第230話 イヴァンはみた.4

しばらく話していたライハ含め七人が、ようやく決着が付いたようでこちらへとやって来る。待ち疲れたと文句を一つでも言ってやりたいが、隣にはレディー・グルエル。正面にレディー・キリコとビッグレディーがいるからそれはできない。


父の教えだ。


よほどのブスじゃない限り、女性は天使だと。

あ、ブスといっても顔とかじゃなくて性格も含めな。顔が良くても性格ブスじゃあ駄目だと。


今のところ皆俺の許容範囲内だ。


レディー・キリコは想像と違ったが、はてさて、ビッグレディーはどうだろう。


「イヴァンさん、お待たせしました。それぞれ紹介いたします。まずーー」


エルトゥフの長老のフエルィ。

補佐のクアブ。

精霊の声を聞くことのできるアールヴのクユーシー。

そして従者のライハと、同じく従者のアウソ。訛りから見てルキオ人か?

そしてレディー・キリコと。


「カリア・トルゴです」


握手。

その瞬間、俺は悟った。

あ、この人が高ランク狩人ハンターだ。


ほんのちょっとこの人が力を入れるだけで俺は、俺の手はプッチンと潰される。そんなイメージが頭の中を駆け抜けた。


え、おかしくない?

綺麗な胸の大きい人が?

狩人ハンターピラミッドの頂点に君臨している高ランク狩人ハンター


レディー・キリコよ、貴女どんだけ金持ちなんですか。


「さて、早速だが知恵を貸して貰いたい」


と、エルトゥフ長老。


「はいなんでしょう」


「儂らはチョスイナマコモドキを使ってはいるが、基本少し汚れた水を浄化したり、水を溜め込む位しか使う機会もなければ、それ以上の知識もない。イヴァンさんから見て、この泉の水を出来るだけ早く浄化させて移動したいのだが、どうしたら良いだろう」


やっぱり泉だったのか、これ。


「そのまま浄化だけじゃ駄目なんですかね?そうすりゃナマコモドキを放り込んでればすぐですけど?」


何故わざわざ移動をさせるのか分からない。


「この泉の底に火種蟲の巣があるのです」


「あー、なるほど」


火種蟲は燃える物質を出すんだったか。

それを何とかしない限りずっと淀んだままって事ね。


えー、なにそれめんどくさいな。

元泉を見ても、相当な深さがあることがわかる。まず横幅が約35m、奥行き15m、深さはヘドロで分からんが、多分10m以上はあるかもしれない。


さらにエルトゥフの男達も見るが、はっきりいって力仕事に慣れてないのか手際が悪い。

そんな動きじゃあ親父にすぐ殴られるぞ。


しかも入れ物もアレで足りなさそうだし。


「いやー、出来はしますけど、相当木材使うし、何より力仕事しかないですよ」


いいんですか?と念押しすれば、何故かライハ、アウソ、レディー・キリコ、レディー・カリアの表情が明るくなる。


なんだその反応。


「良かった。一応できることあるみたいで」


「いやいや、カリアさんは足怪我しているんですから休んでてください」


「退屈過ぎて辛いんよ」


「師匠、駄目よ。今回は譲らないわ」


「そうそう。今回は大人しく休んでてください」


三人に押さえ込まれレディー・カリアが端の椅子に腰掛けさせた。言われてみれば、足に包帯巻いている。


「力仕事は任せてください。それなりに力はあります」


と、ライハ。

見てみるが、確かに筋肉はあるが平均よりもあるって位だろう。レディーの前ではしゃぐのは結構だが、調子に乗らせないようにしないとな。

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