第128話 ネコは万能でした
帰るということで、猫男が槍の下、石の部分で近くの木を叩いて音を出すと、すぐに近くの木から二つ、遠くの繁みから一つ、人影が飛び出してきた。
その手には果物。もしかして長くなるかもと食べるものを探してきてくれたのだろうか、だとしたら申し訳ない。
ウニャウニャグニャグニャと
「果物は夕飯時に出すから、帰路の案内をしてくれます」
「分かった」
帰る途中、後ろで猫男二人と蜥蜴女が何やら凄い勢いで話していた。
アウソは前でトルテとカリアの会話補助をしている。凄く何を話しているのか気になる。
なので、隣を歩いているネコを呼んだ。
「ネコ、ちょっと肩に乗って」
『ん?』
何だろうという顔をしながらネコが乗ってきた。もっともネコはでかいので前足だけ肩に乗せて、他はオレが片手で抱っこ状態だけど。
「前のさ、会話が声が出せなかったときにお前が尻尾使って会話してたじゃん」
『うん。してたね。われながら良い“あいであ”だった』
尻尾での会話は形が朧気な時に、尻尾を使って相手の魔力に直接声を送るというモノだった。
もっとも今はもう声を出すことが手来ているから使うことがなかったが。
「まだソレできる?実験したいんだけど」
『できるよー』
ネコは長い尻尾を何故か首に巻き付けた。暑い。
しかし先程と違い、暑くはあるのだが、それがネコの熱というよりも自分の熱として感じ始めた。ついでに言えば毛の感触もないなと触れば、首に尻尾が融合しているみたいになってた。違和感凄い。
『で?どうするの?』
ネコの声が頭のなかに響く。
いつも普通の声しか聞こえなかったから不思議な感じだ。ついでにオレも声に出さずにネコに心の中で語りかけてみる。
『試しに、後ろの獣人達の会話を聞いてみて』
『うん。聞いてるよ』
成功した。
『そのままさ、ネコの耳とリンク出来ないかな?』
『ん??』
ネコが変な声を出す。
意味がわからないようで更に頭を捻っている。
『ネコの聞いている獣人の声を、そのままオレに流す事できない?』
『ええー、ちょっとまってー、一応やってみるけどちょっとまってー』
『うん。大丈夫待つから』
あーでもないこーでもないとネコが試行錯誤している感覚が流れてきて、そのまま一旦ネコの声が消えた。
「シェキャリュ ヒニォゴロ キャ ラキェ ケ ヨミャネー ケ
成功したわ!!
え!?感動した!!まさかこんなチューニングするみたいな感じに通訳されるとは!!
『どう?ネコ役に立った?』
『凄いぞ凄いぞ!お前スゲーわ!!』
ネコの万能さにたくさん頭と喉を撫でまくった。後で多目に魔力を分けよう!!ご褒美じゃ!!
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