第231話 イヴァンはみた.5
え、とキリコが声を漏らす。
それにあれ?と首を捻るライハ。
「ナマコモドキを一個4万のやつ?3万にまけてもらってアレだけど、あんたちゃんと平均値段教えたでしょう?」
「あいたたたたたあ!!!すみません忘れてましたぁ!!!」
ライハの両こめかみにキリコの拳が添えられ、グリグリと動かされている。痛そうだ。
「レディー・キリコ、うちの商品は全て最高品質です。もちろん貯水量も通常の約二倍はありますよ」
「そう?なら許すわ」
レディー・キリコが従者ライハのこめかみから拳を退かした。しかし相当それが効いたのかしばらくこめかみに手を当てていた。
口撃で従者を叱るお嬢さまはいるけど、物理攻撃で叱るお嬢さまは初めて見たな。
俺も一応気を付けよう。
「では、まずは泉の水を計算しないと。泉の地図とか無いですか?」
荷物からそろばんを取り出して、エルトゥフの長老に聞くが首を横に振られる。無いのか。まぁ期待はしていなかったが。
それだと大変だな。目測だけで計算するのも誤差が気になるし。
「メジャーも無いしな」
「メジャー?」
ライハがよくわかんないことを言い出した。
「えーと、巻き尺です」
「ああ。俺の持ってるのは三メートル程のしか無い。しかしある程度正確な数字が分からんとナマコモドキに入りきらない量を計算できない」
簡単に言うならお手上げだ。
そこらの蔓を持って泉の向こう側に行ってもらって長さを測ることができればなんとかなるが。残念ながら向こう側は壁である。
「壁に少し穴開けても平気ですか?」
「?」
アウソ(という名前だったはず)がエルトゥフの長老にそんなことを訪ねた。
「本来ならやってほしくはないが、それで泉の為になるなら許可をしよう」
「良かった。じゃあ、ちょっと槍と縄、木の板と石釘を借ります。ライハとキリコさん、イヴァンさんも少しいいですか?」
なんだ?
アウソの元に行く。
「イヴァンさん、とりあえず大まかな形と数字が分かれば良いんですよね」
「ああ、そうだ」
「ライハ、あれ使えんかな?」
「あれって?」
「前に向こうの知識の話で出てきた、ナチスの地上絵の…」
「…もしかして、板に釘打って糸使って絵を拡大するやつ?」
「そうそう、それ!」
なんの話だ?
案の定レディー・キリコも頭にはてなを浮かべている。
それよりもナチスノ・チジョーエとはなんだ?
絵を拡大?
「試しに試してみようぜ。駄目なら次の案で」
「だな。イヴァンさん、オレ達から提案があるんですけと」
わけわからん単語連発で話が全くわからなかったが、まぁいい。従者の知識でも使えるのなら使わさせてもらう。
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