第六章 進め
第416話 しばしの.1
リオンスシャーレ南部戦より一週間。
オレは少し入院していた。貧血によって。
機関銃の弾を全身に浴びるように受け、更に発動したこともない跳ね返しの魔方陣を連結させて発動。その後、弾を取ることもなくテンションマックスで敵陣に突撃し、半日戦い続けた。休憩なしで。
今思えば、ネコの。
『ライハ!血!!血!!』
って言葉に耳を傾ければ良かったかなと心底後悔しています。
そう言えばこんなにも不眠不休で戦ったの無かったな。弾が入っているから自然に治る事ないのもすっかり頭から抜けてて(いつも勝手に治るから、慣れって怖い)、案の定、倒れました。笑って良いよ。
原因出血多量。
貧血とかしたことなかったけど、こんな感じなのかな?
突然足の力抜けて倒れ、めちゃくちゃ寒い上に気持ち悪くて、意識朦朧だよ。
剣闘士してたときにはもう超回復手に入れてたから、実質血の流しすぎで倒れたの初めてで、それ見た隊員達がパニック起こして、止めろっつってんのに慌てて回復魔方陣札を貼ろうとした奴を皆で止めるというコントみたいな出来事があった。
怪我した奴見付けたら、即回復魔方陣札って方程式刷り込んでしまったオレの所為でもあるんだけど。
ネコが取り敢えず止血にと、安全なところで弾を抜こうと尻尾で巻こうとしてる向こうで、誰が呼んだのかラビが凄い勢いで走ってきてた。腹押さえて。
治りきってないのに申し訳ない。
辛うじて、眠いからあとよろしくとか言った気がするけど、そっから先は寝たので覚えてない。
だから、ベッドの横で腕組んで怖い顔しているラビを直視できない。
「なんで俺が怒ってるか分かる?」
「……怪我したら撤退を忘れてテンション駄々上がりのまま戦って自業自得でぶっ倒れたから?」
「それもあるな」
「え、まだなんかあったっけ?」
くわっとラビの目が見開かれる。
「隊長たるもの隊員達に心配を掛けるな!!!!!」
「ごめんなさい!!!!」
あまりの気迫に泣きそうだ。こえーよ、ラビこえーよ、レーニォさん貴方の弟めっちゃ怖い。
「あとお前の体質説明するのめっっっっちゃめんどくせーーーんだよ!!!!もう二度と大怪我するな!!分かったな!!!?」
「はいいっ!!!」
ベッドの中で思わず気を付けして返事をした。それほどラビが怖かった。そうだな、カリアの次くらいには怖い。
ふんっ!と鼻息荒くラビが病室を出ていき、ようやく気を付けの姿勢を解くことができた。
『だから血ぃーって言ったのに』
「反省しております」
『本当にぃ?』
「次からは気を付けたいと思います。………できるだけ」
『おい後ろの一言ラビの前で言ったら張り倒されるぞ』
いつぞやの時のようにネコがベッドの上から偉そうにこちらを見ていた。
その後ネコから聞いた話によると、この一週間オレはずっと高熱で、超回復も何故か上手く機能せず皆に心配を掛けたそうだ。というか一週間も寝てたの驚いたが。
疲れでも溜まってたのか?
ラビは医者に何とかして回復魔法を掛けないように説得するのに走り回り、呪いによって回復魔法が毒になるのを伝え、ならば解こうか?と言ってきた魔術師を使い魔が死ぬから止めてくださいと、オレが思っていた以上にラビは大変だったようだ。
そして輸血も。
普通は魔法で治るのに、それが出来ないので急いで輸血をしたのだそうだ。
手を握ったり開いたりしても、もう違和感はない。
傷も、超回復が戻ったのかすっかり元通りになっている。
包帯をとってしまいたいけど、一応医者に聞いてからだな。
「あれ?ネコ、なんか耳の色こんなんだっけ?」
『ん?』
ネコの耳の先にあるリンクスティップの色が、何となく黄色くなっていた。触ってみても違和感などはない。
「体に何か変化とかない?」
『んー?いや、まったく』
「じゃあ別にいいや」
色が変わるくらい大した問題じゃない。
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