第7話 乱入者
ライオットには何が起きたか分からない。
自分の頭上で火花を散らす、二つの刃を眺めていた。
「まさか、間に合うとはな。到底間に合う距離ではなかっただろうに」
「はっ!まぁ普通は間に合わなかったさ」
乱入者は離れ際にライオットの襟首を掴み、門に向かって放り投げた。
「でも俺たち騎士団は、普通じゃないんだよっ!」
二合、三合と切り結ぶ。二人の間で起きる衝撃は次第にその感覚が狭まっていく。
「……なるほど、強敵だな」
「悪魔風情に褒められたところで!」
メフィストの剣を切り払い、大きく距離を取る。
「悪いな悪魔殿、勝負はお預けだ」
そう言って乱入者は左手を天に掲げた。
「逃がすとでも……」
「それと、救援は俺一人じゃない」
踏み出そうとしたメフィストの足元に何かが着弾した。
「なに、どこから……!?」
続けてメフィストの左右からそれぞれ二発ずつ、何かが近づく。
それを全て切り裂く。切り裂いた物体から煙が溢れ、メフィストの周囲を覆いつくした。
メフィストは憎憎しげに呟く。
「これも魔法か……!」
「そういうことだ!」
そう言って彼は真上に跳んだ。
その瞬間彼の姿は消え、ライオットの前方の地面から飛び出てきた。
「うわっ!」
「いくぞ!」
そのままライオットを抱え上げ、門に向かって走り出す。距離はまだ微妙に遠い。
「小癪な!」
煙の中から声が轟き、煙が切り裂かれた。
「逃げられると思うな!」
「ヒッ!」
思わず悲鳴を漏らしたライオットに、彼は大声で語りかける。
「安心しろ少年!お前も騎士の端くれなんだろう!」
ライオットはその時、初めてしっかりと乱入者の姿を確認した。
清潔感漂う白い制服の胸に、騎士の証であるユリの花を模した紋様が光り輝いていた。
「騎士……!」
「呪詛権現……!」
背後から聞こえた叫びは、呪いのような恐怖を持ってライオットの耳に届いた。
ゆっくりと振り返ったライオットは、確かに地獄を目の当たりにした。
高々と掲げられた白銀の剣に禍々しい黒いオーラが天高く上っていた。そのオーラの間から、地獄に落ちた人間たちの悲鳴が、怨念が響き渡る。
「“亡者の激情”!」
自分に向かって落ちてくる『死』に、ライオットは声を出すことも出来ずに、ただ呆然と見ていた。
「悪いな!騎士としてはみっともないが、ここは全力で逃げさせてもらおう!」
走りながら騎士は笑い、叫ぶ。
「こんなスリルは久しぶりだ!礼を言うぜ悪魔の剣士!」
左手を前に突き出し、騎士の力が放たれる。
「
掌から放出された波動は四角くなり、宙に浮かぶ。
その中に騎士はライオットを抱えたまま飛び込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます