第242話 驚きの吸引力

腕輪に玉がはまりこみ、どうしても抜けなかったので腕輪ごとアウソに手渡した。


そしてネコの分裂させた尻尾を全員で掴み準備完了。


「今さらで悪いんだけど、ちょっと聞いて良い?」


突然キリコが挙手。


「なんでしょう?」


「魔力ってどうやって流すの?」


「それ俺も教えて」


しまった。そういやキリコもアウソも魔法使えないから魔力の動かしかたも分からないんだった。


懐かしいな、そういえばオレも初めて魔法使うってときはこんなだったな。しみじみと思い出した。


「わかりました」


とりあえず、ウロの言っていた事を思い出しながら、自分の経験を交えて説明。少し練習した後、本番に移った。


「とりあえず、何かあったらオレとカリアさんとネコでフォローしますので、思いっきりやってください!」


「思いっきりね!!」


「カリアさんは普通でお願いします」


「熱いのを流す、熱いのを流す…、!」


『いくよー』


イメージトレーニングしていたキリコが何か思い付いたらしくニヤリとした。なんか嫌な予感するんだけど。


アウソが腕輪を構える。


「せーのっ!!!」


合図と共に魔力を流した瞬間、突然魔力が何かに巻き込まれて勢いよく吸い出された。何この吸引力、掃除機!?


これじゃあすべての魔力を持っていかれると慌てて魔力を引き戻そうとするも力が強すぎて戻らない。


「うわあああ!!!ヤバイ!!ヤバイ!!」


そして前方では明らかに量が多すぎる水が放出され巨大な水の球体が作り出されていた。そしてそれはなお大きく膨らみ続けている。

吹き出る水の勢いで吹っ飛ばれそうになるのを絶えているが、水の勢いは増してきていて、このままじゃあ時間の問題だ。


それを悟ってかオレ達四人以外は既に遠くへと避難済み。


ウンディーネもちょっと予想外だったのか目をぱちくりさせていた。


「アウソ!腕輪を離せ!」


「それが手から離れないんだよ!!」


「なんで!?」


「知らんし!!」


「カリアさん!どうにかなりませんか!?」


咄嗟に横のカリアに助けを求めるが、何故かカリアも無言で首を横に振った。


「コッチも、手、外れない」


そいつはやべぇ。


カリアでも手が外れないのはやばい。

これじゃあみんな外れない事が確定してしまった。ネコも明らかに耳や髭が下がりまくってるし、キリコも。キリコさん?


気付けばキリコが消えていた。


どこに行ったのかと探せば、尻尾を握ったまま高く飛び上がっていた。そして空中で宙返りをして回転速度を上げると、アウソの持っている腕輪目掛けて全力回転踵落としを決めた。


「腕輪あああああ!!!」


あまりの勢いでアウソの手から腕輪がすっぽ抜け、地面をバウンドして泉の中へ。


そして、水の勢いが止まったせいなのか何なのかは知らないが、空中で膨らみまくった水の球体が、落ちた。


ドッバアアアンッ!!!と泉の足りない水よりも多い水が津波のように襲い掛かってきた。

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