第150話 ハンター試験.1
翌日。
紙に書いてあったのは今日の試験内容と、持ち物だった。
基本、手ぶらで来ること。
なので。
『えー、ネコ留守番?』
「留守番。死ぬほどヤバイわけじゃないから怪我の肩代わりも大丈夫」
『ブー!』
ややチート染みているネコをカリアに預けた。
今回は自分の力のみでやってみたいって言うのもあるからだ。
「無理は厳禁よ」
「わかってますよ」
「楽しんで来なさい」
「どんなやつ相手でも怯んだら敗けだから気を付けろよ」
「はーい。行ってきまーす」
ギルドに到着すると試験官らしき人が既にいた。試験官だと分かったのは、その人の被っている被り物に『審』とデカデカ書かれていたからだ。
それにしても試験官の人、目が細すぎて見えているのか心配だ。ちゃんと審査してくれるのか。
「キミ、今なんか失礼なこと考えなかったかね!?」
「いえいえ!考えてません!」
「そうか、そりゃ失礼したね!」
勘が鋭い人らしい。気を付けなければ。
「ワタシが今回の試験の審査をさせていただく試験官のジウです。ライハ様は今回の試験が初めてだとお伺いしましたが間違いございませんか?」
「ありません」
「本来ならギルドの依頼達成数か挑戦で低ランクからの試験ですが、今回は高ランク
試験官の目が一瞬カッと見開かれた。
この人、目を閉じてた方が良いかもしれない。
凄く恐かった。
「獲物は短剣でお間違いありませんか?」
「間違いないです」
「こちらが試験で使う短剣になります」
手渡された短剣はごくごく普通の短剣だった。違うところといえば華宝国とギルドの紋章が入っているところくらいか。
「それでは移動いたします」
到着した所は闘技場だった。
建物のなかに闘技場とは、しかも天井が硝子で出来ているのか空が見えた。
「!」
壁の一部が大きい窓になっていて、そこにはカリア達の姿があった。
試験官がフワリと浮き上がる。
試験官さん、魔法使いだったのか。
「えー、ではこれより狩人試験を始めます!」
最初の試験の相手は
見た目猪なのだが、こいつは目が三つあり、頭は固い鱗に覆われ、しかも前肢がカマキリの鎌のようになっている。蹄が鎌のように大きく鋭くなっているようで、立ち上がりからの鎌の振り下ろしは怖い。あとはすれ違い様の切りつけかな。
まぁ、あれだ。
それ以外の特徴は凄く美味いことくらいだ。
『プギーーーッッ!!』
一匹の鎌猪が突進してくる。
こいつは首回りも胴回りも固い毛と肉に覆われているので短剣の刃が通りにくい。
なので。
「よいしょっと」
すれ違い様に切りつけてこようとする鎌猪を跳び箱の要領で飛び越える。その際、掌にスタンガンマックスにしておく。
『ブカッ!』
ーードサン
そうすると、鎌猪は呆気なく倒れた。
普段コイツらは十~五匹程の群れで行動するからな。一匹一匹に時間を掛けてたら瞬く間に轢かれる。
『キイーーッ!!』
怒った別の鎌猪が突進してきて、もつ一匹が上から切りかかろうと立ち上がった。
短剣を突進してきた猪の真ん中の目に投げ付け、横に大きく飛んで切り付けを回避。別の鎌猪がやって来たのでそれは雷の矢で頭を射抜く。
短剣が真ん中の目に刺さって、あまりの痛みに暴れる鎌猪にも雷の矢を射ち、別の鎌猪の突進を軽く回避。短剣を回収すると、切り付けをしてきた鎌猪の突進を踏みつけて回避している最中、大きくUターンをしていた鎌猪の後ろ脚を狙って短剣を投げる。
そして振り返ってさっき回避した鎌猪に雷の矢を射つ。そして短剣が後ろ脚に刺さり転がって暴れていた最後の鎌猪に向かって雷の矢をつがえ、射った。
はい終了。
これで1週間分の干し肉が手に入ったよやったぜ!
「鎌猪の討伐成功、Eランク合格です。次のランクに挑戦しますか?」
「挑戦します」
「ただいま準備をいたしますので少々お待ちください」
さて、次のやつは何だろう。
楽しみだ。
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