第8話

 セロたちが孤児院に戻ると孤児院の先生たちが心配そうに外で待っていた。


「セロくん、大変なことになってしまったわね」


 先生のひとりがそういうとセロがうなずく。


「なんか、恥ずかしいです。

 こんなに早く戻ることになるなんて……」


「恥ずかしがることはないわ。

 清空先生から話は聞いているわ。

 山田さんのところのマンションでお世話になるのね」


「はい」


 すると先生たちがセロを励ます。


「がんばってね。

 この街の運命は貴方たちに掛かっているのだから……」


「僕がいなくても清空さんひとりいればそのへんの怪人なら倒せそうですけど……」


 すると清空が言った。


「私ひとりでは倒せる怪人は限られている。

 北と南同時に敵が現れたら手のうちようがない」


「そうですけど……」


「まぁ、味方は多いに越したことはない。

 ミストロから何名かこちらに応援が来てくれる。

 それにヒーローも動いている。

 出来る限り早めにゲートを発見して破壊したいものだ」


 清空が、そう言って苦笑いを浮かべた。


「……では、早く行きましょうご主人さま!

 私たちの愛の巣に!」


 オトネが、照れくさそうにそういうとセロがすぐに突っ込む。


「愛の巣じゃないマンションだよ」


「いいじゃないですか。

 そんなのどちらでも!」


 オトネが、そう言ってセロの背中を軽く叩く。


「はぁ……

 この先が思いやられるよ」


 セロが、そういうと清空が言う。


「まぁ、どちらにせよ日が落ちる前にパン屋の山田に向かうぞ。

 敵は、アインだけじゃないのだからな」


「そうですね」


 セロは、うなずくと先生たちに手を振りその場を去った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る