第10話

 そして、たどり着いた先はキレイなマンション。


「出来たてですか?」


 セロが、太郎に尋ねる。


「そうっすよ。

 築2年ってところっすかね」


「出来たてですね。

 ここが、私とご主人さまの愛の巣になるんですますね」


 オトネが、嬉しそうに目を輝かせる。


「愛の巣?」


 セロが、首をかしげる。


「え?そこ聞いちゃいます?」


 オトネの頬が赤らむ。


「聞かなかったことにするよ」


 セロは、なんとなくわかったので聞かなかった。


「セロさんは、もう少し積極的になったほうがいいっすね」


 太郎が、小さな声でそういった。

 すると清空が答える。


「まぁ、積極的になるのはなるので問題は出るだろうがな」


「そうっすね」


 太郎が苦笑いを浮かべるとセロが、咳払いをした。


「僕は肉食系男子ですよ。

 惚れた女の子には、ガッツリと行きます」


「そうなのか?」


 清空は、セロにではなくオトネに尋ねた。


「撃沈率99.9%ですますよー

 だから、まだ童貞なのです」


 オトネの言葉にセロが、反撃を仕掛ける。


「オトネだって処女だろう?

 一緒じゃないのか?

 仲間だろう?」


 しかし、オトネのほうが一枚上手だった。


「女の子に処女とか聞くのはセクハラですよ?

 私が、訴えたら賠償金がっぽり貰えますよ?」


 セロも戦う気はないので素直に謝る。


「え?あー、ごめん」


「まぁ、そのへんにしてそろそろ入りませんか?」


 太郎が、そういうと3人はうなずきマンションの中に入った。


「たしか、4階が空いているんだよな?」


 清空が尋ねると太郎がうなずく。


「そうっす。

 4階の405号室っす。

 清空さん、詳しいっすね」


 すると清空がうなずく。


「萌に聞いた。

 この間、空きが出たから入居者を探しているってな」


「そうっすか」


 太郎が小さく笑った。

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