彼女
芝居、芝居、芝居。
彼女は私を罵ったと言う。
私は何も覚えていない。
謝ってくれなくても良いのに、
だって何も覚えていない。
朝からお酒のボトルを持って、
煙をくねらせて彼女は言う。
I was mad at you last night.
I am sorry.
怒らせるようなこと
何かしただろうか。
何も覚えていないのだから、
本当は私が謝るべきなんだろう。
お腹の緩やかな線。
彼女妊娠しているのかもしれない。
海の向こうの誰かに
私には検討もつかない言葉で
何かをまくし立てていた。
私の国も海の向こうにある。
丁度反対側だけれども。
どうして私達、
こんなところで会ったのだろう。
誰も同じ言葉を話さない場所で。
すぐに彼女は家を出た。
音を立ててドアを閉めたから、
ドアノブがごん、と床に落ちた。
本当に変な家。
外からは誰でも入れるのに、
ドアノブを無くしたら、
もう誰も出られない。
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