第614話 第四の???.3
「アウソ!水!!」
「お、はい!!」
キリコの指示で、アウソがこちらに向かって飛んでくるマグマの塊に向かって海水をぶっ放した。海水がマグマに接触した瞬間、ジュウウウウという音と共に当たり一面に水蒸気が充満していく。
「おお、すげえ」
アウソの海水により、表面の温度が急激に冷まされてマグマが固まっていく。表面の粗い、黒い石の壁のあちらこちらからは未だに白煙が上っている。
溶岩石の壁。
そうか、マグマって冷やせば固まるんだった。
なら、このぐらつく足場も何とか出来るかも。
『何するの?』
「凍らす」
斎主を地面へと突き刺し、床へと魔力を集中させる。
すると、床に霜が下り、パキパキと音を立てて凍りついていった。このまま、この冷気を下の方へ伸ばしていけば、すこしは安定するかもしれない。
「さむ…、!!」
ユイがこちらに気付いた。
そして、辺りを見回して納得していた。
この足場に接したマグマの動きが鈍くなっていき、黒ずんで沈黙していく。
表面の温度が魔力を長し続けないとまたマグマに逆戻りしてしまいそうになるが、今んところは俺のが競り勝っている。
「ネコ、オレが固めている間に出口を探ってくれないか?」
『あいあいさー!』
ネコの魔力が揺れ、分散して勢いよく四方八方へと伸びていく。いつそんな探知方法開発した。すげえオレも真似しよう。
「なぁ、アマツくん。君の氷と俺の水でキリコくんの足場を作ってやることって出来ないかな?」
「え?熱気でキツいですけど、まぁやれそうではありますが。何でですか?」
「見てみろ、キリコくんを」
「?」
言われた通りにキリコを見る。
「戦いたいのに戦えなくてウズウズしてる」
「ほんとですね」
獲物が目の前にいるのに、そこまで行くまでの道がなくて困っているネコのように武器を片手にウロウロしてた。なお視線はずっとタゴスを見ている。
「それと、マグマの放たれている角度が少しずつだが変えられているのが分かるか?」
確かに言われてみれば最初の場所よりも右側にズレており、その為、アウソの目の前の壁が前方を覆うように伸びてきていた。あれ?まてよこれって。
「もしかしてタゴスくん、オレ達の事を溶岩の壁で閉じ込めようとしている?」
「恐らくな。でもあれを防ぐにはアウソくんの海水が一番効率的だし、だといってこのまま閉じ込められるわけにもいかない」
「なるほど。ちょっと待って下さい。すぐにこれ終わらせます」
出来る限りの範囲を凍らせて、もう揺れなくなったのを確認する。しっかり芯まで凍らせたから、いくらマグマでも多少は持つだろう。持つと信じたい。
早速キリコの元へ行こうと立ち上がると、尻尾でネコが肩を続いた。
『…ライハ、出口っぽいの見付けたんだけどさ』
「見付かったのか!でかしたぞ!」
『うん、でも…』
何故か言いよどむネコ。どうしたんだ?
肩をつついていた尾の先を下に向けた。
『その出口っぽいの、このマグマの海の下にあるらしいんだよね…』
「!?」
「なん…だと…っ」
脱出させる気ゼロじゃねーか。
これはもうタゴスには申し訳ないけど。
「早々にケリを付けさせて貰おう」
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