された。しかしそれを聞くと編集されていて僕の声が編集されていてメディアの都合の良い形になっていた。
勿論、昨日の会話については証拠動画が有るのだが、プライバシー上の問題で一般的には公開されない。しかし、それ良い事に偽りを伝え真実を隠すのが今のメディアの現状である。
昨日の会見の後のキャスターの呼びかけの後に入ったのは法律に基づいた自主規制であり、直接的に報道することは無い様にしている。しかし、裏を返せば間接的に報道することができるのが現状であり、例えば今朝の毎朝新聞の様に
『またもや発生した子供取り上げ』
の見出しから始まる一面の記事が存在するわけである。
言論の自由の問題であり大体的な規制はひかれていない。だからこそこう言った記事が世に出回り真実よりも偽りが大きく知られることになるのである。
取り合えず中身に目を通してみる。
『先日東京都葛南区の大熊宗太郎君(11)が学校に行ったきり自宅に帰って来なくなると言う事態が発生した。不審に思った両親は同日午後10時過ぎに警察署に通報。警察官が調べた所赤の他人でになっていることが判明、両親に保護されている東葛児童保護所の事のみ告げ警察はこの件については今後一切かからないと言う事を告げた。そこで両親は翌日東葛児童保護所に向かった所左の令状を提示され親権の停止について告げられた。その後令状の申請に使用された証拠品の確認が行われ、両親は一時帰宅をしたとの事。両親に取材を申し込んだ所「私達が愛情を注いで育てた子供を強制的に奪う事は到底許すことができない。早く返して欲しい」(注・編集部が一部省略しています)とコメントしており両親との怒りが現れているのが分る』
「…。一番大事な何で親権が停止されたのかが書かれていないじゃないか」
新聞には枠の制限ってあるのはわかるけど、一番大事なところを伝えないでどうするのさ。
「おはようございます」
新聞を読んでいる所に宗太郎君が入ってくる。昨日は向かいに行くまで部屋にいたので少しは変わったのかと思った。
「部屋に来てくれないなんてやっぱり僕の事を嫌ってるんでしょ?」
やっぱりそう来るか。机の上に新聞を置き、新聞を読んでいたことを伝えると安心した様子に成り表情が柔らかくなる。
「さてと、そろそろ相手しますかね」
そう言いながら窓を開けると外には報道許可者が必要であることも失念した報道陣が詰めかけている。そう言えば今朝の登校はいつも以上に保護人の数が多かったな、一つ気にかかることと言えば公安官が居た事かな。公安官が居れば怖いことは無いけど、確か学年主席じゃなかったけ。取り合えず通学組は良いとして今の問題は外の違法取材だな。
『ご覧ください。あちらが今沸騰してる東葛児童保護所です。中はカーテンが閉められていて中の状況を伺う事が出来ません。ここで過去に別施設ですが取材した映像があるので御覧下さい』
ここで一度画面に注釈が入る【これより先に流れるのは昨年政府のオープンシークレットの一環として公開された城東児童保護所の映像です。現在の東葛児童保護所とは異なります】
『それではこれより、内部を案内します。しかし、子供たちのプライバシーを保護するために子供たちにはマスクを付けさせているのはご了承ください。ここが普段子供たちが過ごす広間です。左には自由に使える図書室奥には子供たちの個人的な部屋右には食堂があります。それでは一日の生活についてこの永一君の例をもとに紹介していきたいと思います。彼等と同じ食事を用意しました。健康で模範的な食事を一日3食提供しています。その後学校に行く子もいれば施設の中で一日を過ごす子もいます。彼は学校に対して良い印象を持っていないのでここで通信教育を受けています。この施設の中では一番生活の質の高い彼の部屋を紹介して貰いましょう。
これが彼の部屋です。年相応の部屋だと思います。
そして、こちらがここで一番ひどい部屋です。しかしながら、きちんとした部屋です』
そこでテレビを切る。確かにあそこが一番模範的な構造で新人研修にも使われるけど、うちとは大きく設備が違うんだよな。そして、あの映像は改築前のモノである。
つまりあの映像も偽りを真実として伝えていることになる。いや、この場合は注釈があったのであくまでも参考になる程度か。
「おーす来てやっとぞ」
下校生に混じって公安官が中に入ってくる。現想同一視性症候群の参考として呼んだと言う事もある。
彼の名前は行橋にちりん。ここの地域の公安官であり下総総合の数少ない生徒でありながらの公安官でもある。学校とのつながりの関係上彼女にここの専属公安官をお願いしている。もう一人1年生の男子がいるらしいが、その生徒との関りはない。噂を聞く限りでは変わっているらしく、面倒くさがりな性格の割にはきちんとやる事はやるらしい。そして、虐められていた過去を持ち必要以上の人間関係を作らないらしい。そんな事から絶対的に参考になるであろう彼との関係を作れずにいた。
「それで、この子たちの面倒を見ればいいんだろ?」
心療学科の生徒である彼女にカウンセラーをお願いしている間に夕食の支度をする。他にも同僚がいるのであるが皆マスコミや苦情の相手をしていて本来の業務を行える状況になかった。そこで止むを得ず彼女に手伝いを御願いしたというわけである。と言うかマスコミは張り込みをする相手を間違っていると言うような事を毎回考える。
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